監督:フランク・オズ
音楽:ハワード・ショア
出演:ロバート・デ・ニーロ(ニック・ウェルズ)
エドワード・ノートン(ジャック・テラー)
マーロン・ブランド(マックス)
アンジェラ・バセット(ダイアン)
ゲイリー・ファーマー(バート)
ポール・ソールス(ダニー)
ジェイミー・ハロルド(スティーブン)
(感想)
非常に手に汗握るサスペンスアクションです。まあ、これをアクション映画の範疇に入れていいものか微妙なところではありますが。
当時やたらといろんな映画に出まくり、名優という肩書きが消えつつあったデ・ニーロが主演です。その出まくってる映画では助演が多かったんですが、今作は『RONIN』同様、主演です。しかも共演が当時若手演技派ナンバー1のエドワード・ノートン!もう、このキャスティングだけで勝ったも同然だと思ったものでした。
『RONIN』の時もその筋のプロを演じたデ・ニーロですが、今作でもプロを演じてます。演技のプロだけに、プロの演技はお手の物という事なんでしょうか。
演じる、ニックという男は、今回の仕事を最後に引退を考えているという設定。何ろ、頭だけでなく体力も使う危険な仕事だけに、年齢的にさすがにやっていけなくなったんでしょう。そんな、もういい歳の男なのに、意外にコンピューター等のハイテク機器を使いこなしてるというのが面白いです。この世界で生き残るには、ハイテクの知識が絶対に必要になるんでしょうね。
映画の感じとしては、どことなく『ミッション:インポッシブル』や『エグゼクティブ・デシジョン』っぽくて、侵入から脱出までの緊迫感はほんとに凄いです。その代わり、演技派を揃えた割には、演技合戦的な要素は実はほとんどないです。何しろ、金庫破りがメインの映画ですからね。
かと言って、キャストが誰でも良かったというわけではありません。まず、若い泥棒ジャックが、盗みに入る建物に障害者の振りをして清掃の仕事を貰っているという設定があります。そのおかげで、建物の内部の様子を知る事が出来るわけですね。
この、障害者ブライアン(偽名)とジャックを違和感なく演じ分けられるのは、やはり二重人格のプロ、エドワード・ノートンしかいないでしょう。
そして、主人公ニックを演じる人は、役者的にノートンよりも格上の人物じゃないといけません。この手の娯楽映画に出られて、ノートンよりも格上となると、もうデ・ニーロしかいないですね。いや、探せばもっと他にもいると思いますけど、何しろ当時色んな映画に出まくってただけに、呼べばすぐ来てくれそうな位置にいましたからね。
この映画、一応、マーロン・ブランドも出てはいますが、まあ、ただ出てるだけという存在です。宣伝では「新旧3代演技派俳優の演技合戦!」みたいな事を言ってたんで、ちょっとガッカリではあるんですが・・・。
それにしても、ノートンの障害者と健常者の演じ分けは凄いですね。もう、これだけで一つの見せ場になってますからね。ただ、実際にこういう障害を持った人と係わってる人にとっては、もしかしたら馬鹿にされてるような印象を受けるかもしれないという恐れはありますけどね。『レインマン』みたいに、真面目に扱ってるというわけではないので。
ところで、『目撃』ではイーストウッドが、『エントラップメント』ではコネリーがそれぞれ泥棒を演じてましたが、ある程度の年齢になった名優は泥棒役をやりたがるものなんでしょうかね?
このまま行けば、いずれはトム・ハンクス辺りが手を出しそうな予感が、と思ってたら、ほんの数年後に『レディキラーズ』で本当に泥棒の役をやったようで(笑)。もうちょっと歳とってからでもよかったのに、我慢出来なかったんでしょうかね。