監督:サイモン・フェローズ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム(サム・キーナン中佐)
ウィリアム・タプリー(フランク・ゲインズ)
ラザーク・アドティ(ダーネル一等軍曹)
サーバン・セレア(アミレフ大統領)
ヴェリボール・トピッチ(アントン・タバロフ)
ジュリー・コックス(ミシェル)
アラン・マッケンナ(ジョン・ボールドウィン大尉)
(感想)
ヴァン・ダム主演の未公開アクションですが、この手の未公開映画はこれまで日本ではどうにか劇場公開させてもらえていました。ですが、この映画はセガールの『撃鉄2』と共に、ついにビデオスルーとなってしまいました。
で、『撃鉄2』の方は、正直、ビデオスルーもやむを得ないかと思うような内容だったんですが、こちらはこのレベルの未公開映画群の中でもかなり面白い部類の内容だったんで、いよいよガッカリでしたねぇ。出来れば映画館で見たかったですよ。ヴァン・ダムの最近作の中でも最も好きな内容でしたね。
ポリティカルかつミリタリーなアクションなんですが、個人的に、この手のジャンルはどうも話がややこしくてついて行けなくなるという事が多々あったりする、苦手なジャンルです。序盤の、舞台となる国の情勢を説明する辺りのシーンも何だか意味が分からなかったですからね。
見てて「これから面白くなってくれるんだろうか」と心配していたんですが、この映画が本格的に動き出すのは、ヴァン・ダム中佐が大統領を大使館に連れ込んでからだったんです。ここから、敵の反乱軍が大使館を包囲し、攻撃をしかけてくるという流れになるんですが、これがいわゆる、立て篭もり型アクションの形になってるんです。要するに『要塞警察』や『スズメバチ』と同ジャンルの映画ですね。
これは私の好きなジャンルですし、こういう展開になるとは思ってなかったんで、中盤以降は喜びながら見ていたものですよ。
途中で、外に出て人質救出作戦をしてみたり、裏口からの脱出作戦をしてみたりと、ストーリーにも起伏があったり、さらに、その作戦行動中にヴァン・ダムのアクションの見せ場が挿入されたりと、実に面白くも見易い作りとなっていましたね。
ただ、サスペンス描写がちょっと弱くて、このジャンル特有の緊張感があんまり感じられなかったのは残念でした。ある一定時間立て篭もっていれば、味方の援軍が到着するという状況なうえに、敵側の攻撃が、「時間まで充分立て篭もっていられる」と思えるぐらいに甘いんですよね。「包囲されている危機感」というのがもうちょっと感じられたらさらに良かったんですけどね。
あと、“ヴァン・ダム映画”として見ると、ヴァン・ダムの活躍シーンがちょっと少なめで、物足りないという感じもありました。
まあ、多少の「ここをこうすればもっと面白くなったのに!」と思うような箇所が出て来るのはこのレベルの映画では仕方の無い点ですからね。ヴァン・ダムの個人技が見られるシーンは少ないながらもちゃんと入ってるし、映画の面白さとしては充分満足のいくレベルのものでした。それに、このストーリーの映画で、最後に敵のボスと一対一で戦うシーンが出るとは思いませんでしたからねぇ。ここは、ヴァン・ダムが主演ならではだと思える嬉しいシーンでした。