マーシャル・ロー
<THE SIEGE>
98年 アメリカ映画 118分

監督・共同脚本:エドワード・ズウィック
出演:デンゼル・ワシントン(アンソニー・ハバード)
   アネット・ベニング(エリース・クラフト)
   ブルース・ウィリス(ウィリアム・デブロー将軍)
   トニー・シャローブ(フランク・ハダッド)

(あらすじ)
ニューヨークで爆弾テロが発生。FBIのハバードにより、犯人グループは射殺される。だが、再び爆弾テロが起こる。テログループは一つではなかったのだ。そして、ついに事態はニューヨークに戒厳令が敷かれるまでになってしまう。

(感想)
映画の中のテロリストと言えば、アクション映画の格好の敵という立場でしたが、この映画ではただの敵ではなく、社会の敵であることをリアルに描いています。
主に、前半部ではテロリズムの恐怖と、それに立ち向かうFBIの捜査をサスペンスフルに描き、後半では、テロにより戒厳令が敷かれたニューヨークでの軍の暴走、テログループと同じ人種の人々が迫害される様などを描いていきます。
いわゆる、社会派サスペンスアクションといった趣きの映画なんですが、恐ろしいことに、この映画で描かれた以上の惨事が実際にニューヨークで数年後に起こってしまいました。やっぱり、事件前と事件後とで、見てる時の感じが変わってきますね。
監督は、CGなどを一切使わず、リアルな恐怖を描こうとしたらしいですが、その甲斐あってか、今見ると本当に怖いです。

主演は演技の達人、デンゼル・ワシントン。相変わらずうまいです。ただキャラクターを演じているだけじゃなく、見てる人の感情移入を容易にしてくれるような、深い演技の出来る人ですよね。
さらに、この映画の見所の一つに、デンゼルとブルース・ウィリスという二大スターの共演というのがあります。ブルースは、後半、テンゼル演じるハバートと敵対関係になる軍のエラい人、デブロー将軍を演じています。が・・・『ジャッカル』の時といい、何かこの人は悪役が似合わないですね。小悪党ぐらいなら似合いそうですが、将軍とか、報酬100億(だったかな)の暗殺者みたいなデカい悪党には見えない感じです。
『ダイハード』でも、普通のオヤジみたいな見かけの男がテロに一人で立ち向かう様が面白いと言われてるように、この人は「普通のオヤジ」の感じが漂ってる人なんですよね。だから、このデブロー将軍役はどうにもミスキャストな感じがして仕方がないです。