人質奪還 アラブテロVSアメリカ特殊部隊
<SPECIAL FORCES>
03年 アメリカ映画(ビデオ用) 97分

監督:アイザック・フロレンティーン
出演:マーシャル・ティーグ(ドン・ハーディング少佐)
   スコット・アドキンス(タルボット)
   ティム・アベル(ジェス)
   ダニー・リー・クラーク(ベア)
   トロイ・ミットレイダー(ワイアット)
   テレンス・ロトロ(レイス)
   ダニエラ・デウッチャー(ウェンディ・テラー)
   イーライ・ダンカー(レフェンデック)

(あらすじ)
ムルドニアでアメリカ人の女性ジャーナリストが拘束された。ムルドニアを影で牛耳る司令官レフェンデックは、アメリカに拘束されてる同士の釈放を要求してきた。
アメリカ軍は、人質奪還の為にドン・ハーディング少佐の率いる特殊部隊をムルドニアに送り込んだ。ハーディングは過去にレフェンデックに部下を全滅させられ、自身も酷い拷問を受けた事があるのだった。

ムルドニアで作戦行動を始めるハーディング隊に、ある男が接近してきた。イギリスの特殊部隊SASに所属していたが、相棒をレフェンデック達に殺された復讐の為に単身で行動している男で、名前をタルボットという。
タルボットの協力もあり、人質奪還は成功。だが、帰りの輸送機が撃ち落とされてしまうのだった。気づいたら敵の大群に囲まれていたハーディング隊。果たして、生きて脱出出来るのか!?

(感想)
いわゆる特殊部隊物の映画です。隊長のハーディングを含めた5人の精鋭部隊が人質奪還作戦を遂行していくんですが、まあ、こいつらが超強いんですよ。さすが世界最強のアメリカ特殊部隊員です。もう、敵の弾は当たらないわ、マーシャルアーツは使うわで、まるで「全員チャック・ノリスのデルタフォース」みたいな感じです。ヒゲが無いせいか、一人一人の戦闘力はチャックほどではないですけどね(チャックの強さの秘密はヒゲなのか・笑)。
冒頭で、アラブのテロ組織に捕らえられたアメリカ兵を救出するシークエンスが出てくるんですが、一人一人が超強い連中がチームプレイで動いてるもんだから、もうあっと言う間に任務を遂行してましたね。おかげで、サブタイトルにもなってる『アラブテロVSアメリカ特殊部隊』が冒頭10分で終わってしまう事態に(笑)。
しょうがないので、今度はどこか別の地域で起こったアメリカ人拘束事件において、人質奪還作戦を始める事となります。
驚くのは、ここからハーディング隊よりもっと凄い動きをする仲間が登場する所です。イギリスの特殊部隊員なんですけど、こいつがもう、アクションがとんでもないんです。ワイヤーアクションもところどころで使ったりと、いわゆる流行の香港系の動きで、『リローデッド』のキアヌ・リーブスの動きに近いかもしれないですけどね。ただし、その動きの早さはキアヌのおよそ3〜5倍(笑)。もし早回しを使ってないのなら、トニー・ジャークラスのスピードのマーシャル・アーツを使ってるんですよ、この男は。もう驚きましたね。って言うか、誰だこいつ(笑)。スコット・アドキンスという名前ですが、まだ若いところを見ると、これから主演作がバンバン出てくるような人なんでしょうかね(何やら、『アクシデンタル・スパイ』や『メダリオン』の端役で出てたり、今後、ジェット・リーの新作に出たりするみたいですね)。

映画は、超強い人達が敵をバンバン倒していくだけという、A級映画ではまず作れないような内容ですが、アクション映画好きが見たいのはこういう映画なんだというような内容です(こんな映画ばっかりだとさすがに困りますが・笑)。
「いくらなんでも、敵の弾が当たらな過ぎだろう」とか「平原で銃で撃ち合ってるのに、何であんなに派手な火柱が上がってるんだよ」とか思うような箇所もあるんですが、これらもB級映画においては、突っ込みどころではなく、好評価ポイントになる点ですからね。
あと、敵の軍団が市民を痛め付けるというシーンがあるんですが、そこで痛め付けられる市民がなぜか背負い投げでぶん投げられたりしてるんですよね。本来、弱者が虐げられる様を描いた沈痛なシーンにするべきところがスタントマン万歳シーンになってるというところがまた素晴らしいです。

そしてそんなB級活劇に溢れた映画の中、何よりも印象的なのがスコット・アドキンスのアクションですよ。その動きの華麗さは見てて惚れ惚れするぐらいで、ひょっとしたらゲイリー・ダニエルズを越えてる可能性も有ると思えるぐらいでしたね。
終盤、主人公のハーディング少佐とアドキンス演じるタルボットが、別の場所でそれぞれ行われている一対一の格闘戦を交互に映すというシーンが出て来ます。ハーディングを演じてる人も、年の割りにはかなりいい動きをしていたんですが、アドキンスのアクションと比べたら老人の運動にしか見えないぐらいの落差が出てましたからね。
それに、ここでアドキンスの相手をする敵も凄い良い動きをしてるんですよね。この二人の対決は、それこそ昔のジャッキー映画のラストバトルを思い出させるほどの、凄まじいまでのレベルの動きの迫力に満ち溢れたバトルシーンでした。