スパイダーマン/プルトニウムを追え
<SPIDER-MAN STRIKES BACK>
78年 アメリカ映画(TV用) 89分

監督・製作:ロン・サトロフ
監督・製作・脚本:ロバート・ジェインズ
出演:ニコラス・ハモンド(ピーター・パーカー/スパイダーマン)
   ロバート・F・シモン(J.ジョン・ジェイムソン)
   ジョアンナ・キャメロン(ゲイル・ホーフマン)
   マイケル・パタキ(バーベラ警部)

(あらすじ)
大学のベイラー教授が、なぜかプルトニウムを持ってきた。そしてその夜、プルトニウムは何者かにまんまと盗まれてしまうのだった。ちょうど近くの食堂にいたピーターは、スパイダーセンスで誰かがプルトニウムを盗もうとしている事に気付き、スパイダーマンに変身して大学に行く。だが、一足遅かった。しかも運の悪い事に、大学に侵入するスパイダーマンの姿を警備員に見られてしまい、スパイダーマンが盗んだと思われてしまうのだった。
実は、プルトニウムを盗んだのはピーターの知り合いの学生達だった。だが、警察とFBI、そしてプルトニウムを頂戴し、それを売りさばいて金を儲けようと企む悪党は、プルトニウムから爆弾を作る知識を持つ唯一の学生という事で、ピーターが犯人ではないかと疑いを持つ。

一方、ピーターは、スパイダーマンの取材に来た女記者ゲイルに、スパイダーマン唯一の知り合いという事で付きまとわれるハメとなる。

その後色々あり、プルトニウムは悪党の手に渡ってしまった。だが、危険な放射性物質という事で、金持ちからの買い手がつかないのだった。悪党一味は仕方なく計画を変更。ロスに演説に来た大統領を、ロスの町ごと吹っ飛ばす事にするのだった。
だが、悪党の行き先を突き止めたピーターは、ゲイルとジェイムソンと共にロスに到着。果たしてピーターことスパイダーマンは、悪党の悪企みを阻止する事が出来るのだろうか!?

(感想)
70年代後半に作られた、「スパイダーマン」のテレビ映画です。
サム・ライミの『スパイダーマン』を見た今、この映画を見ると、もう全てがアメージングでしたね。まず、スパイダーマンの驚くほどのカッコ悪さ。タイツの安っぽさもさることながら、その動きが何か変です。「怪しい動き」と形容するしかないような、その奇妙な動きは(中腰でキョロキョロしたりする)、ヒーローと言うよりも変質者みたいです。
また、アクションのヌルさも凄かったです。敵としてスパイダーマンと戦う相手は、グリーンゴブリンでもドクター・オクトパスでもなく、ただのカンフー野郎と大男です。で、こいつらとの格闘シーンがあったりするんですが、もう、お互いに攻撃がヘナチョコなんですよね。でも、変な格好をしてる分、スパイダーマンの方がよりダサいという有り様。
ピーターが第6感で危険を察知するスパイダーセンスの演出は、アップで静止画状態になったピーターの目がピコピコ光るというものですし、スパイダーウェブは、ただのロープかネットにしか見えません。

そんなダサくてヘナチョコなスパイダーマンも、現在はあんなにカッコいいヒーローになってるんですから、技術の進歩は凄いなと改めて思わせてくれますね。

さて、そんな旧型スパイダーマン・ザ・ムービーですが、映画自体は特別につまらないというわけではありません。ヒーロー物のテレビ映画としては普通の面白さはあったと思います。
サム・ライミ版に登場するキャラクターで、このヘナチョコ版にも出てくるのはピーターの他はジェイムソン編集長のみです。
このジェイムソンのキャラはあんまり変わりがないんですが、ピーターはかなり雰囲気が違いましたね。まず、映画版と違って、特に生活に困ってる風がありません(笑)。さらに、エネルギッシュな行動派というイメージがありました。
MJがいないのが良かったのか、大学も仕事も、ヒーローの仕事もきちんとこなしているようです。どちらかと言うと、ピーターの生活に重きを置いてるような雰囲気でしたね。ピーター自ら「ヒーローは辛いんだ」的な事を愚痴る場面があるんですが、あんまり辛そうに見えないです。
あと、設定の違いとして、このピーターは科学の知識が常人以上にあり、スパイダーウェブは手首から発射されるのではなく、手首に巻いた機械から出てくるんです。ライミ版以降のシリーズもこのウェブシューター式になりましたけど、このバージョンだと無尽蔵に出せるわけではないせいか、ここぞという所でしか披露しません。
さらに、敵を追跡する際に、クモ形の発信機を敵の車に取り付けてましたが、これも自作のアイテムのようです。後の映画版だと、ピーターの自作アイテムってウェブシューターとスーツぐらいなものだった気がするんですが、こういう小物アイテムも自作してるのは面白い点でしたね。