監督:フィル・ティペット
脚本:エド・ニューマイヤー
出演:リチャード・バージ(ダックス大尉)
コリーン・ポーチ(レイ・サハラ)
エド・クイン(ジョー・グリフ)
エド・ローター(シェパード将軍)
ケリー・カールソン(チャーリー・ソーダ)
ブレンダ・ストロング(ディード・レイク)
サンドリーヌ・ホルト(ジル・サンディーニ)
J・P・マヌー(アリ・ペック)
(感想)
あの大人気映画の続編ですが、前作の監督、ポール・パーホーベンはノータッチ。『ロボコップ2』の時もそうだったんですが、今度はパーホーベンその人だけでなく、制作費やメインキャストまでも削られていて、かなり安っぽい、ほとんど別物みたいな続編となってしまいました。
今回の監督は、旧『スター・ウォーズ』シリーズや『ロボコップ』シリーズの特撮でお馴染みのフィル・ティペットさんで、しかもこれが初監督作です。ただ、特撮の才能と監督の才能はまた別物のようで、冒頭の戦闘シーンは中々に酷かったですね(笑)。まあ、大人数が入り乱れての戦闘シーンなんて、そう簡単に上手く撮れるようなものじゃないんでしょうけどね。
ここで、かなり先行きが不安になったんですが、映画のメインである、建物内で新種のバグに襲われるというSFホラーなストーリーはちゃんと面白く出来ていて、「前作とは全くの別物になったけど、悪くは無い」と思えるような映画となっていました。
その「新種のバグ」というのが、口から人の体内に入り込んで、その人を完全に乗っ取ってしまうという、とても恐ろしい奴です。ただ、SFホラーのジャンルではとても新種と呼べないような、ありふれた敵ではあるんですが(笑)。何か、見ていて、他の色々な映画の事が思い出されるんですが、これは「オマージュ」という受け取り方でいいんでしょうか。
一見、新鮮味が無いんですけど、「わざわざ『スターシップ〜』シリーズでこのネタをやった」というのは新しいと言うか珍しいと言うか。
それに、普通だと「誰が操られているのか」というのが中々分からなかったりするんですが、この『スターシップ・トゥルーパーズ』の世界では“超能力兵士”というのがいるので、その能力で「人ではなくなった人」を見抜く事が出来るんです。これは面白い展開でしたね。
ちなみに、このシリーズが「超能力が存在する世界観の話」だというのは、結構忘れがちですよね。それとも、私だけでしょうか。一作目を見直す度に、超能力を持ってるジョニー・リコの友人の姿を見て「ああ、そう言えばこんな奴いたな」と思い出すハメになるんですよね。
そんな、あまり印象に残らなかった要素が、こうしてクローズアップされたのは良いことなのではないでしょうか。私も今後は、このシリーズの世界に超能力が存在している事を忘れたりしなくなりそうです。
前作と比べて、登場キャラの面白味も大分薄くなってしまったんですが、一人、非常に熱いキャラが紛れて出てきてくれました。
上官を殺した罪で閉じ込められていたという、マッチョな兵士なんですが、こいつがもう、やたら頼りになりそうな雰囲気の漂う奴なんですよね。何か、ジョン・カーペンターの映画に出てきそうな感じの、アンチヒーロー風の奴なんですが、それまで出ていた兵士達があまり頼りにならなそうな、軟弱っぽいのばっかりだったんで、ようやくまともなキャラが出てきたと、見てて大喜びでしたね。やっぱり、マッチョヒーローは素敵です。
で、そんなカーペンター風味なアンチヒーローが、ラストで、英雄に祭り上げられて、プロパガンダに利用される、というオチは、このシリーズならではの皮肉表現といった感じでしたね。
ところで、新種のバグですが、こいつは本当にバグの一味なのかな、というのがちょっと気になってしまいました。
こいつらは、ある計画をもって行動してるわけですが、その計画を実行するには、生存した兵士達が、生きてこの星から脱出しないといけないんですよね。でも、ウォリアーバグはもう、兵士達を全滅させる気満々で襲い掛かってきてるんですよ。実際、終盤では、新種に精神を乗っ取られてる兵士がウォリアーバグに殺されたりしてましたし。
なので、もしかしたら、バグズとはまた別の宇宙生物なのではないかな、なんて事を思ってしまいましたね。もしそうなら、「宇宙は広いな。色んな怪物がいるんだな。」と楽しくなってきます。