監督:トッド・フィリップス
出演:ベン・スティラー(デビッド・スタスキー)
オーウェン・ウィルソン(ケン・ハッチソン)
ヴィンス・ヴォーン(リース・フェルドマン)
スヌープ・ドッグ(ハギー・ベア)
フレッド・ウィリアムソン(ドビー主任)
ジュリエット・ルイス(キティ)
ジェイソン・ベイトマン(ケビン)
エイミー・スマート(ホリー)
カーメン・エレクトラ(ステイシー)
ウィル・フェレル(ビッグ・アール)
海岸に打ち上げられた水死体の捜査を始めた二人は、捜査を続けるうちに、リース・フェルドマンという富豪の元に辿り付いた。そして、背後に巨額の麻薬取引の影がある事に気付く。
果たして、このデコボココンビは事件を見事解決する事が出来るのか!?
(感想)
70年代に人気を博したテレビシリーズの映画化です。主演はベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンという馴染みのコンビで、息の合ったバディっぷりを見せてくれます。
この二人が主演という事は、当然、内容はコメディになってるわけですが、オリジナルもコメディ色の強いドラマだったんでしょうかね。オリジナルの事を全く知らないのでその辺の比較は出来ないですが、この映画単品で見れば、「ベン・スティラー主演作」として期待通りに笑わせてもらえる、良質のアクション・コメディといった感じの出来でした。
この映画の面白い所は、舞台設定が70年代になってる点ですね。あの当時の時代の雰囲気を再現してるわけなんですが、登場人物の服装とか髪型などの流行関係の再現っぷりが何か妙に面白いんですよね。ダサいんだけど、ちょっとカッコイイような気もするという、何とも視覚的に面白い出で立ちとなってるわけです。
あと、当時に作られた映画などで見る映像とはまた違う、再現ならではな不自然さというのがあるんですけど、その辺りも、「視覚的な笑い」の為に敢えて不自然さを出してるんじゃないかと思うぐらいに、見てて面白いんですよね。
で、そんな70年代ファッションに身を固めた登場人物達ですが、例えばオーウェン・ウィルソン辺りは70年代ファッションを「着こなしてる」といった感じなんですが、一方、主演のベン・スティラーの方は、何かカッコ悪いようなマヌケなような、明らかに似合ってないという雰囲気を出しまくっていて、なかなかのインパクトがありましたね。多分、視覚的な笑いの為に敢えてベンに似合わない衣装をあてがってるんだと思います。と言うか、この人は何を着ても笑えるような気がします(笑)。
そんなパッと見は「全身でギャグを表現している」といった感じの雰囲気を醸し出すベンですが、演じる役柄が「仕事熱心な堅物刑事」なんですよね。このギャップが非常に面白いです。これは、『デッドフォール』におけるスタローンの「パッと見は筋肉マッチョマンだが、演じる役柄はインテリ」というのを思い出しますね。
このスタスキーには、優秀な警官だった母親の後を継いで刑事になったという、「二世の辛さ」的なものがあったりという背景があります(こういうケースで、父親ではなく、母親が目標として出て来るというのはかなり珍しいですが、もしかしたらここもギャグの一つなんだろうか)。そういう背景があるからこその堅物刑事なんですが、肝心の能力は、偉大な母親には追いついていないらしく、かなりヘマが多いようです。
で、そういう微妙なキャラクターをベン・スティラーが絶妙なコメディ演技で見せてくるわけですよ。どう絶妙なのかと言うと、「真面目な演技をしながら笑いをとりにきてる」といった感じですかね。本来、キャラクターに感情移入してしまうような深い会話シーンとかでも、どこかで微妙に間を外してるのか、ベンの周りから「笑いの空気」みたいなのが漂ってるのが感じられるんですよね。エディ・マーフィやジム・キャリーのコメディ演技とはまた違うタイプの面白さですね。
そして、相棒役のオーウェン・ウィルソンも相変わらずいいですね。今のハリウッドで、コメディスターの相棒をやらせれば右に出るものはいないだろうなとか思ってしまいます。
これまでエディ・マーフィやジャッキー・チェンといった大物と組んでいたところを見ましたが、どれも「大スターの邪魔をせず、かと言って陰が薄いわけでもない」という絶妙なポジショニングを見せ付けていましたが、今回は共演する事の多いベン・スティラーが相棒と言う事で、息の合いっぷりは大物との共演時以上のものがあったように思えました。この見事なコンビネーションは、04年のMTVムービーアワードで「チーム賞」にノミネートされるほど、観客にも支持されていたようです。