サドン・デス
<SUDDEN DEATH>
95年 アメリカ映画 110分

監督・撮影:ピーター・ハイアムズ
音楽:ジョン・デブニー
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム(ダレン・マッコード)
   パワーズ・ブース(ジョシュア・フォス)
   ホイットニー・ライト(エミリー・マッコード)
   ロス・マリンガー(タイラー・マッコード)
   レイモンド・J・バリー(ダニエル・ベンダー副大統領)
   ドリアン・ハレウッド(ホールマーク)

(あらすじ)
元消防士のダレン・マッコードは、精神の問題で消防士を退職し、現在はアリーナの消防管理官をしていた。
ある日、元妻の住む家に、離婚の際に引き離された息子と娘にプレゼントを持って現れた。それは、自分の職場であるアリーナで本日行われるホッケーの試合のチケットだった。
だがこの日のアリーナではとんでもない事件が起ころうとしていた。副大統領がボックス席で観戦に来るのだが、そこに、副大統領を人質にして政府から身代金を頂こうとしている一団が現れたのだ。

計画は秘密裏に進められ、選手も観客も、このアリーナでそんな事件が起こっている事に全く気付いていない状況だった。さらに、アリーナにはすでに爆弾が数箇所に設置されており、観客全員も人質という状況なのだ。また、外にはロケットランチャーを装備した部下が潜んでいて、アリーナ上空を飛ぶSWATなどの特殊部隊の乗ったヘリを撃ち落としたりするのだ。

そんな中、ダレンの娘がテロ一味の一人が殺人をしている所を目撃した為に、ボックス席の方に連れ去られてしまう事件が起こる。そして、その姿をダレンが偶然見かけた事から、アリーナで何かが起ころうとしている事に気が付くのだった。
ヒーロー指向のあるダレンは、一人でさらわれた娘を救出しようと、孤軍奮闘をおっ始めるのだった。

(感想)
ヴァン・ダムがアリーナを舞台にダイハードする映画です。そして、数あるヴァン・ダム主演作の中でもかなり出来のいい映画ですね。映画の質、エンターテイメント性、どれをとっても一級品です。もちろん、本家『ダイ・ハード』とかと比べたら粗がありまくりますけど、大ヒットシリーズ物ではないアクションスターの主演作としては文句の無いレベルの映画ですね。

ヴァン・ダムといえば、マーシャルアーツ・アクションですが、今回はあんまり披露しません。全然しないわけではないですが、格闘シーンでは普通の殴り合いが主で、華麗な脚技はほとんど出る幕無しです。
多分、主人公の設定が元消防士の現消防係官という事で、ヴァン・ダムも格闘レベルを下げて演じてるんでしょうね。それでも、敵との格闘戦での苦戦度合いはいつもとそんなに変わらない感じではあるんですけどね。そこそこ苦戦はするものの、最後は勝つのが分かりきってるみたいな。マーシャル・アーツをメインに使わなくても、“ヴァン・ダム演じる主人公”なんですから、一応、強い事は強いんです。
と、ヴァン・ダムがマーシャル・アーツをあまり披露しない事から分かるように、この映画は「ヴァン・ダムのアクションを魅せる」がメインの見せ場というタイプの映画ではないんですよね。それよりも、戦闘のプロではない設定の主人公がたった一人でいかにこの事態に立ち向かって行くのかというストーリー展開を見せるのがメインとなるんです。
そして、これがなかなかよく出来ていて、見てて面白いです。ヴァン・ダム演じる主人公ダレンは、消防士と消防係官の間に、“放火調査官”という役職にもついていたようです。その職歴のせいか、爆発物に対する知識があり、一人でアリーナに仕掛けられた爆弾を解除していくんです。この爆弾も数箇所に設置され、しかもそれがどこに仕掛けられているのか分からないという状況なんですが、ダレンは「自分ならここに仕掛ける」という方法で探して行き、それでいくつもの爆弾の発見に成功するんです。
また、敵と出くわした時の為の武器を隠し持って行動する事となるんですけど、それも、ナイフやら鉄パイプといった普通の武器ではなくて、銃を持った相手にも有効そうな、攻撃力の高い武器を“自作して”持ち歩いているんです。そういった武器は大抵使い捨てで、劇中では2、3種類ぐらいその手の武器が出てくる事になるんですが、これがまた、見てて面白いんですよね。ちょっと、セガールの手作り爆弾を彷彿とさせてくれます。
数あるダイハード映画の中でも、主人公が銃を使う割合がかなり低いです。終盤、敵からマシンガンを奪って使うシーンが出て来ますが、「ようやく、まともな武器を手に出来たな」とか思ったものでしたからね(でも、そのマシンガンもすぐに弾切れになるんですが)。

アクションシーンでは多少のリアル感というのを出して来ていたんですが、クライマックスではかなりアクションが派手になります。でも、ここは演じてるのがアクションスターのヴァン・ダムという事で違和感を感じさせないんですよね。むしろ「最後はこれぐらいやってくれなきゃ!」という気分にさせてくれます。
これが、アクションスター以外の人がやると、「今までよりも荒唐無稽になって違和感がある」という印象が出かねないところでしょう。


ところで、この映画で一つ分からないところがありました。それは、『ダイハード』のアル・パウエル的立場のキャラ、黒人のシークレットサービスのホールマークが実は敵側だった事が判明し、ヴァン・ダムに殺される事となるんですが、その後、終盤の方のアリーナの外のシーンが一瞬映るシーンでこいつがまた出て来てたんですよね。それも、アリーナに入ってくる前の時みたいな困った顔で。
これがずっと気になっていたんですが、今回見直して、ようやく、終盤に出てくる奴がホールマークではなく、違う人だったという事に気付けました。何か、似たような顔をしてるんですよね、この二人。もう少し、脇のキャスティングを考えてほしいものです(余計な混乱を招くから・笑)。