監督・製作・脚本:チャウ・シンチー
出演:チャウ・シンチー(シン)
ン・マンタ(ファン)
ヴィッキー・チャオ(ムイ)
パトリック・ツェー(ハン)
ウォン・ヤッフェイ
リン・ゾーソォン
ティン・カイマン
モー・メイリン
チェン・グォクン
(感想)
スポーツを題材にした作品において、マンガやアニメでしか許されていなかったような表現を実写映画に取り入れた、というのがまず面白いですね。
登場人物が宙を舞い、ゴールポストが曲がるほどの強力シュートを放つと。もう、この映像が単純に、見てるだけで面白いものなんですよね。
さらに、監督チャウ・シンチーのコメディ演出も非常に冴えていました。普通の映画の常識が通用しないような破天荒なギャグが出てきたり、普通の映画なら恥ずかしくてやらないようなベタなギャグを登場人物がやってきたりと、実に賑やかで楽しげです。
そして、主要キャラから脇役まで、キャスティングも面白い事になってましたね。少林拳を使う兄弟子は、見るからにうだつのあがらなそうな中年とかデブとかで、とても超絶プレーを見せるとは思えない外見なんですけど、これがいいんですよね。普通の外見の人が超絶プレーをしたのでは決して味わえないおかしさが感じられました。
こういう、見た目の部分だけ取り上げても十分面白い映画ですが、さらにストーリーも面白いんです。少林チームが覚醒して、話が本番に入るまでがちょっと長いんですけど、でも、この前半部分で、主要キャラの負け犬っぷりをしつこいぐらいに描いているからこそ、後に少林拳に覚醒する時が燃えるんですよね。今まで耐え抜いてきたのが、一気に爆発したような爽快感もあって、もはや感動的ですらありました。
あと、饅頭屋で働くヒロインとのサイドストーリーも良かったですね。基本的に、この手の脇道話は好きじゃないんですけど、演じてる女優さんも可愛らしかったですし(酷いメイクでしたが・笑)、「自分に自信がなく、鬱々と日々を暮らしていたが、段々自信を持てるようになっていく」というのは、実に爽やかでいいです。
思えば、シン以外の主要キャラ全部が、「失っていた自信を取り戻し、復活する」という道筋を辿ってるんですよね。シンには、少林拳だけでなく、回りの人を元気づけるという能力もあるのかもしれないですね。ちょっと街角で歌っただけで、回りの通行人を巻き込んだミュージカルに発展したりしましたし(笑)。
試合中は「大技の出し合い」みたいな感じで、サッカーのスポーツとしての面白味は全く表現されてないんですが(笑)、アクションコメディとしての面白さは120%表現されていました。
所々に、「やり過ぎで、見てて引く」というギャグシーンや暴力シーンもあるんですが、全体的には傑作と呼んでも差し支えないアクションコメディ映画だと思いますね。