監督・共同製作:ジョン・シュミット
出演:ジェイソン・ジョージ(デリック・ウィリアムズ)
ネド・ボーン(マイケル・ハリス)
ダブニー・コールマン(マック・レナード社長)
キリ・サンティアゴ(シェリル)
デビッド・スチュアート(グレッグ)
クリスティン・スティーブンス(ジョシュ)
トッド・ブリッジス(エディ)
(感想)
雪山映画の『バーティカルリミット』と『クリフハンガー』のタイトルをくっつけただけという、小学生が考えたみたいなレベルの邦題が素晴らしい(でも、原題も『ザ・クライム』とそのまんま・笑)。内容も、上記の映画をパクったバッタ物映画なのかと思ったら、ちゃんとした人間ドラマでした。登山家の男二人の友情の物語、といった感じの内容なんですね。
南米一の高峰“シカナグア”という、名うての登山家が登頂を夢に見るぐらいの難易度の高い山。それに挑む事となったデリックとマイケルの二人ですが、まずこの二人が、映画のオープニングの段階で初めて会うという点に注目です。人種も性格も正反対の二人が協力して困難に立ち向かって行くという、バディ・ムービーみたいな感覚があるんですね。
デリックの方は、「常に限界まで挑戦する」が信条の大胆派の黒人。マイケルの方は慎重派でクリスチャンという白人。もろ正反対なタイプですが、対立するような場面はあまりありません。二人とも大人なので、相手の意見もきちんと尊重出来るんです。ただ、自己を押し通す所ではキッチリ押し通します。この二人の会話は、そのまま人間関係の教科書になりそうなぐらい模範的でした。
もちろん、まったく対立が無いわけではありません。度々波風が立つ事もあるんですが、それへの対処もしっかりしてるんです。
数日前に初めて会ったばかりの二人が、登山の練習や、そこでの会話などからお互いを段々知り合って行く様も見ていて面白いです。どちらもバカみたいな我がままを言わないので、見ていてとても気持ちがいいです(これが、友情じゃくて恋愛が主軸の話だったら、こうは行かないんだろうな・・・)。
登山シーンでは、最初の頃は妙に特撮が目立ってたんですが、なぜか終盤はほぼ実際の雪山でのロケになります。顔はゴーグルとマスクで覆われる形になるので、スタントマンが代行出来るからなんでしょうね。
この映画、最後まで二人の友情の話で終わってくれれば、傑作の部類に入れてもいいぐらいの映画だったんですが、なぜか最後の最後で、「キリスト礼賛」の話になってしまいます。最終的には、神を信じていなかった男が、一連の出来事で信仰を持つに至ってメデタシメデタシ。という終わり方なんですよね。マイケルがキリスト教徒だというのは、キャラクターに深みを持たせる為の、ただの設定だと思っていたら、映画のテーマとして機能する伏線だったんですね。何だか、個人的には残念な終わり方でした。