監督・撮影:ピーター・ハイアムズ
共同製作:サム・ライミ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム(マックス・ウォーカー)
ロン・シルバー(アーロン・マッコム)
ミア・サーラ(メリッサ・ウォーカー)
ブルース・マッギル(マトゥーザック隊長)
グロリア・ルーベン(フィールディング)
スコット・ベリス(リチャード)
ジェイソン・ションビング(アートウッド)
(感想)
開脚!回し蹴り!一人二役!と、ヴァン・ダムのトレードマークが全て揃った、ヴァン・ダムの魅力全開の会心の一作です。とにかく、意味もなく開脚、股割りを連発するヴァン・ダムの姿には感動を禁じえません。
タイムトラベル物の映画ですが、この手の映画を見ると必ず「あの展開は辻褄があってるものなんだうか?」みたいな疑問点が出てくるものですが、この映画も例に漏れず、見終わった後に色々と分からない点や納得のいかない点が出てくる事となります。
でも、これはタイムトラベルを扱った映画のほとんどについて回る問題で、この『タイムコップ』特有の欠点ではありません。大事なのは、「では、この映画にはそういう矛盾点に目を瞑ってまで評価したいと思うような、『タイムコップ』ならではの価値があるのか」という所です。
で、そこで出てくるのが先に上げたヴァン・ダムの個人技の数々なわけですよ。敵と一対一の格闘戦において、敵の上段パンチを股割りで避けるシーンが出るような映画が他にありますかと。「タイムトラベルの絡まない、他のヴァン・ダム映画にあるかもしれない」と言われたらもうどうしようもないですが、いやそこはほら、こんなハイテクノロジーの関わる内容にこういったシーンがあるギャップの面白さとかあるじゃないですか。
要するに、こんな苦しい言い訳を捻りだしてまでも擁護したい魅力のある映画だと言う事ですよ。色々と突っ込みどころみたいなのが散見される映画ですけど、そういった面も楽しい映画だと思います。例えば、過去に飛んだ際に「どこに出るのか分からない場合がある」という謎の設定があるおかげで、トラックに跳ねられそうになったりだとか、池にドボンして女性隊員の乳首が浮き出る事になったりだとか、そういう映像的に楽しいアクシデントが起こったりしますし、2004年の車のデザインの圧倒的ダサさとか、こういうのがどんどん出てくる所は、まともなタイムトラベル映画では得られない類の楽しさだと思いますね。
ただ。タイムトラベル物としてではなく、アクション映画としての話ですが、クライマックスの元の家での攻防戦が、何かちょっとモタモタした感じで、クライマックスとしての迫力に欠けるのはもうちょっとどうにか出来なかったものかとは思いましたね。
せっかく「ヴァン・ダムが二人も存在する!」という、劇中最高に有利な条件が揃ってるはずなのに、どっちのヴァン・ダムもあっさり苦戦するんですよね。あの押し入ってきた連中はそんなに強い奴らだったのか。
これはこの映画に限った話じゃないんですが、なまじ主演がアクションスターで主人公が強い男だったりすると、途中の雑魚を楽々倒してきていただけに、ラストで突然苦戦し始めるという姿に説得力が無いんですよね。
特に90年代の映画に多かったと思うんですけど、後の映画ではあまりそういう事を思わなくなってきたという事は、その辺のうまい解決法が見つかったという事なんでしょうかね。思えば、後の映画には「敵の数を増量させる」「ボスも雑魚同様瞬殺する」など、色々と工夫をするようになってきたような気がします。でも、それが出来るようになったのも、こういう映画が礎となってきたからこそですからね。アクション映画史的にも意味のある映画だったというわけですよ。
ところで、関係無い話ですが、この94年の時のマックスは何であんな豪華な屋敷に住んでたんでしょうかね。相続か何かして手に入れた家なのか、奥さんの方が裕福だったのか。