監督:トニー・スコット
製作:ドン・シンプソン
ジェリー・ブラッカイマー
出演:トム・クルーズ(マーベリック)
ケリー・マクギリス(チャーリー)
バル・キルマー(アイスマン)
アンソニー・エドワーズ(グース)
トム・スケリット(バイパー)
マイケル・アイアンサイド(ジェスター)
ジョン・ストックウェル(クーガー)
バリー・タッブ(ウルフマン)
リック・ロッソビッチ(スライダー)
ティム・ロビンス(マーリン)
クラレンス・ギルヤード・ジュニア(サンダウン)
ホウィップ・ハブリー(ハリウッド)
ジェームズ・トルカン(スティンガー)
メグ・ライアン(キャロル)
(感想)
カッコいい戦闘機が、カッコいい音楽に乗って大空を飛び回り、主人公はカッコいいトム・クルーズ。まさにアイドル映画みたいな感じですが、監督のトニー・スコットがさすがの手腕でもって、ただの軟派な映画には仕上げませんでした。
トムだけでなく、それ以外の登場人物も平等にカッコよく映るように撮られています。なので、トムだけが浮いて見えるような印象が無いんですよね。特に、バル・キルマー演じる、ライバルのアイスマンなんか、とってもいいキャラクターです。教官のトム・スケリットとマイケル・アイアンサイドも、それぞれいい渋味が出てました。ヒロインのケリー・マクギリスも知的でいい感じです。
主要キャラがそれぞれ魅力的に描かれているんですが、これは脚本の力というよりも、監督の映し方がうまいんじゃないかと思います。
そして、この映画最大の見所である空中戦シーンの撮影がまた、凄い迫力です。CGの無い時代なので、全機本物ですからね。見ている人も、一緒に飛行機に乗って飛んでいるような「浮遊感覚」すら味わう事が出来ます。そして背景にはノリノリのBGMが鳴っているんですから、もう至れり尽くせりです。
ただこの映画、見る人によっては面白くもなんともないタイプではありますね。その人が「映画に何を求めるか」でかなり印象が変わってくるでしょう。
この映画は、とにかく映像から来るインパクトが第一に作られています。人物描写やドラマ性などは二の次です。主人公に感情移入し、練られたストーリーのドラマを楽しむ、という映画ではないんです。
主人公には全くと言っていいほど欠点が無いですし、悪人すら出て来ません。ライバルはいますが、特に重要な役回りではないです。恋愛の要素もサラリと流されるだけです。ドラマ的な要素はすべて、観客が映画を見ていて飽きない為に挿入されているだけ、と言っても過言では無いでしょう。
とにかく、観客に「考える」という事を全く強いず、上映時間中、観客を楽しませる事のみに全力を傾けて作られた、そんな映画なんです。
見てる人それぞれが、自分もマーベリックになったつもりで(エリート中のエリートパイロット。しかも顔がトム・クルーズ)戦闘機を駆って大空を飛び回れる、そんな快感が得られるわけです。いい意味で「最良のイベント映画」といった感じです。
つまり、イベント映画として最高峰の出来を誇ってるわけですよ。これは、きちんと人間ドラマを描いてるけど面白さはそこそこみたいな映画と比べても相当価値の高い作品だと思うんですがどうだろうか。
ところで、この映画、今見ると、この後に有名になった人が数名出ていますね。
まず筆頭は、マーベリックの相棒、グースの妻役でちょこっと出てくるメグ・ライアンでしょうね。トム・クルーズとのツーショットなんて、今じゃ出来ないでしょう。グース演じるアンソニー・エドワーズも、『ER』のグリーン先生役でお茶の間の(アメリカだから“リビング”か?)人気者となりました。しかも、この頃はまだハゲてません。
そして、ジェスター教官役のマイケル・アイアンサイド、アイスマン役のバル・キルマーも今だに現役で活躍しています(アイアンサイドの方は主にBの世界でですが)。
さらに、意外な事に、パイロットの一人でティム・ロビンスも出てたんですね。