トランスポーター
<THE TRANSPORTER>
02年 フランス・アメリカ合作映画 94分

監督:ルイ・レテリエ
アクション監督:コーリー・ユン
製作・共同脚本:リュック・ベッソン
出演:ジェイソン・ステイサム(フランク・マーティン)
   スー・チー(ライ)
   マット・シュルツ(ウォール・ストリート)
   フランソワ・ベルレアン(タルコーニ警部)
   リック・ヤン(ミスター・クワイ)
   ダグ・ランド(リーダー)
   ディディエ・サン・ムラン(ボス)
   ヴァンサン・ネメス(パイロット)
   ジャン=イヴ・ビリアン(ギャングのボス)
   アドリアン・デアルネル(ジャーナリスト)

(ストーリー)
元軍人で、現凄腕の運び屋という男フランク。彼は自分の仕事に絶対的なルールを設けていた。そのルールとは、「契約の変更はしない」「運ぶブツの中を見ない」「何も質問しない」という3つだった。
だが、ある荷物を運んでいる時、そのルールを自ら破ってしまった。トランクに入れられていた荷物が動いていたのを見て、荷物を開けてしまったのだ。そして、何と中には若いアジア人の女が入っていたのだった。
しかし、フランクは何も見なかった事にし、約束通りに依頼人に荷物を届ける。だが、ルールを破ってしまったツケか、車や家を爆破されたりと、とんだ目に遭わされてしまう。フランクは、自慢の筋肉でこのトラブルの収拾を図るのだった。

(感想)
公開当時は「リュック・ベッソン製作・脚本の映画」というのがウリだったような記憶があるのですが、今となっては、「アクションスター、ジェイソン・ステイサム伝説第一章」みたいな立場になりましたね。
これまでは『ザ・ワン』や『ゴースト・オブ・マーズ』の脇役としてお馴染みでしたが、この映画に初主演し、一気にアクション俳優としての素質を開花させましたね。筋肉のムキムキ具合も素晴らしいですし、アクションシーンでの動き、表情など、全てにおいて申し分無しですよ。最初にこの映画を見た時は、「こんなに凄い奴だったのか!」とかなり驚いたものでした。

映画の内容も、もう完全にアクションシーンがメインで、ストーリーは二の次みたいな感じのものです。アクション監督のコリー・ユンが、ルイ・レテリエと一緒に監督としてクレジットされてるところを見ても、メインがアクション描写にあるという事がよく分かります。
銃撃、爆破、カーチェイスと、迫力アクションが次々出て来るんですが、中でも力が入れられてるのがカンフーアクションです。動きはヴァン・ダムやゲイリー・ダニエルズのとは違う、香港映画風の振り付けとなっています。なので、時折「スローなジャッキーアクション」に見える事もあったりするんですが(笑)。
でも、ジャッキーはあまりやらないような、「銃の背面キャッチ」だとか「開脚ジャンプ」と言う、ステイサムならではと思えるような動きもちゃんと出て来るのがいいですね。
こういった、アクションシーンの質がとても高いため、物語にあまり力が入れられていない点も、「マイナス要素だ」とか思えないんですよね。むしろ、贅肉を削ぎ落としたかのような、全体的にスマートな印象が感じられます。「アクションのみで勝負!」みたいな潔さがあっていいですね。
特に、終盤の、上半身裸のオイルまみれでマッチョな連中を次々回し蹴り倒すシーンなんか最高でしたね。とても、序盤ではスーツ姿でクールに車を乗り回していたのと同じ男の仕事とは思えないです(笑)。このギャップも面白い点の一つですかね。
そもそも、中盤以降はもう、フランクの職業(運び屋)が完全に忘れ去られて、ひたすら筋肉&カンフーな場面が続きましたからね。でも、こういうのが許される映画っていいなと思いますねぇ。