暴走特急
<UNDER SIEGE 2>
95年 アメリカ映画 99分

監督:ジョフ・マーティ
音楽:ベイジル・ポールドゥリス
出演:スティーブン・セガール(ケイシー・ライバック)
   エリック・ボゴシアン(トラヴィス・デイン)
   エヴェレット・マッギル(ペン)
   キャサリン・ヘイグル(サラ・ライバック)
   モリス・チェスナット(ボビー)

(あらすじ)
テロリスト軍団が特急列車をジャックした!しかし、運の悪い事に、その列車には最強のテロリストキラー、ケイシー・ライバックが乗り合わせていたのだ!一人、また一人と消されていくテロリスト軍団。列車は阿鼻叫喚の地獄と化すのだった。

(感想)
私の中でのセガール映画ベスト1にして、全アクション映画の中でも確実に上位に来る傑作です。舞台が走行する列車内と限られている為、ライバックとテロリスト軍団の攻防が狭い空間内でより一層引き立って見えます。
前作『沈黙の戦艦』同様、ライバックはプロの技を駆使してテロリスト共を葬っていきます。その場面により、ブービートラップだったり、手作り爆弾だったり、圧倒的破壊力のセガール拳だったりと、次々と画面上に展開される匠の技には、もう酔いしれるしかないです。
舞台が列車という事で、この手の限定空間アクション映画の中でも行動範囲がかなり狭い部類です。でも、少ない隠れられる場所をうまく使って敵との攻防を描いていて、話の展開はかなり面白い部類だったと思います。一旦列車から離れるハメになった後に、また追いついて飛び乗ったりといった工夫が見られるのもいいですね。多分、主演がセガールじゃなくても面白い映画になったんじゃないかと思うぐらいです。
あと、一緒に行動する相棒の存在も良かったです。「面白黒人枠」みたいな存在ですけど、コメディリリーフとしての役割だけでなく、以外と有能で、色んな局面で役に立つというおいしいキャラでもありました。で、ここでの活躍が認められたのか、後に『奪還アルカトラズ』では敵テロリストのリーダーに昇格する事となりました。

上で「主演がセガールじゃなくても面白い映画になったんじゃないか」と書きましたが、やっぱり、セガールじゃなかったらただの名作アクション止まりだったと思います。この映画を傑作たらしめているのは、やはり主演がセガールだからこそですよ。例えば、「列車にセガールが乗ってると知った敵達がビビりだす」とか「狙撃されてしまうが、弾が貫通した為にダメージ無し」といった伝説級の見せ場が出てくるのも、セガールだからこそ説得力があったわけですからね。
そして、この映画で描かれるセガール伝説の中でも、私が初見時に一番驚いたのが、敵の大ボスとの一騎打ちシーンです。その戦闘の前、生意気な事を言った部下をナイフで一瞬で殺して強さをアピールするというシーンがあるので、さぞや激しいバトルが展開されるんだろうと思ってしまいます。外見やらそれまでの態度やら見ても、かなり強そうな雰囲気を漂わせていた奴ですからね。
ですが、いざ戦ってみると、なんとそのボスキャラがライバックに全く歯が立たないという事態に!
これは、コイツが思ってたよりも弱い奴だったというわけでは決してなく、セガールの方が圧倒的に強かったというのがしっかりと映像で表現されてるんですよね。ただ力技でねじ伏せるだけではなく、敵のあらゆる攻撃を簡単にいなして見せたりと、どんな攻撃を繰り出しても無駄だなと思わせてくれるんです。合気道の動きを基本とした、あの怪しげなセガール拳の動きを初めて見た時はたまげたものでしたねぇ。これまでに見てきた「映画の中の衝撃シーン」の中でもそうとう上位に来るぐらいの驚きを与えられました。

あとこの映画、実は音楽もかなりいいんですよね。『ロボコップ』や『スターシップ・トゥルーパーズ』のペイジル・ポールドゥリスなんですが、セガール主演作では、前作の『沈黙の要塞』に引き続きの起用でした。今回も勇壮なテーマ曲を聞かせてくれるんですが、それだけでなく、今回『ロボコップ』並みに覚えやすいテーマ曲という印象でしたね。セガール映画にはあんまり、覚えやすいテーマ曲みたいなのが今まで無かったので(シュワにとってのターミネーターの曲とか、スタローンにとってのロッキーの曲みたいな、いわゆる代表曲みたいなの)、もう、この『暴走特急』のテーマが、そのまま「セガールのテーマ」という感じがしてしまいます。