バーチュオシティ
<VIRTUOSITY>
95年 アメリカ映画 106分

監督:ブレット・レナード
出演:デンゼル・ワシントン(パーカー・バーンズ)
   ラッセル・クロウ(シド6.7)
   ケリー・リンチ(マディソン・カーター)
   ステファン・スピネラ(ダレル・リンデンマイヤー)
   ウィリアム・フォーサイス(ウィリアム・コクラン)
   ルイス・フレッチャー(エリザベス・ディーン)
   ウィリアム・フィッチャー(ウォレス)

(あらすじ)
仮想現実(バーチャル・リアリティ)世界の大悪党、シド6.7が現実の世界に現れてしまった!
以前、バーチャルの世界でシドと戦った事のある元警察官で現囚人のパーカーが、シドを捕らえる事を条件に保釈となる。無事に任務を遂行出来れば釈放となるのだが、シドの人格形成に使われた殺人鬼達の中に、かつて妻と娘と自分の片腕を奪った男の人格が使われている事から、復讐の為にシドを追うのだった。

(感想)
『タイムコップ』『デモリションマン』のような、いい意味でB級臭の漂うSFアクションの傑作です。しかもキャストがアクション系俳優ではなく、演技派ナンバー1のデンゼル・ワシントンが主演に、最近ではアカデミー映画の常連となったラッセル・クロウが悪役という、一見豪華な布陣。
でも、この映画はジャンルが「SFアクション」です。普通の演技力よりも、アクション演技の方を要求されるタイプの映画な為、演技派を揃えたところで別に意味は無いんですけどね。

突如現れた凶悪な殺人鬼を追う為に、刑務所にいる元刑事が追う事になる。という大まかなストーリーは、かなり『デモリションマン』に通じるものがありますが、あちらがコメディを前面に出していたのに対し、こちらはバイオレンスを前面に出してきています。
とにかく、悪役のラッセル・クロウ演じる、シドのワルっぷりが凄いですね。『デモリションマン』のスナイプスに輪をかけて凶悪にした感じです(でも「強い」わけではない)。何しろ、人間ではないため、「情け」「憐れみ」といった感情が全く無いんです。まるで虫を殺すかのように、当たり前のように人を殺していきます。
それにコイツ、銃で撃っても中々倒せません。体の傷はガラスを吸収すると治ってしまいます。とっても厄介な敵ですね。

それを追うヒーローのデンゼル演じるパーカーは、どちらかと言うとステレオタイプ的な感じのキャラクターなので、映画を見終わった後は、主人公よりもシドの方が印象に残ってしまいます。
ただ、デンゼルは、この映画に出演した理由を「子供に、“クール”な映画に出て欲しいと頼まれたから」というような事を言ってました。とりあえず、その努めだけは果たせたようですね。悪党に銃をバンバンぶっ放す、まさに“クール”なヒーローでした。
ただ、当時はデンゼルがクールにアクションヒーローを演じてる映画が他にそれほど無かったので、そういう意味で貴重な存在の映画だったんですが、後に『イコライザー』やら『ザ・ウォーカー』など、さらにクールでイカした映画が登場してしまいました。なので、この映画の有難みも若干薄れてきたかと思いがちですが、「SFアクションに出てるデンゼル」というのはまだ他にほとんど無いので、貴重さはまだ健在と言えそうです。