監督・共同脚本:ブライアン・シンガー
音楽:マイケル・ケイメン
出演:パトリック・スチュワート(プロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア)
イアン・マッケラン(マグニートー/エリック・レーンシャー)
ヒュー・ジャックマン(ウルヴァリン/ローガン)
アンナ・パキン(ローグ/マリー・ダンキャント)
ハル・ベリー(ストーム/オロロ・マンロー)
ファムケ・ヤンセン(ジーン・グレイ)
ジェームズ・マーズデン(サイクロップス/スコット・サマーズ)
レベッカ=ローミン・ステイモス(ミスティーク/レイベン・ダークホルム)
タイラー・メイン(セイバートゥース/ビクター・クリード)
レイ・パーク(トード)
ブルース・デイビソン(ロバート・ケリー上院議員)
(感想)
数あるコミックヒーロー映画の中で、私が唯一、原作を知っていたのがこの『X−MEN』でした。と言っても、コミックを読んだというわけではなく、一時期テレビ東京で夕方に放映していたアニメを見ていただけなんですが(コミックとは微妙に違うストーリーらしいですね)。
それでも、コミックもアニメも全く見たことの無い他のコミックヒーロー映画に比べたら、かなりとっつきやすい映画ではありました。
登場キャラが多いですし、それぞれに違った能力を持っていたりするんですが、そのほとんどを事前に知っていたのは実に助かりました。ただ、例えばサイクロップスとか、“目を開けてる限りビームが勝手に出続けてしまう体質(?)な為、特殊なゴーグルを付けている”、という設定とか、セリフで出てくるわけではないので、この映画で初めてX−MENを知ったみたいな人にとっては、サイクロップスがゴーグルを外されて苦戦するシーンなんかで混乱してしまうんじゃないかと、ちょっと心配です。それとも、この辺はもう向こうでは一般常識だったりするんだろうか。『ドラゴンボール』の登場人物が空を飛んでいるのを見ても日本人は誰も不思議に思わないみたいなレベルで。
さて、この映画版『X−MEN』、あんまり「コミックヒーロー映画」という感じがしないんですよね。むしろ、『ロボコップ』みたいな、“SFヒーローアクション”のような印象です。
原作自体、スーパーパワーを持った超人がチームで出てくるという、他のコミックヒーロー物とは少し違うものであるという事もあるんでしょうし、ヒーロー達が原作そのままのコスチュームを着ていないという、美術面の印象も大きいです。
それに、ミュータント達がスーパーパワーを持っている事を、一般の人々が恐れている、というのもありますね。これこそ、この物語の根幹といってもいい要素で、他のコミックヒーロー物は、主人公がスーパーパワーを使って悪人を倒してくれる事をお約束として有り難がってくれますが、『X−MEN』では、“未知の能力”という事で恐れられてしまうんです。
「もし実際にスーパーパワーを持った人々が現れたら」という面をリアルに描いていて、それまでのコミックヒーロー物の映画よりも現実味があるように思えたものでした。
そして、この映画の登場により、アメコミ映画というジャンル自体が一段上のレベルに進んだようで、この映画とこの後の『スパイダーマン』の大ヒットにより、今後10年単位で続いていくアメコミ映画ブームが巻き起こる事となったのでした。
でも、実はこの映画の功績って、アメコミ映画への貢献だけでなく、ゲームの実写映画化方面への影響もあったんじゃないかという気がするんですよね。コミック映画もゲームの映画化も、これまではビジュアル面を変に原作に寄せようとして失敗したケースが多かったんですが、この『X−MEN』ではコスチュームの一新やら現実味のあるストーリーやテーマ性を持たせる等、「映画化する時はこういう感じにしたらいい」という新しいスタンダードを確立させた気がするんですよね。
キャスティングに関しても、原作に拘らない外見の方を選んでいて、マグニートーはお爺ちゃんになりましたし、ウルヴァリンも全くの別人の長身のイケメンになってしまいました。でも、そういうキャラに関しても原作の要素を完全に排除したわけではなく、マグニートーは変なヘルメットちゃんと被りますし、ウルヴァリンは原作のキャラにあった「野性味」をきちんと残した演技をしていて、爪を出して構える様なんかは結構そのままな感がありました。それに、プロフェッサーXはキャスティングの面からして原作そのままみたいになってましたしね。この辺の、原作から残す所と変える所のバランスもよく考えられていたんでしょうね。
一方、アクションシーンの演出に関しては、あんまり新鮮味みたいなのは無いタイプで、公開当時は、一部から「またマトリックスもどきか」みたいに思われていたようです(ちなみに、私も思ってました・笑)。
スーパーパワーを持った連中が大勢出てくるんですが、その能力を使ってどうアクションを魅せるかというのはまだあまり考えられていなくって、基本的に技を個別に出して終わり、みたいな感じでした。
なので、アクション面に関しては結構寂しいものがあるんですが、まあ、そこまでこの映画一本に求めるのは酷というものですね。