28日後...
<28 DAYS LATER>
02年 イギリス・アメリカ・オランダ合作 114分

監督:ダニー・ボイル
脚本:アレックス・ガーランド
音楽:ジョン・マーフィ
出演:キリアン・マーフィ(ジム)
   ナオミ・ハリス(セリーナ)
   ミーガン・バーンズ(ハナ)
   ブレンダン・グリーソン(フランク)
   クリストファー・エクルストン(ヘンリー・ウェスト少佐)
   レオ・ビル(兵士ジョーンズ)
   リッチ・ハーネット(ミッチェル伍長)
   スチュワート・マッカリー(ファレル軍曹)
   ノア・ハントレー(マーク)

(ストーリー)
交通事故で病院に送り込まれたジムは一ヶ月近く昏睡状態が続いていた。
そして、ジムが目を覚ました時。病院には誰もいなかった。
病院の外に出たジムだが、ロンドンの町、全てが無人化していたのだ。
教会に入ったジムは、その中に大量の死体を発見する。が、その死体の中から数人が動き出してきた。充血して真っ赤な目に、口からは唸り声のようなものを上げるその人々はジムに襲いかかってくるのだった。
わけが分からずに逃げるジムだが、二人の人間に助けられれる。そして、彼らの口から、自分が病院で寝ている間に世界で何が起こったのかを聞かされる。謎のウイルスが蔓延し、そのウイルスに感染した人は理性を失い、凶暴化してしまうのだ。感染はまたたくまに世界中に広がり、すでに政府も軍も機能しなくなっていた。

そんな中、マンションの上階に隠れ住んでいた親子と知り合い、彼らから、軍が生存者を集めてる場所があると聞かされる。録音されたテープで流れるその情報をラジオで聞いたのだ。

ジム達は生き残る為、その場所に言ってみる事にするのだった。

(感想)
人類がほぼ絶滅した、いわゆる黙示録後の世界を描いた映画です。ですが、人類は死に絶えたわけではなく、あるウイルスに感染した状態でまだいっぱい生きているんです。そのウイルスに感染すると、理性を失い凶暴化してしまう。そして、感染していない他の人々を襲い始め、襲われた人もウイルスに感染し、感染者は次々と増えていく・・・。
というこの世界。まるで『ゾンビ』シリーズの世界みたいで、実にいいですね。ただ、感染者とゾンビはまた別物で、一応“生きてる人間”という事だからなのか、ゾンビのようにゆっくりした動きではなく、全力疾走で迫ってくるんです。なので、生存者達のサバイバルがより難しくなっているわけです。
ですが、残念な事に、この映画、どうも生存者達がいかにサバイバルするかというのに重点の置かれたストーリーではなく、どちらかというと、こういう世界に生き残ってしまった人達の心理状態みたいなのに力を入れてるような雰囲気でしたね。さすがは、監督が「娯楽よりアート」なタイプの人だけの事はあります。
そういう監督の映画なので、やはり作品的な評価は高いんですけど、どうも、私にはちょっと高尚すぎてついていけない所があるんですよね。こういうのより、全力ゾンビがダーッ!と攻めてきて、生存者が逃げたり戦ったりするだけの映画である『ドーン・オブ・ザ・デッド』やら『デモンズ』やらの方が好きです。

でも、まあたまにはこういう、世界観や登場人物の心理描写等に重きを置いた映画も悪くはないと思います。実際、無人のロンドンの映像とか、凶暴な感染者の描写とか、「いいな」と思える面も多いんです。
ですが、一つ、大変困った所がありまして、それが一番の障害となって、この映画を「いい映画だ」と言い切れなくしているんですよね。
その「困った所」とは、感染者の襲撃シーンにおいて、臨場感を出す為なのか、「思いっきり画面をブレさせる」「カット割を細かくする」などの撮影テクニックを使ってきている所です。もはや、画面内で何が起こっているのか分からないぐらいのメチャクチャぶりで、確かに、「現場では大混乱が起きている」というのはよく伝わってきました。
全体的にビデオカメラで撮影したみたいなザラついた映像になっていますし、多分、ドキュメンタリーの雰囲気を出そうとしてるんでしょうね。で、本当はこの演出で、身に迫るような臨場感と緊迫感を感じなきゃいけない所なんでしょう。
でも、私にとっては「ただ分からないだけ」で、怖いだとかリアルだとか思うような段階ですらないんですよね。「何これ?」と思うだけで。
感染者が人を襲う所とか、登場人物達がどう対処しているのかとかが一番見たい箇所と言っても過言ではないぐらいなのに、その肝心の部分が隠されてしまってるんですよね。何だか、見たい箇所にボカシが入れられてるようなイライラを感じてしまいました。