監督・脚本:ライアン・シフリン
音楽:ラロ・シフリン
出演:マット・マッコイ(プレストン・ロジャース)
ハーレイ・ジョエル(アマンダ)
クリスティン・ティンズレイ(オーティス)
カリン・アンナ・チュン(CJ)
ナタリー・コンパグノ(ミッシェル)
ポール・グリーソン(ハルダーマン保安官)
ランス・ヘンリクセン(ジーグラー)
ジェフリー・コムズ(ロイ)
アシュレイ・ハートマン(カレン)
ティファニー・シーピス(トレーシー)
レックス・リン(ビリー・ホス)
ディー・ウォレス(エセル・ホス)
一方、家畜の馬とペットの犬を正体不明の生物に殺されたビリーは、その謎の怪物を退治する為、仲間を集って森に集結。だが、予想以上のスピードと攻撃力を誇る怪物の前にあっさり全滅するのだった。
その後、怪物は女達の家の前に現れる。それを双眼鏡で見ていたプレストンは隣家に警告を発するが、凶暴凶悪な怪物の前に、女達は次々惨殺されていくのだった。
だが、一人、命からがら逃れてきた女がいた。その女を家に匿ったプレストンは、どうにか怪物から逃れる方法は無いかと知恵を絞るのだった。
(感想)
パッケージが思いっきり『ディセント』で、邦題も洞窟を連想させるものになっているんですが、内容は「ビッグフット風の怪物が、森の中の屋敷を襲う」という、『ディセント』とは似ても似つかないものです(ほんの2,3分ほどですが、洞窟のシーンも一応出てきましたが)。確かに、別荘に遊びにきた団体が全員女性でしたけど、主人公はその隣の家に住んでいる、脚と心に障害を抱えた中年男ですからね。
しかし、この映画の一番のセールスポイントは、『ディセント』のバッタ物を装っているという点ではなく、ランス・ヘンリクセン、ジェフリー・コムズといった大物スターが名を連ねている点です。ついでに、『SCI:マイアミ』シリーズのトリップ刑事でお馴染みのレックス・リンまで出ていました。
さらに、何故か音楽がラロ・シフリンという大御所だったりします。「どうして、こんなB級未公開映画に関わってるんだろう?」と思ってしまいますが、多分、監督のライアン・シフリンというのが身内なんでしょうね。
こんな面子が揃ったモンスターホラーなんて、さぞや面白い映画に違いないと思うじゃないですか。主役は見た事も聞いた事も無い人ではあるものの、大御所達が脇で映画を盛り上げてくれるに違いないと。
ですが、まあ、驚きましたね。ヘンリクセンとコムズが、いわゆる「『ディープ・ブルー』のサミュLジャクソン」みたいな扱いでの登場なんですけど、その登場シーンの少なさときたら、もう完全にゲスト出演程度なんですよね。出たと思ったら死んだみたいな(そこまで短くはないですが・笑)。もう、「何しに出てきたんだよ!」と言いたくなるぐらいでしたからねぇ。
一応、コムズは最後に多少笑いをとってから散っていったんで(と言うか、役柄自体が“変な人”の役でしたし)、「まあ、いいかな」とも思えるんですけど。どうせ、こういう、チョイ役での登場が多い人ですし。
と、期待していたキャスト面に関しては全く見るべき点が無かったんですが、映画自体はまあそこそこ面白いものでした(思えば、ヘンリクセンやコムズが“出てきたと思ったらすぐ死んだ”というのも、面白いと言えば面白い点でしたしね)。
まず、この手の映画において、主人公が車椅子というのはかなり手強い設定です。基本的に、五体満足でも助かるのが難しい世界なんですから。この設定によって、ストーリーがスリリングになっていたと思いますね。
この主人公のプレストンは、結構早い段階から森に怪物がいる事に気付くんですが、それを回りに伝えたり、信じてもらったりする事が中々出来ないんです。玄関前には階段があるので、直接隣に出向いて危険を知らせるという事も出来ませんし、警察に連絡を入れても、いたずらだと思われてしまいます。
そして一番厄介なのは、介護士だか友人だかよく分かりませんが、連れが一人いるんですけど、コイツがプレストンの言うことを全く信用しないんですよね。何しろ、事故のショックで精神的に不安定な状態にいたおかげで、プレストンが何を言っても、幻覚か狂言だとしか思わず、隣に警告をしたくても、させてもらえないんです。
でも、うまく説得すればどうにかなりそうな感じもあったんですよね。現に、隣では人が一人消えてるんですから。「主役がもっと頭がいいキャラだったなら!」なんて事を思ってしまうんですが、後にコイツは「怪物を知恵で出し抜いてやる!」みたいな事を言い出すんですよね。説得力が全然無いです。その後もあまり要領のよくない作戦を出したりしてましたからねぇ。
でも、この主役の頼りない感じは、怪物に追われる怖さというのを出す役に立っていたかもしれないですね。
で、その怪物ですが、外見は100%着ぐるみといった趣の、ニセビッグフットみたいなヤツです。でも、パワーも攻撃スピードもかなりのもので、「凶暴な怪物らしい」というのは感じられました。
でも、今回は襲った相手が弱かっただけで、武装した警官隊なんかが相手だったら、どうなんだろうな、と思っていたら、「実は森の中には仲間がいっぱいいた!」という愉快なラストショットが出てきました。まあ、ありがちと言えばありがちなラストなんですが、「暗い森の中にニセビックフットがズラっと並んでいる」という映像は結構不気味でしたね。