監督:リドリー・スコット
製作:ゴードン・キャロル
デビッド・ガイラー
ウォルター・ヒル
原案・脚本:ダン・オバノン
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:シガニー・ウィーバー(エレン・リプリー)
トム・スケリット(ダラス船長)
ジョン・ハート(ケイン)
ヤフェット・コットー(パーカー)
ハリー・ディーン・スタントン(ブレット)
ヴェロニカ・カートライト(ランバート)
イアン・ホルム(アッシュ)
猫(ジョーンズ)
(感想)
宇宙船という閉塞感のある場所を舞台に、殺人モンスターが暴れ回る、という映画です。それだけ聞くと、何だかB級な雰囲気が感じられますが、監督のリドリー・スコットの演出と、H・R・ギーガーによる画期的な怪物のデザインにより、まるで芸術作品を見てるかのような崇高な雰囲気のする映画になってますね。
このシリーズ全般に言える事ですが、美術面が凄いですよね。宇宙船のデザインからエイリアンのデザイン。エイリアンの卵があった謎の宇宙船のデザインまで、他のSF映画と比べてもトップレベルな芸術性の感じられるデザインになってるんです。
凄いのは、宇宙船のコンピューター類に関してもある種の芸術性が感じられる所ですね。機能性に関してはどうか分からないですが、そもそも宇宙船の機械なんて、もはや「どういうのが機能的なのか」もよく分からないですからね。
よく分からないと言えば、学生時代、美術の成績が限りなく低かった私が「美術面が芸術的だ」という感想を出すのも相当うさんくさい話なんですが、やはり、この映画の美術面を見て私が感じた事を一番うまく言い表せられる言葉は「芸術的」しか思いつかないんですよね。
ともかく、そこまで美術面が優れてる映画な為、79年の映画ですが、今見ても古臭さを感じないんですよね。コンピューター類なんかも、レトロ感覚よりも、むしろ近未来的な感じがしますからね。
ジャンル的には“美術館”ではなく、“SFホラー”に含まれる映画ですが(ジャンルが美術館ってのはどんな映画だ・笑)、ホラー映画としても優れているというのがこの映画の名作たる所以ですね。
エイリアンの姿形も相当おっかないんですが、そのエイリアンの姿をハッキリと映さない所が恐怖感を盛り上げてくれます。あの造形なら、完全に姿を見せて襲って来ても充分怖いと思うんですが、あくまでも姿をハッキリ見せず、謎の部分を残したまま、陰からバッと襲ってくるような感じの襲撃シーンになってるんです。で、これがまた怖いんですよね。
襲われる人がグロく死ぬ、というのは、チェストバスターが登場するシーンぐらいで、ほとんどは死に様もハッキリと映さずに観客の想像に任せている所もいいです(一人、派手に首のもげる方がいますが、まあ、人間ではないですからね)。変な不快感は与えずに、怖さだけ感じてもらう、といったところなんでしょうかね。