エイリアン3
<ALIEN3>
92年 アメリカ映画 115分

監督:デビッド・フィンチャー
出演:シガニー・ウィーバー(エレン・リプリー)
   チャールズ・S・ダットン(ディロン)
   チャールズ・ダンス(クレメンズ)
   ポール・マッギャン(ゴリック)
   ブライアン・グローヴァー(アンドリュース)
   ラルフ・ブラウン(アーロン)
   ランス・ヘンリクセン(ビショップ)
   ダニエル・エドモンド(ニュート)
   ピート・ポスルスウェイト(デビッド)

(あらすじ)
前作でのクイーン・エイリアンの襲撃&惑星の大爆発から生き残ったリプリー、ニュート、ヒックスの3人とアンドロイドのビショップ(こちらは半壊状態)は、宇宙船内で眠りにつきながら、広大な宇宙空間を漂っていた。
だが、船内でトラブルが発生し、宇宙船は付近にあった惑星に墜落。その衝撃でリプリー以外、みんな死亡してしまうのだった。

その惑星は、囚人達が工場でお仕事をしているだけの寂れた星だった。住人である囚人達は、最近宗教に凝り出したがためにようやく秩序だってきたという状況だったのだが、そこに、星唯一の女性であるリプリーがやってきたせいで、その秩序もにわかに崩れ始める。
だが、墜落の原因となったトラブルは、やはりエイリアンの仕業であり、そのエイリアンは犬に寄生した後、犬の腹を破って登場。囚人達を血祭りにあげ始め、もはや秩序云々どころの話ではなくなるのだった。

武器も機械も何も無いこの星、この建物で、3度エイリアンと戦う事となったリプリーだが、時折腹痛を起こしたりと、どうも調子がよろしくない。そこで体内をスキャンしてみたところ、リプリーの体は大変な事になっていたのだった!

(感想)
シリーズ毎に監督を変え、シリーズ毎に違った顔を見せるこの『エイリアン』シリーズですが、今回の監督は、1作目のリドリー・スコット、2作目のジェームズ・キャメロンに勝るとも劣らない実力の持ち主、デビッド・フィンチャーに白羽の矢が立てられる事となりました。
これが長編初監督作という事もあり、公開当時は無名の監督でしたが、後に『セブン』『ゲーム』『ファイト・クラブ』といった傑作を連発する事となりました。ほんと、このシリーズの監督の人選は見事です。

また、完成までにかなりのゴタゴタがあった映画でもあり、脚本も何回も書き直され、監督も何人も入れ替わったそうです。正直、「よくここまでまとまった映画になったものだ」と思ってしまうぐらいの込み入った舞台裏です。

毎回、違った色を見せるシリーズではありますが、基本はSFホラーというジャンルの映画です。『2』ではアクション色がかなり濃くなってましたが、今回は一転して暗く地味になりました。
ここでいう「暗い」とは、画面が暗いとかそういうわけではなく(実際、画面も暗めですが)、ストーリーが重暗いんです。それも、現在『4』まで作られたシリーズの中でもトップクラスの重暗さです。

オープニングで、前作でやっとの事生き残った人々があっさり死亡してしまってる事実を知らされ、観客はかなりのショックを受ける事となりますが、さらにこの映画のストーリー展開が、最終的に主要登場人物がほぼ全員死亡、さらには主人公のリプリーまでも死んでしまうというとんでもないものです。最初にこの映画のエンディングを見た時はほんと驚きましたね。
また、虫の大群が映るカットか出て来たり、エイリアンの攻撃でドス黒い血がブワッと飛び散ったりと、映像の気味悪さも相当なものです。
さらに、登場人物はリプリー以外、ほとんどが囚人だったり、何の武器も無い状態でエイリアンと戦うハメになったりと、まさに、どこを切っても絶望しか出てこないという有り様。
このあまりの重暗さのせいか、公開当時はあんまりいい評判を聞かなかったし、私自身もあまり好きじゃなかった映画ですが、監督のフィンチャーの株が上昇するにつれ、この映画の評価も高まってきたような感じがありますね。
私も、今ではこの圧倒的な重さ、暗さと、驚きのラストシーンにより、シリーズで一番好きな映画となりましたからね。
かつては欠点と思われてたものが、今では魅力に感じられるんですから分からないものです。