監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:シガニー・ウィーバー(リプリー)
ウィノナ・ライダー(コール)
ロン・パールマン(ジョナー)
ダン・ヘダヤ(ペレス将軍)
J・E・フリーマン(レン博士)
ブラッド・ドゥーリフ(ドクター・ジェディマン)
マイケル・ウィンコット(エルジン)
ドミニク・ピノン(ヴリース)
ゲイリー・ドーダン(クリスティアン)
レイモンド・クルツ(ディステファノ)
リーランド・オーサー(パーヴィス)
キム・フラワーズ(ヒラード)
一方、船内に監禁されていたエイリアが脱走し、死傷者続出の大混乱となる。運び屋軍団もエイリアンに襲われ、隊長が殺されてしまう。だが、仲間の窮地を救ったのは、何とリプリーだった。運び屋軍団はリプリーと手を組み、乗って来た小型宇宙船で脱出を試みるのだった。
(感想)
監督の人選に定評のあるシリーズですが、今回はフランス人のジャン=ピエール・ジュネという、また渋い人を起用してきました。前の3人のような、派手な活躍はないですが、後に『アメリ』というヒット作を撮ったりと、順調なキャリアを築いているようです。
この映画の製作を最初に知った時は、前作のラストで主人公が死んで、完全に完結したのかと思っていたシリーズだっただけに、いったいどんなストーリーになるんだと思ったものでしたが、何と、リプリーをクローン技術で復活させてしまいました。
強引な力技のような感じですが、「科学で与えられた命を持った主人公」というのは、どことなくフランケンシュタインの怪物っぽい感じで、これまでのシリーズとはまた違うタイプのホラー感覚がありましたね。ついでに、ウィノナ・ライダー演じるコールもアンドロイドという似たような背景を持つキャラクターでした。
メインキャラのリプリーとコールが、共に科学の力で命を与えられた存在であり、その科学を信奉する科学者達は、エイリアンを飼い馴らし、生物兵器として使おうと企んでいるようです(軍人の要請ではありますが)。前作では宗教的な面を出してましたが、今回は神のまね事をしているかのように命を弄んでいる連中が悪者として登場しているわけですね。
で、そういう事をしている連中というのは、だいたいロクな死に方をしないものです。飼い馴らそうとしていた生物やクローン再生した人間に敵に回られるという、結果的に、自分で自分の首を締めた形での死に様ですからね。
また、リプリーはただのクローン再生ではなく、エイリアンのDNAも取り込まれた形で再生しています。これにより、身体能力が向上し、血液が強酸性という、ちょっとしたコミックヒーロー状態となっています。まさに、これまでで最強のリプリーの誕生です。
主人公のパワーアップにより、アクション面も力が入れられて演出されています。これがまた、袖口から二丁拳銃を出す奴がいたり(しかもロボコップみたいに跳弾で攻撃したりする)、シリーズ初の水中戦があったりと、なかなかレベルが高いです。
クローンリプリーの失敗作の映像とか、不気味なエイリアンベビーを見て「美しい・・・」とぬかすブラッド・ドゥーリフ演じる科学者とか、全体的に、見ていて「怖い」というより「不気味」な気分にさせてくれる映画ですね。
また、残酷描写も結構直接的で、脳みそや腸が登場したりと、ハリウッドのA級大作映画とは思えないぐらいのグロ度です。
これだけ揃ってれば、不気味で不快で気持ちの悪い、後味の悪い映画になっていてもおかしくないんですが、不思議と、見終わった後にはそんなに不快感は残らないんですよね。そんな内容と映像の映画なのに、全体的に上品な感じが漂ってるんです。これは、監督の美的センスの賜物なんでしょうか。あと、アクション度が高いというのも要因でしょうかね。