監督:スチュアート・ローゼンバーグ
音楽:ラロ・シフリン
出演:ジェームズ・ブローリン(ジョージ・ラッツ)
マーゴット・キダー(キャシー・ラッツ)
ロッド・スタイガー(デラニー神父)
ドン・ストラウド(ボーレン神父)
マイケル・サックス(ジェフ)
ヘレン・シェイバー(キャロライン)
エイミー・ライト(ジャッキー)
ナターシャ・ライアン(エイミー)
だが、実はこの家は、ただ「過去に惨殺事件があった」というだけの家では無かったのだ。何か得体の知れない、霊的なものが支配している、恐ろしい場所に建っている家なのだ。
家を清めに来た神父がハエにたかられて追い返されたり、妻の弟が大金を落っことしたり、娘が姿の見えない友達を作ったり、ベビーシッターがカギのかかっていないクローゼットに閉じ込められたりといった、かくも恐ろしい事態が続出。
この家がヤバい場所だという事に気が付いてきた家族達だが、やはり家の購入に大金をつぎ込んでいるせいか、一ヶ月近く粘り続ける。だがある夜、ついに頭がイカれてしまった父親が、斧で家族を殺そうと襲ってくるという最終局面に突入。
父親は寸での所で我に返る事に成功し、一家は這々の体で家からとんずらするのだった。
(感想)
実際にあった話をベースにしたお化け屋敷映画です。この家にはどんな強力な霊がとり憑ついているのかと思いきや、実はこの家の建ってる場所自体に問題があるようなんですよね。何か霊的なもののある所で、それで黒魔術師だか誰かが、この場所を選んで家をおっ建てたらしいんです。
冒頭で描かれる、長男による一家惨殺事件が原因で怨霊うずまく物件になったわけではなく、もともとそういう場所柄だった為に、そんな事件が起きた、という事なんですね。
というのがこの映画のストーリーですが、実際のところはどうだったんでしょうかね。このアミティヴィルの家で心霊現象が起こった、というのは本当なんでしょうが、その原因は本当に過去の惨殺事件は無関係だったのかどうか・・・。
まあ、ともかくこの映画では「土地に原因がある」という設定になってるわけです。
さて、こういう「越してきた家がヤバい物件だった」というのは日本の怪談でもよく聞く話ですが、日本の場合は大抵、幽霊とかが現れて人を呪って事故を起こさせたりだとかするところです。
ですが、ここは自由の国アメリカなので、あからさまにお化けが出て来たりも、住民を呪ったりもしません(自由は関係無いか)。「何か邪悪な気配がする」という感じはあれど、その主らしきものは最後まで姿を見せないんですよね。
怪現象の類いも、ゾッとするようなものはあまりなく、扉が勝手に閉まったり、物が無くなったりとそんな程度です。ですが、そういった物理的な現象よりも、精神的な面をついてくる怪現象をメインとして使って来ているようなんですよね。
これにより、娘が見えない友達を作ったり、父親(子供達とは血が繋がってない、再婚の父親です)が陰気になってきたりします。「呪われた」というより「少しおかしくされた」といった感じで、見てて怖くは無いものの、リアリティというのはありましたね。
この、リアル感を突き詰めていったら『たたり』みたいな映画になったんでしょうが、こちらは『エクソシスト』の後の映画という事で、霊に言葉を喋らせて神父を退散させたりといったハッタリも用いてきます。
ホラー映画的には、こうのように、悪霊がハッキリ存在すると明確に示されてる方が楽しくていいと思います。ただ、この家にいるその悪霊みたいな奴らには、住んでる人間に対してどの程度の攻撃が出来るのか?というのが曖昧に感じられてしまう所がありました。
神父を一撃で退散させられたのに、一家を退散させるのに何故一ヶ月近くもかかったのか。そもそも、目的は一家を退散させる事だったのか?それとも、この家で殺人事件を起こさせる事だったのか?
一応実話ベースの話だというせいか、こういった謎に答えを出す様子がまるでありません。こちらが勝手に想像するしかないんですが、悪霊の能力が曖昧なのでそれもなかなか難しいです。
なので、単純に「家で起こる怪現象を見て怖がる」という見方しか出来ないんですよね。とは言え、起こるのは地味な物理現象と父親が少しづつおかしな所を見せ始めるという点ぐらい。おまけとして、神父が外で苦しめられる様が挿入されるんですが、これはむしろ無くてもいいシーンだったような気がしますね。「家の中だけじゃなくて、離れた所にいる神父を攻撃出来るのか?」と、またこの悪霊の能力に対して「どこまでやれるんだ?」という疑問が出て来てしまいます。
こういった謎な部分を「謎だからこそ怖い」と解釈出来ればまた印象も違ってくると思うんですが、私は残念ながら疑問の方が先に立ってしまいましたね。
思うに、この神父が攻撃されるシーンのみが邪魔なんだという気がするんですよね。しかも、ここは実話ベースのエピソードではなく、『エクソシスト』をパクって入れられてるエピソードのような気がしてなりません(笑)。素直に「越してきた一家だけが恐怖に直面する」、というストーリーの方がスッキリしたのにと思ってしまいます。