要塞警察
<ASSAULT ON PRECINCT 13>
76年 アメリカ映画 90分

監督・脚本・音楽:ジョン・カーペンター
出演:オースティン・ストーカー(ビショップ警部補)
   ダーウィン・ジョストン(ナポレオン・ウィルソン)
   ローリー・ジマー(リー)
   マーティン・ウェスト(ローソン)
   トニー・バートン(ウェルズ)
   チャールズ・サイファーズ(スターカー)
   ナンシー・ルーミス(ジュリー)
   キム・リチャーズ(キャシー)
   ヘンリー・ブランドン(チェイニー)

(あらすじ)
謎のストリートギャング団に、突然、訳も無く娘を射殺されてしまった父親が、仲間の一人を殺し、警察署に逃げてきた。だが、その警察署は移転の最中でわずかな警察官しかいなかった。追ってきたギャング団は、場所が警察署だろうとおかまいなしに銃撃を始めてきた。
ビショップ警部補は、たまたま護送の途中、この警察署の留置所に入れられていた犯罪者と協力し、この異常事態に立ち向かうのだった。

(感想)
アクションなのかホラーなのか微妙なタイプの映画ですが、ここでは一応ホラーに分類しました。
ジョン・カーペンターが西部劇の傑作、『リオ・ブラボー』や『許されざる者(ジョン・ヒューストン版)』にヒントを得て作られた映画だそうです。私は西部劇には詳しくないので、その辺の所はよく分からないですが、個人的には『ナイト・オブ・ザ・リヴィングデッド』と状況が似てるな、なんて思いました。
ちなみに、どの辺が『ナイト・オブ〜』っぽいかと言うと、まず戦闘の舞台があまり広くない警察署一件のみという所。そこに立て篭もって、敵の襲撃に耐えていく所。主人公が黒人である所。途中、脱出の為に仲間の一人が外に出て行くが、失敗する所。そして、襲ってくる連中がゾンビそっくりな所、等です。
設定ではストリートギャングか何かの犯罪者集団なんですが、仲間が銃で撃たれてバタバタ死んでいるのに全く怯む事無く突撃をしてくるんです。しかも、奇声を上げてるわけでも、凄い形相をしてるわけでもなく、何か、淡々と襲って来るんですよね。何だか、人間とは思えない、怪物的な怖さがあります。
ただ、この映画には『ナイト・オブ〜』と決定的に違う所があります。それは、ナポレオン・ウィルソンの存在です。たまたま留置所に入ってた犯罪者の一人ですが、その世界では有名な人物らしい、いかにもカーペンターキャラといった感じのアウトロー野郎です。多分、後のスネーク・プリスケンの原型なんでしょう。
パッと見は何だか普通の人という感じがするんですが、何かもう、セリフやら態度から、“カーペンター臭”が漂ってきてるんですよね。あからさまに強そうでもなく、特に悪ぶってるような様子も無い。でも、この状況下では、警察よりも頼りになりそう感がバリバリ感じられるという、イカしたアンチヒーローといったキャラクターなんです。
で、この「犯罪者が犯罪者と戦う」というのが、また新鮮で面白いんですよね。「警察と犯罪者が協力する」というのも面白いですが、“犯罪者集団”と“アウトロー”が戦うというのは実に魅力的でいいです。