RE−ANIMATOR 死霊のしたたり3
<BEYOND RE-ANIMATOR>
03年 アメリカ・スペイン合作 92分

監督・製作:ブライアン・ユズナ
特殊メイク:スクリーミング・マッド・ジョージ
出演:ジェフリー・コムズ(ハーバート・ウエスト)
   ジェイソン・バリー(ハワード・フィリップス)
   エルサ・パタキー(ローラ・オウニー)
   シモン・アンドルー(ブランド所長)
   ロロ・ヘレロ(モンチョ看守部長)
   エンリケ・エース(カブレラ)
   ニコ・バルザス(モーゼズ)
   バーバラ・エロリエッタ(エミリー)

(あらすじ)
相変わらず死人を蘇らせる研究を続けているハーバート・ウエスト。ある日、生き返らせたゾンビが逃走し、民家に入って女性を殺してしまった。おかげで警察に御用となり、刑務所生活を送るハメとなるのだった。

そして、それから13年後。ムショでおつとめに励むハーバートの元に、刑務所内にある診療所での助手の仕事がくる。
その仕事にハーバートを指名したのは、診療所に新しく赴任して来た若い医師のハワードだった。そして、このハワード、何と13年前の事件で殺された女性の弟なのだ。あの日の後、事件で逮捕されたハーバートの事を調べ、死体蘇生の実験をやっている科学者だと知ったのだ。
その事で復讐に来たのかと思いきや、何とハワードは、ハーバートの実験の手伝いを申し出るのだった。
ハワードとハーバートは診療所の奥に秘密の実験室をこしらえ、蘇生薬の製造に精を出す。そんな折り、ハワードといい仲になっていた、この刑務所の記事を書こうとしている記者のローラが、少々頑張り過ぎたせいで事件に巻き込まれ、所長に殺されてしまうのだった。
診療所に運ばれてきたローラの死体に愕然とするハワードだが、次の瞬間には改良された蘇生薬と新技術ナノプラズマを使い、生き返らせようとするのだった。

(感想)
あの『死霊のしたたり』の第三弾が作られてしまいました。最近、てっきり終わったと思った過去のシリーズ物の新作がひょっこり作られるという現象がよく起こりますね。
邦題だけの続編ではなく、ジェフリー・コムズがハーバート・ウエスト役で出、ブライアン・ユズナが監督するというちゃんとした続編です。ですが、ストーリーは前作から続いていないような気が。まあ、『1』と『2』も確かしっかり繋がった続編じゃなかったから、いいんでしょう。

実は、私はこのシリーズはそれぞれ一回づつしか見ていません。それも、もう大分前に見たきりなので、『死霊のしたたり』シリーズとはどういう映画だったのか、というのもそんなによく覚えていなかったりします。
それが良かったのか、もともとよく出来た3作目だったのか、大変面白く見る事が出来ました。むしろ、見終わった後の満足度はシリーズ一だったかもしれません。
私の記憶によると、『1』はエロとグロがいい感じに出てくる楽しい映画で、『2』は変な形のクリーチャーがワラワラ出てくる愉快な映画でした。要するに、悪趣味なシリーズなんですが(笑)、前シリーズの良さをうまく引き継いでるように思えましたね。この『3』も、意味も無くエロ要素の出る場面があったり、必要以上のグロ描写が出て来たり、終盤は舞台となる刑務所に暴動が発生し、囚人からゾンビから入り乱れたお祭り騒ぎに発展したりと、まるで、悪趣味なおもちゃ箱をひっくりかえしたような楽しさに満ち溢れていました。
グロが苦手な人にはただ気持ち悪いだけの映画だと思いますが、グロが平気な人にとってはもはやコメディ映画ですね。「結果としてコメディに見える」というのではなく、作りがホラーコメディになってるんです。
演出によってはかなり凄惨で気持ちの悪い映画に出来た題材だと思うんですが、そこを敢えて“笑い”を前面に持ってきてる辺りがこの映画の面白い所です。

主演のジェフリー・コムズは、数年振の当たり役を楽しそうに熱演してました。ハーバートは、数あるマッド・サイエンティスト達の中でも、最も面白いキャラクターだと思います。具体的にどの辺りがイイのかはうまく言葉に出来ないですが、演じるコムズのキャラクターに関係してる事は間違い無さそうです(笑)。
序盤で牢屋の檻越しに会話をする場面が出て来たときは、「まさかハーバートがレクター化したのか?」と思いましたが、入ってるところは凶悪犯専用の特別な房ではなく、その辺の雑魚囚人と一緒の、一般の檻だというのもイカしてました。犯罪者として(マッド・サイエンティストとしても)、大物なのか小物なのかよく分からないんだけど、何か妙にふてぶてしい態度をとってる辺りも、見てて妙に面白いです。
あと、今回、長年監獄に入れられていたにも関わらず、“ナノプラズマを使った蘇生”という新技術を編み出していましたね。例によって不完全な蘇生技術なので、おかげで後半お祭り騒ぎに発展する事になるんですが、当事者のハーバートは何故か“我関せず”的な態度をとってるんですよね。

他のメインキャスト達も、必要以上に力んだ演技で映画を盛り上げていました。特にローラ役の女優さんは頑張ってましたね。こういう映画が好きな人ならいいんですが、有名になる為に無理して演じてたんだとしたら、かなり気の毒です(メイキングを見た所、かなり楽しんでいたようなので一安心)。

ちなみに、この映画で生き返った死体はゾンビみたいになるのではなく、知能も記憶も残していて、もちろん喋る事だって出来ます。なので、ゾンビ映画に含めていいのかかなり微妙なところですね。
もし含めていいのなら、コメディ系ゾンビ映画の中でも、こと笑いに関しては屈指の出来だったと思います。
終盤は「気持ち悪いんだけど笑える」という、なんとも絶妙なバランスの映像のオンパレードなんですが、エンドクレジットの脇で流される、「千切れたチ〇コVSネズミ」のバトルシーンはちょっとやり過ぎのような気もしないでもない(笑)。