ゾンビ・オブ・ザ・デッド2
<BIOHAZARDOUS>
01年 アメリカ映画 93分

監督・脚本:マイケル・J・へイン
製作:ハワード・ヘイン
出演:スプラグ・グレイデン(ローラ・フォーマン)
   デビッド・ガーバー(スティーブ)
   トム・カヒル(ミスター・スタイン)
   ゲーリー・レイ(ハンク・フォーマン)
   アル・トンプソン(マイク・ウォーカー巡査)
   ジョン・アベナー(マードック巡査)
   キャスリン・ウィンコック(ジェニファー)
   ウィル・ダンハム(モーリス神父)
   マット・マーキー(ジョー)
   ミシェール・サントピエトロ(クリスティーン)
   アンソニー・ペペ(ハプー)

(あらすじ)
怪しげな研究をしているジェンテック社の施設に、神父と仲間達が不法侵入しようとしていた。ここで神を冒涜している研究が行われている為、その証拠を掴んでやろうと企んでいるのだ。
だが、研究所の中ではなんだかんだでゾンビパニックが発生していて、神父達は襲われてしまうのだった。

一方、研究所の敷地内でパーティをおっ始めていた若者グループの一人が、高圧電流が流れる電線に触って感電してしまう事故が起こり、助けを求めに研究所内に入っていく。

その少し前。前々から研究所に何かあると思っていた巡査コンビが建物に潜入していた。そしてそこでゾンビと化した神父他、大量のゾンビ軍団に襲われていたのだ。

巡査組と若者グループは研究所内で合流し、どうにか脱出しようとするのだが、ザコゾンビを片付ける為に作られた最強のボスゾンビが放たれてしまうのだった。
そんなボスゾンビも、若者グループの一人、ローラの父親が突如チェーンソーを持って乱入し、片付けてくれるのだった。実はローラの父親はここの警備員をしていたのだ。

その後、どうにかこうにか建物から脱出出来た生き残り達は、出入り口を開けっ放しにしていた為、ゾンビパニックが町中に広まる惨事を引き起こすのだった。

(感想)
冒頭からラストまでのストーリーの流れを書いてしまいましたが、一部のツッコミ所を除き、ストーリー面は低予算ゾンビ映画として充分楽しめるようなものだったと思います。
ですが、全体的に語り口が冗長なもので、もう見ててタルい事タルい事。こういうのを「グダグダ」というんでしょうなぁ。
とは言え、何しろこの映画は、邦題が『ゾンビ・オブ・ザ・デッド2』という強力なものなので、こちらも見る前から相当の覚悟を決めてかかっています。なので、この程度のグダグダ感は充分許容範囲内と言えるものでしたね。

前作とは、ストーリーの繋がりはもちろん、キャスト・スタッフの繋がりも一切無いと思われる、「邦題で勝手にシリーズにしてみました」系の続編ですが、少なくとも、前作よりは幾分かまともになっていましたね。製作費も多少こちらの方が上のような気がします。
何より、ゾンビの量が前作と比べ物にならないぐらい多いというのは好評価ポイントです。メイクもそれなりに頑張ってましたしね。
ただ、やはりゾンビ映画、いや映画全般の中にあっては、限りなくゴミクズに近い位置にいる映画です。あの酷い前作がなければ、もっと大きなダメージを受けていたに違いないつまらなさを、この映画も当然のように誇っています。
では、なぜそんな映画を我々は見てしまうのでしょう。それは、もう「そこに、ゾンビが出ると謳ってる映画があるから」と言う他無いのでしょうね。
そして、いつしか、くだらないゾンビ映画を見る事が一つのステータスになっているのかもしれません。「俺はこんなにつまらない映画を見れたぜ!」というのが、自分にとっての自慢であり自信になってしまっている、そんな状況に来てしまっているのかもしれません。

まあ、そんなこんなで、貴重な時間を割いてまでこの映画をせっかく見たわけですから、少しは「良かった点」というのも頑張って挙げてみましょう。
まず、先にも書いた通り、「研究所内でゾンビパニックが起こり、そこから生存者達がどうにか逃げ出そうとする」という基本ストーリーは面白いと思います。製作費とスタッフの才能があれば、ここから相当面白い映画を作る事も出来たはず、と思えるようなポテンシャルの高さの感じられるストーリーです。なので、見ながら「ここからこういう展開になったら面白かっただろうな」と色々と想像する事が出来、その「妄想版『ゾンビ・オブ・ザ・デッド2』」を空想してる間がまた楽しかったりするわけですよ。って言うか、これはこの映画の「良い点」として挙げていい所なのか。
あと、高圧電線に触れて感電する仲間が、その直前に敷地内に落ちてたチェーンソーを拾って「レザーフェイスごっこ」をやり始める辺りは実に微笑ましかったですし、そのチェーンソーがクライマックスでまた出て来るという、ちょっとした伏線になってる辺りも楽しげじゃないですか。
そして、クライマックスにそのチェーンソーを持って駆けつけるヒロインのオヤジの、あまりに唐突な登場の仕方には「さあ、私の姿を見て突っ込め!」と言わんばかりなオーラが感じられます。
そして、吹き替え版のエンディングテーマが、声優陣による、謎の「ゾンビ音頭」なるものに差し替えられてる辺りも一応評価ポイントと言えるでしょう。ただ、聞くに耐えないぐらいに酷かったんで、私はすぐにオリジナルの音楽に切り替えましたけど。

と、このように、この映画ならではの楽しい点もあったわけです。これで、この映画に費やした長い93分も完全に無駄ではなかったな、と思えるようになりますね。