監督・共同脚本:ルチオ・フルチ
原作:エドガー・アラン・ポー
音楽:ピノ・ドナッジオ
出演:パトリック・マギー(ロバート・マイルズ)
ミムジー・ファーマー(ジル・トレバーズ)
デビッド・ウォーベック(ゴーレー警部補)
アル・クライバー(ウィルソン巡査部長)
ジェフリー・コプルストン(フリン警部補)
ダニエラ・ドリア(モーリーン・グレイソン)
ダグマー・ラッサンダー(リリアン・グレイソン)
(感想)
フルチ映画にしては話の展開が分かりやすいなと思ったら、後半から段々「?」が出て来て、ラストでは「結局、この話は何だったんだ?」というような結末に。いやあ、やっぱりこうでなくてはフルチ映画とは言えないですね。
ジャンル的には超常スリラーとか、ホラーサスペンスといった感じの映画です。黒猫が次々人を襲うという内容ですが、動物パニックみたいな印象はさすがにありません。
影の主役と言うのか、敵役と言うのかが悩み所の黒猫さんは、全編通して、本当に不気味に描かれてます。黒猫と言えば、日本では「目の前を横切られると不幸な事が起こる」なんて迷信まである、不吉な存在ですよね。海外では黒猫はどんなポジションにいるんでしょうね。こんな映画が作られるあたり、やっぱり不吉な存在ではあるんでしょうか。
劇中、黒猫が前を横切るどころか、姿を見た人間はほぼ死んでいきます。見たら死ぬとは何とも恐ろしい。「ほぼ」と書きましたが、終盤までは致死率100%です(確か)。だから、主人公(多分)であるジルの前にもし黒猫が登場したらどうなるんだろうという怖さがあります。
しかし、黒猫と出くわしたせいで車に派手に撥ねられ、死んだと思われたゴーリー警部補が、最後になって「実は怪我で済んだ」とかいって復活してきたときは「おや?」という感じでした(笑)。
また、この黒猫が一体何者なのかがこの話の肝でもあります。一体、何故人を襲うのか?飼い主のマイルズとの関係も怪しく、マイルズは「自分はいずれあいつに殺される運命なのだ」と意味深な事を言います。
中盤、一連の事件の犯人が黒猫だと気付いたマイルズは、黒猫を殺してしまいます。それも、わざわざ木に縄を結び付けて、首を吊らせるという面倒な手段で。でもこの瞬間、何故かジルの部屋で強烈なポルターガイスト現象が発生します。やはりただの猫では無かったんですね。
当然、黒猫は数分後には元気に復活してきて、マイルズを驚かせます。まさに「ねこ元気」です。
ちなみに、さすがに監督がフルチだけあって、犠牲者がグロく死んだりします。特に、火事に巻き込まれて焼け死ぬ人に至っては、わざわざ顔が溶ける様を描写してくれました。ホラーファンへのサービスカットなんでしょうかね。