ボーンシックネス 最怖ゾンビ軍団襲来
<BONE SICKNESS>
04年 アメリカ映画(ビデオ用) 104分

監督・製作・脚本・音楽・編集:ブライアン・ポーリン
脚本:リッチ・ジョージ
出演:ダリア・ザビンスキー(クリスティン・マクネティ)
   ブライアン・ポーリン(トーマス・グレンジャー)
   リッチ・ジョージ(アレックス・マクネティ)
   ルビー・ラロッカ(アンドレア・グレンジャー)

(ストーリー)
突如、骨の病気に罹ってしまったアレックス。妻のクリスティンの必死の看病の甲斐もなく、症状は悪くなる一方。保険に入ってないので医者に掛かるわけにもいかない。
そこで、友人のトーマスが特製の薬をこしらえる事となった。その薬とは、墓場から掘り起こしてきた死体の骨が煎じてあるのだ。
だが、古い骨には寄生虫がウヨウヨしていたらしく、アレックスは体中の穴という穴から蟲を放出するほどの悪化をみせ、ついにはゾンビみたいなのになってしまうのだった。

一方、トーマスが死体を掘り起こしていた墓場では、それとは別件で、怪物グールが現れて墓地の監視に来ていた人を襲ったりしていた。
で、それらの事件と関係あるのかどうか分からないが、墓地の死体がゾンビとして蘇り、人々を襲い始めるのだった。

(感想)
JVDのゾンビ映画という事で、また『ゾンビ・オブ・ザ・デッド』みたいな酷い映画かと思って借りてみたんですが、これが、相当のスプラッター度を誇る快作となっていました。

中盤ぐらいまでは、骨の病気で苦しむ夫を看病する妻の話がメインになっている「看護ホラー」みたいな雰囲気で、多少興味深くはあったものの、ストーリー展開的はあまり面白くないものでした。
ただ、友人の作っている薬の正体が最初は不明になっていて、それが段々と、「骨が入れられてる薬だ」というのが明かされていく辺りは面白かったかもしれません。
この辺りはスプラッター度はまあそれほどではなくって、“地味なホラー”みたいな感じです。でも、台詞のある女優のほとんどがヌードを披露するので、別の面で楽しい前半戦でした。

その後、ストーリーに書いたように、病気のアレックスが、体中の穴という穴から蟲を放出するという、大変汚いシーンが出てきます(口と尻からミミズ、耳からウジという具合)。さらに、ワンカットで口からミミズを吐くシーンがあるという気合の入りよう。それも、もぞもぞと動いてる輩なので、イカの塩辛で代用してるというわけではないようです。何考えてこんな場面撮ろうと思い立ったんでしょう。
で、終盤になると、ゾンビが大量発生して次々人を殺していくんですが、その殺害方法がかなりバラエティに富んでまして、腹裂きはもう当たり前、頭の縦割り、上顎切り離し、下顎切除、胴体真っ二つ、顔の皮剥ぎ、等など。もちろん、臓物も大量に出てきます。腸も脳みそも大登場。しかも、こんなシーンが後半30分近く延々続くんです。
例えば『ブレインデッド』とか『プラネットテラー』みたいな“気持ちの良さ”はほとんど感じられないスプラッター描写で、あるのはただ汚らしさと気持ち悪さのみという悪趣味度全開っぷり。
でも、ここまでやるとむしろ感心するというものです。何よりも、この騒動で真っ先に死ぬのが女性主要キャラというのも珍しい展開でした。普通の映画なら当たり前のように生き残ったりするような奴らですよ。特に、ヒロイン的立場の人なんて、肉を剥がされまくって、下半身骨のみなんて姿になりましたからね。いやぁ、頑張りました。
元々少ない登場人物が、このスプラッターシーンが始まってすぐに死にまくるんで、後は今まで全くストーリーに絡んでこなかったSWAT隊員だとかが犠牲になる事となります。
それらも全滅して「これで終わりかな」と思ったら、別の場面に切り替わって、一般市民とか軍人とか白装束のバイオハザード部隊なんかが犠牲になり始めるんです。もう、キリが無いぐらいですよ。延々続く人体解体ショーを見ていて、「この映画に終わりはあるんだろうか」なんて事を思い始めてしまいました。

と言う訳で、こと「ゲテモノ映画」という観点で見たら非の打ち所がないという、下品さの中に神々しさすら感じられる一作でした。
ちなみに、この映像の品の無さといい、後半、意味も無くカークラッシュ&スタントシーンが出てきたりする所といい、「これは絶対ドイツ製作だな」と思ってたんですが、何とアメリカ映画だったようで。監督・製作のブライアン・ポーリンという男は、ドイツのゲテモノ映画を見て育った世代だったりするんでしょうかね(どんな世代だ)。

最後に、どうでもいい事ですが、『最怖ゾンビ軍団襲来』というサブタイトル、“最恐”じゃなくっていいんだろうか。“最怖”って、何て読むんだ?さいふ?さいこわ?