監督:ロニー・ユー
音楽:グレーム・レベル
出演:ジェニファー・ティリー(ティファニー)
ニック・スタビル(ジェシー)
キャサリン・ヘイゲル(ジェイド)
ジョン・リッター(ウォーレン・キンケード署長)
ブラッド・ダーリフ(チャッキー/声)
ジェシーには、厳しい家族の為にロクに会う事も出来ない恋人がいて、この人形を墓地に届ける旅行を、駆け落ちに利用するのだった。だが、恋人のジェイドの叔父は警察署長で、部下の警官にジェイドの行動を見張らせているのだ。
早速、署長や警官達の邪魔が入ってくるが、チャッキーとティファニーは旅の邪魔物を次々と密かに殺害していく。だが、いつの間にか「ジェシーとジェイドが人殺しをしながら逃げている」と世間に誤解されてしまうのだった。
いよいよ指名手配されてしまったジェシーとジェイド。果たして、チャッキーとティファニーは目的の墓地までたどり着くことが出来るのだろうか!?
(感想)
前作から数年ぶりの登場となったチャッキーシリーズですが、復活に際して「新たな要素を加えよう」という事で、チャッキーに女の相棒が付けられる事となりました。しかも、ただの相棒ではなく、「結婚相手」です。しっかり、「新婚初夜」のシーンまで出て来ます(笑)。
ユーモアの要素にもかなり力が入れられる事となり、ほとんどホラーコメディと化しての復活となってしまいました。
実は、私がこのシリーズを見たのは、さらにコメディ化に拍車のかかった、5作目の『チャッキーの種』からなので(一応、その前に1作目も見てるんですが、昔の事なので内容はほとんど覚えていませんでした)、むしろ、チャッキーシリーズはコメディ要素の強いシリーズだ、という認識があるんですが、シリーズを順に見ているファンにとっては、こういう続編はどうだったんだろうか、というのが少し気になったりならなかったり。でも、どうやらこの4作目を「最高傑作!」と評してる人もいるようで、ファンにも好評価だったようですね。
それに、元々「人形が動いて人を殺す」という内容の映画なので、『13金』辺りと比べてもコメディとかユーモアとの相性はいいシリーズのような気はします。
この、チャッキーが「人形である」という性質を活かしたギャグシーンも多く、笑いのシーンは全体的に無理の感じられない、単純に「楽しい」思わせるものになっていました。
また、新キャラのティファニーとの掛け合いもかなり好調で、まるで夫婦漫才のようです。ティファニーのキャラクター自体も、チャッキーを食いかねないぐらいの面白いもので、マンネリ化しがちな4作目にあって、今までとは面白さの全く違う、新風をシリーズに吹き込んでくれたようです。
加えてこの映画、ストーリーの面白さも特筆ものですね。ただ殺人鬼が人を殺しまくるだけのホラーとは一線を画してると言っても過言ではありません。
中盤からロードムービーのような展開を見せるんですが、車で移動中のカップルと共に、チャッキーとティファニーは「人形として」同乗しています。ある地点までこのカップルに運んでもらおうとしてるわけですが、この二人にはかなり込み入った事情があり、次々と邪魔が入ってくるんです。邪魔をされるとチャッキー達も目的地に着けなくなってしまうので、結果として、このカップルの邪魔をしようとする連中を、チャッキー達が殺してあげるという展開になるんです。普通は、殺人鬼が人を襲うシーンとか、襲われる側に感情移入して「逃げて逃げて!」とか「そっちに行ったらダメ!」とか「志村、後ろ!」とか見てて思うものですが、この映画の場合は完全にチャッキー側に立って「殺せ!殺せ!」といった感じで見れるんですよね。
そういう作りなせいか、「殺人」というものを映画を挙げて肯定しているかのようなんですが、ブラックユーモアを前面に押し出してるおかげで、陰惨な雰囲気は全く無いんですよね。むしろ、下手なバイオレンス映画よりもよっぽど健全なんじゃないかと思ってしまうほどです。何しろ、死ぬのは嫌な奴ばかりですからね(嫌な奴じゃないのに死ぬ人も中にはいるんですが・笑)。
ついでに、このカップルが、チャッキー達の仕事を、お互いに相手がやってる事だと誤解し、疑い合ったりするというのも面白いです。見ていて「真相を知ったら驚くだろうな」と思って、楽しくなってきてしまいます。
ちなみに、カップルの女の方が、『暴走特急』で見たような顔だな、とか思ったら本当にそうでした。
監督は『フレディVSジェイソン』のロニー・ユーです。この人は、恐怖演出とかグロ描写とか、普通ホラー映画に望むものはほとんど見せてくれないんですけど、「キャラクター性の強い殺人鬼が出てくる、ユーモア満載のホラーコメディ」を撮らせたら、ほんと右に出る者はいないぐらいの仕事をしますね。大したものです。