地獄の門
<CITY OF THE LIVING DEAD>
80年 イタリア映画 92分

監督・共同脚本:ルチオ・フルチ
特殊メイク:ジノ・デ・ロッシ
メーキャップ:フランコ・ルフィーニ
音楽:ファビオ・フリッツィ
出演:クリストファー・ジョージ(ピーター)
   カトリオーナ・マッコール(マリー)
   ジャネット・アグレン(サンドラ)
   カルロ・デ・メイヨ(ジェリー)

(あらすじ)
地図にも載っていない辺境の町ダンウィッチで神父が首吊り自殺をはかった。その後、町では奇怪な事件が続発するようになる。酒場の鏡や壁が何もないのに突然ひび割れたり、謎の惨殺死体が発見されたり。
一方、ニューヨークでは、降霊会をしていたグループの一人の女性、マリーが神父の自殺のシーンを見てしまい、ショック死する。しかし、棺桶に入れられ土に埋められたその時、なぜか息を吹き返した。そして、たまたま近くにいた新聞記者ピーターに助けられる。
2人は降霊会のリーダーから、ダンウィッチの町で地獄の門が開かれようとしていると聞かされる。神父の自殺により、次の「死者の日」には地獄の門が開き、死人が町をさ迷い歩くようになるというのだ。

一方、ダンウィッチの町の心理学者ジェリーは、次々起こる超常的現象に頭を悩ませていた。
そんな折、ニューヨークから事実を知る二人が到着。真相を聞いたジェリーは二人とともに地獄の門を閉じる為、神父の墓を暴きに行く。
死者の日は刻一刻と近づき、幽霊ともゾンビともつかない連中が町のあちこちに現れ、人を殺し始めていた。

(感想)
とにかく、グロ大爆発といった感じの映画です。劇中、犠牲者が数人出るのは普通としても、その死に方がどれも異常極まりなし。後頭部をゾンビに握りつぶされたり、目からは血を口からは内臓(!)を吐き出したり、ドリルをこめかみから貫通させられたり・・・。こんなのを考え付いただけでも凄いですが、それを実際に映像にしてしまった所もとんでもないです(そして、それを喜んで見ている我々は何なんでしょう・笑)。
グロ描写もさることながら、その話自体もオカルトチックで怖いです。突如ガラスが割れ、その破片が刺さった壁から血が流れ出したり、部屋の中に蛆虫の嵐が吹き荒れたり・・・。まさに異常な事態。
この「何が起こってるのか分からない恐怖」が全編にみなぎってます。そのせいか、ストーリーが意味不明という意見のよく聞かれる映画ですが、話自体は要するに「神父の自殺によって地獄の門が開き、町を超常現象が襲う」というもので、分からない部分は「超常現象だから」で片付けてもいい部分だと思います。

ラストの神父の墓地内部のシーン(洞窟になってる)は、何だか分からないけど、素晴らしいです。『サンゲリア』と似た感じのBGMにのせてゾンビ軍団の登場。このシーンの映像、音楽、セット、照明、全てが何か、まさに地獄の門の前で死者と戦ってるという感じがするんです(実際に門があるわけじゃないですが)。そして、元凶のトーマス神父のゾンビを杭で刺すと、周りのゾンビと共に炎上!この「燃えるゾンビ」が詩的な感じに見えてしまいます。
そして最後は「謎の」ハッピーエンド。それともバッドエンドなのか?それもよく分からないあのラストは、この映画を締めるのに相応しいという気もしてきます。