監督:フレディ・フランシス
出演:ピーター・カッシング(エマニュエル・ヒルダーン)
クリストファー・リー(ジェームズ・ヒルダーン)
ローナ・ヘイルブロン(ペネロピー・ヒルダーン)
ジョージ・ベンソン(ウォーターロー)
ケネス・J・ウォーレン(レニー)
キャサリーン・フィン(エミリー)
一方、エマニュエルの異母兄弟で精神病院の院長をしているジェームズから、入院していた妻が死んだという報せがきた。一人娘のペネロピーには、母親の事は「イカれて精神病院に入ってる」ではなく「ペネロピーを生んですぐに死んだ」と説明してあった。
だが、母の部屋に侵入したペネロピーは、母の入院を報じた新聞と、ジェームズからの死亡通知を発見し、自分がウソの話を聞かされていた事を知る。
ペネロピーはこの事を激しく問い詰めてくるが、エマニュエルはその行動を「“悪”のせい」と判断。先ほど完成した「悪を抑える薬」をペネロピーに打ち込むのだった。
だが、実はこの薬は不完全なのだった!黒い細胞に侵されたペネロピーは派手なドレスを着て町に繰り出し、ちょっかいを出してきた男を殺してしまうのだった。
ジェームズ精神病院に運び込まれたペネロピーだが、ジェームズに家まで送り届けられる。そこでジェームズは、エマニュエルの研究室から謎の人骨と研究ノートを発見。精神異常者達に、例の黒い細胞が発生している事を突き止めていたジェームズは、このエマニュエルの研究と自分の研究に共通点がある事に気付く。
エマニエルに共同研究を持ちかけるが断わられた為、ジェームズはノートと人骨を盗んでしまうのだった。
だが、盗みから帰る途中、乗っていた馬車が事故って横転。先ほどから降り続ける雨のせいで人骨はビショビショになり、ついに全身に肉がついたゾンビとして復活するのだった!
ゾンビは、研究の為にエマニュエルに折りとられた中指を取り返す為、エマニュエルの屋敷に向かうのだった。
(感想)
タイトルは『ゾンビ襲来』ですが、ゾンビらしき存在はラストにちょこっと出て来るだけなうえに、演出上、その姿はほとんど画面に映りません。
「多分、こうなるんじゃないかな」とは思っていましたが、本当にゾンビの出番が無いというのはやはりガッカリでした。
肝心のお話の方は、まあそこそこ面白いものではありましたけどね。クリストファー・リー、ピーター・カッシングというホラーの2大スターが共演してる映画だけに、映画全体から「まともな恐怖映画感」が漂ってるのが感じられます。即物的な恐怖ではなく、心理的な怖さを前面に押し出してるような感じですね。
カッシング教授は、「“悪”というものは病気だ」という興味深い説を提唱しています。そして、発掘した古代人の血液には、いわゆる“悪の元凶”とも言うべき、黒くて毛の生えたおぞましい細胞が見受けられます。
そして、この黒い細胞は、精神病院の患者の血液にも見られるものらしいんです。
「犯罪者」ではなくて「精神病患者」が悪であるとか、悪が発症した娘のペネロピーが最初にとった行動が娼婦紛いのものだったりといった辺りは、いかにも昔の発想といった感じがしないでもないです(昔の映画なんだから仕方がないですが)。「娘に実験中の薬を投薬する奴」とか、「人の研究を盗む奴」とかは“悪”ではないんだろうか(笑)。
ともかく、もしカッシング教授の実験が成功していたら、精神病患者が正常に戻るという事になるのだと思うのですが、結局、この研究がその後どうなったのかはまるで触れられずに映画は終わってしまいます。
そもそも、蘇ったゾンビがその後どうなったのかも不明です。なんでそんなラストなのかと言うと、「全ては精神病患者カッシングの妄想だった」というオチだからです。でも、ラストシーンでは、「今までの出来事はやっぱり本当の事だった」というのを思わせるカットが出てきます。
果たして、全て現実の出来事だったのか、やっぱり妄想だったのか・・・。どっちともとれる終わり方なので、あとは見た人が好きに想像するしかないですね。
じゃあ私は、逃亡したゾンビが大暴れしだして、イギリスにゾンビパニックが起こるという展開を想像する事にしましょう。