監督:ジャウマ・バラゲロ
製作:ブライアン・ユズナ
出演:アンナ・パキン(レジーナ)
レナ・オリン(メアリー)
イアン・グレン(マーク)
フェレ・マルティネス(カルロス)
ステファン・エンキスト(ポール)
ジャンカルロ・ジャンニーニ(アルバート)
数日後に迫った日食の日、家で想像を絶する恐怖が起ころうとしていた。
(感想)
引っ越した先の家が、実はとんでもなくヤバい場所だった、というストーリーの映画です。こういう、“家物”の映画は割りと好きな方です。最初は小さな規模だった怪奇現象の類いが、段々と派手に、段々と怖くなっていったり、家族が段々とおかしくなっていったりと、徐々に恐怖感が増して行く辺りがいいんですよね。
この映画もそのパターン通り、最初の30分はとんでもなく地味〜なストーリー展開です(笑)。それが、後半30分になると、もう同じ映画とは思えないぐらいに怖い事が起こってたりするんです。
でも、地味な序盤の展開も、“嵐の前の静けさ”的な雰囲気があっていいんですよね。これと同じように、パニック映画の“災害が起こる前”の描写とかも好きだったりします。
この映画の家では、かつて怪しげな儀式が行われていました。それは、日食の日に7人の子供の喉を愛する者が切るというもの。で、それを完遂するとどうなるのかと言うと、闇が広がるだとか何とか、怖い事が起こるんです。実は、この部分はよく分かりませんでした(笑)。
ともかく。前回の日食の時は、子供が一人逃げ出したせいで失敗に終わりましたが、闇達は諦めてはいなかったんです。そうそう、この映画の所謂“敵”は、怪物や狂人ではなく、“闇”です。前の儀式の時に死んだ6人の子供達の霊もしっかり出てくるんですが、裏で糸を引いてる黒幕は闇らしいんです。
なんとも、漠然とした相手ではありますが、実体があったり、考えが読めたりするような存在と違って、どう対処していいのか分からない怖さがありますね。さらに、その“闇”というものは、我々の身近に存在してるものでもありますしね。例えば、ベッドの下の影とか、夕方、暗くなった家の電気のついてない部屋とか。そういった暗い場所にこの映画では何かがいるんです。具体的に“子供の霊”という形で姿を見せてる時もあります。また、その出方が、登場人物の前ではなく、後ろや視界の外に出てくるんですよね。登場人物よりも、観客を怖がらせる為に出て来てるみたいです(で、それを見てしっかりとビビる私・笑)。
ラスト10分ほど、闇が本気で襲ってくる展開になるんですが、これは怖かったですねぇ。怪物や殺人鬼が襲ってくるのを見るよりもずっと怖いです。日本の家物系の怪談話と似た雰囲気のあるストーリーですが、このラストの展開は幽霊物の怖さとも怪物物の怖さともまた違うものでしたね。
文章で「闇が襲ってくる」と言われても、どんな感じなのか想像するのが難しいですが、要するに、「薄暗い家(かなり広い豪華な家)で、真っ暗な完全な闇が段々こっちに迫ってくる」というような感じです。そして、その闇に飲まれたらいったいどうなってしまうのかが具体的に描写されないというのがいいですね。想像力を刺激してくれて、とっても怖いです。