監督:クレイグ・シンガー
出演:ジェイミー=リン・シグラー(キャシー)
パトリック・レナ(ビル)
アレックス・ソロヴィッツ(ジム)
ジェニファー・ティスデール(リズ)
デビッド・ロジャース(スティーブ)
アンドレア・ボガート(ジェン)
デイブ・ウォーデン(ダークライドマン)
(感想)
『ソウ』シリーズでお馴染み、ライオンズゲートが放つスラッシャーホラーで、「若者達が、深夜のお化け屋敷の中で奇形の殺人鬼に襲われる」という、トビー・フーパーの『ファンハウス』のような内容となっています。
ただ、時代が変わったのか、気合の入った特殊メイクアーティストがいなかったのか、奇形という設定のはずの殺人鬼ダークライドマンの素顔は大して崩れてませんし、しかもマスクを装備しているので素顔がほとんど出てきません。
まあ、見る前に期待していたのはこの点では無かったので別にいいんです。では何に期待していたのかと言うと、それはもちろん、残酷シーンですよ。何かの恐怖系DVDをレンタルした際、それにこの映画の予告が入ってたんですが、その予告を見た限り、かなりスプラッター度の高い、気合の入った映画のように思えたんですよね。
でも、見終わって真っ先に思ったのが、「残酷シーンがほとんど無くて物足りない」というものでした。実際は、はらわたが登場したり、首が飛んだり、頭が縦に二つになったりといった過激なシーンが出てきていましたし、見せ方も悪くなかったはずなんですけど、印象にはほとんど残らなかったんですよね。
何でそんな事になったのかと言うと、そういう派手な死に様を見せるのが脇役連中で、主要キャラである若者グループの死に様が一転してあっさりとしたものになっていたからなんです。
う〜む、もはや残酷シーンもただ出されるだけでは満足出来なくなってきてるんでしょうかねぇ。劇中でセリフも多く、人物描写がなされた主要キャラが無残に殺されないと、もうショックも感じなくなってしまったのかもしれません。
ちなみに、ライオンズゲートが関わっていますけど、『ソウ』のような、監禁・拷問系の内容ではなく、そういう描写もありません。そもそも、ここはそういうの専門の所ではないですからね(笑)。
内容は、上でも書いたように、『ファンハウス』の焼き直し的な映画です(ただし、フリークス風味は皆無)。とは言え、こういうお化け屋敷が舞台のホラーというもの自体が、キャンプ地や学園を舞台としたスラッシャー映画と比べて数が少ないんで、そこそこ貴重な感じがしたものでした。
私はこういうお化け屋敷系のアトラクションというのは、ライド型にしろ徒歩で回るタイプにしろ、入った経験がほとんどありません。多分、ディズニーランドの「ホーンテッド・マンション」ぐらいなんじゃないだろうか。
これは、怖いからじゃなくて、そういう所に行く機会が無いからなんですけど、やっぱり、ホラー映画ファンとしては、こういう場所には憧れるじゃないですか。不気味な物が多数展示してある、薄暗い建物内を進み、時々ビックリ演出が出てきて驚かされるという、まるでホラー映画の中に実際に入ったような空間になってるわけですからね(実体験が無いので、「多分、そういう所なんだろう」という話ですけど)。
なので、劇中でダークライド内を探索する若者達が非常に羨ましかったですねぇ。「面白そうな所だなぁ」と思いましたよ。もしかしたら、この映画よりも面白いんじゃないんだろうか。
まあ、この映画もそこそこ面白いものでしたけど、『ファンハウス』はもちろん、他の数多のスラッシャーホラーと比べても、とりたてて良い面というのが無い映画でもあったんですよね。特に、「恐怖演出」という点にかなり物足りない面がありまして。終盤の、お化け屋敷内で殺人鬼に追い掛け回されるというシーンに、ちょっと緊迫感が足りなかったんですよね。
建物内の迷宮っぷりや(出入り口を施錠されて出れなくなったという設定ではなく、みんな、出入り口がどこか分からなくて出られないという状況なんです)、暗くて視界が良好でない辺りは中々面白かったんですけど、何故か、「もし自分がこの場にいたら、どれだけ怖いだろう」と思うような時が無かったんですよね。
多分、建物内の見せ方とか、ダークライドマンがどういうタイミングで襲ってくるかとか、パニックになった登場人物達がどういう行動をとるのか、という面に描き足りない部分があったんじゃないかと思うんですよね。もしかしたら、こういうアトラクションに行った経験があれば、想像力でカバー出来たかもしれないんですけどね。