監督・製作・共同脚本:フランク・アグラマ
出演:ブレンダ・キング
バリー・サッテルズ
ジョージ・ペック
ジョン・サルボ
ジョーン・レビィ
(感想)
舞台はエジプト、タイトルが『ミイラ転生』という事で、ミイラ男が出てくる話なんですが、クライマックスで人々を襲うのはゾンビ軍団だったりします。
とにかく、このクライマックスのゾンビ軍団による虐殺シーンは凄い迫力です。エジプトのとある町で結婚式があって、それを町総出で祝うという、ちょっとしたお祭り騒ぎな状況になっているんですが、そこにゾンビ軍団が襲撃をしてくるんです。
グロシーンもなかなか奮っていて、ゾンビ達は犠牲者のはらわたを引きづり出しまくってくれます。そして、場面を彩るサウンドは逃げ惑う住民の悲鳴!まさに阿鼻叫喚の地獄絵図!数あるバッタ物ゾンビ映画の中でも、かなりよく出来たゾンビ襲撃シーンです。
が、しかし!こういったシーンはラストに出てくるだけです。その時間10分程度。ここで全ての力を出し切るつもりなのか、上映時間93分のうち、残りの時間ではほとんど何も起こりません。体力の温存なんでしょうか。「怖い事が起こりそうで起こらない」という、寸止め恐怖ドラマが延々垂れ流されるんですが、正直言って、見てて結構苦痛です。
ただ、ところどころに「ビックリ演出」が出て来ます。これがまた、かなり唐突に挿入されるので、不覚にも驚いてしまいました。う〜む、こんなC級ホラーで驚かされるとは・・・。まあ、ビックリするだけで、怖くはないんですけどね。
とにかく、ちょうど眠くなったあたりでこういうシーンが出て来てくれたりするので、親切な演出と言えるかもしれませんね。
ところでこの映画、登場人物が砂漠に転がる生首を発見したり、夜、キャンプ地にゾンビみたいな奴が一体で襲撃してくるシーンがあったり、墓場の中で朽ちた死体を発見したりするんですが、次のシーンではキレイに忘れられてしまいます。全部、その場限りの脅かしで使うだけで、ストーリーには全然絡まないんですよね。
実はこの手法、ラストのゾンビ軍団襲撃シーンにも適用されます。ラストは、ボスのミイラ男サフィラムンが襲って来る展開になるんですが、この時点ですでに、さっきまで大量にいたゾンビ達がキレイにいなくなっています(同じ場所なのに)。
ここで、サフィラムンと戦う生き残りの登場人物達も、さっきまでゾンビに襲われていたのに、サフィラムンと戦う段階になると、さも、もともとゾンビなんていなかったかのような反応をします。
なので、最後にサフィラムンをダイナマイトで吹っ飛ばした後、完全勝利とばかりに大喜びをします。見てる方の「あれ、ゾンビは?」という疑問もどこ吹く風です。
エンドクレジットの始まる直前、瓦礫からサフィラムンの手が「にょきっ!」と出て来て、「奴はまだ死んではいなかった!」みたいな感じで映画は終わるんですが、見てる人の「あれ、ゾンビは?」という質問には結局答えてくれません。
見終わってふと思ったんですが、このゾンビの襲撃シーンだけ後から付け足されたような気がするんですよね。もともとはミイラ男サフィラムンが地味に人を襲うだけの映画だったんじゃないだろうか。
上記の「その場限りの脅かし」シーンも、もしかしたら脚本には無い、後から思いつきで付け足されたシーンなのかもしれません。
まあ、これが全て脚本通りの仕上がりな映画なら、それはまたある意味凄い事ですけどね(笑)。
全体的に音楽がかっこよかったので、イタリア映画なのかと思ったら、アメリカとエジプトとの合作だっんですね。エジプトが絡んでるというのはちょっと珍しいですが、序盤に本物のピラミッドが出て来たりと、ちゃんとエジプトロケをしているようなので、それで多少係わってるといったところなんでしょう。
ただ、資料によっては「イタリア・エジプト合作」と書かれてる場合もあるので、基本的にはイタリア映画なんでしょうかね。要するに、この国18番の「バッタ物ゾンビ映画」の一種なんでしょう。そもそも原題が『DAWN OF THE MUMMY』という、『ゾンビ』の原題『DAWN OF THE DEAD』の「DEAD」を「MUMMY」に変えただけですからね(笑)。