デス・トンネル
<DEATH TUNNNEL>
05年 アメリカ映画 93分

監督・脚本:フィリップ・エンドリアン・ブース
製作・脚本:クリストファー・セイント・ブース
      シェーン・ダックス・テイラー
出演:ステファニー・ハッカビー(ヘザー・リード)
   ジェイソン・ラセター(リッチー)
   アニー・バーグステード(トーリ)
   クリスティン・ノバク(アシュリー)
   メラニー・ルイス(デヴォン)
   ヨランダ・ペコラコ(エリザベス)

(ストーリー)
大学生のグループが、廃病院で肝試し的なイベントを試みた。パーティで選んだ5人の女を、5階建ての廃病院に5時間閉じ込めるというものだが、その病院は、かつて疫病の患者が大量に収容されていた場所で、しかも約6万人もの死者を出している曰く付きの建物なのだった。さらに、その地下には、死者を運ぶのに使われていたと言われる“デス・トンネル”というものまである始末。
当初はおふざけのゲームのはずだったが、主催していた野郎どもが失踪したり、閉じ込められた女達が幻覚を見だしたり謎の死を遂げたりと、大混乱が起こる。最終的には、選ばれた女達が実は過去のこの病院に縁があった人物の子孫だか生まれ変わりだかなんだかであるとかいう話になっていくのだった。

(感想)
世にくだらないと言われるホラー映画は多数存在しますが、私は大抵のホラーは面白く見られる能力と自信があると思っています。ですが、時々、そんな私でも太刀打ち出来ない、手に負えないぐらい酷いのを掴まされる時があります。そんな映画の一本がこの『デス・トンネル』でした。
まあ、つまらない映画でしたねぇ。何がつまらないって、意味が分からないんですよね。廃病院に閉じ込められた女達が幻覚を見て怯えるシーンと、その前の出来事であるパーティのシーンが混ぜこぜに描写されるという演出で、さらに、病院の過去の出来事と思しき描写も時々顔を出したりするんで、もう「どんな話を語ろうとしている映画なのか」が全く掴めませんでした。
そもそも、ショックシーンがほぼ“幻覚”というのも困ったものでしたね。それも、「何だ、幻覚だったのか」と後で思うようなものではなく、そのシチュエーションでは絶対起こり得ないと思われる、パッと見て明らかに幻覚と思ってしまうという描写なので、見てて全く驚けません。驚いてるのは登場人物だけです。
後半になってようやく事件の背景だとか、「そもそもここで何が起こってるのか」というのが語られるんでどうにか理解出来ましたけど、そこに行き着くまでが辛かった。「いったい、何が起こっているんだろう?」という興味が湧くような展開になっていたらいいんですけど、何か、映画から完全に置いてきぼりを食らってるような感じで、見てて実に退屈でしたね。でも、きっと監督にとっては会心の演出なんでしょうねぇ。
この状況、『Mr.ビーン/カンヌで大迷惑』において、映画監督役のウィレム・デフォーが、カンヌ映画祭で上映された自作の映画を一人で悦に入って見入っていて、周りの観客がみんな退屈そうにしている、というシーンをふと思い出してしまいましたよ。

「廃墟で恐怖体験」なんて、聞いただけで胸がときめくストーリーだと言うのに、こういう演出で語られてしまったのは残念でなりません。
ただ、製作陣が「怖い映画を作ろうとしてる」というのは感じ取れるので、失敗作だとか駄作だとかと斬り捨てるのは忍びないという思いもありますね。もしこの監督と波長の合う人が見たら、「これは斬新で面白い映画だ!」と思えるのかもしれません。

ところで、この映画のDVDの映像特典に予告編集が入ってるんですが、そこには、この映画のオリジナル予告と日本版予告に加え、『インサイド・ザ・デス・トンネル』という謎の映画の予告が入っていました。
これがどうも、「『デストンネル』を撮影中、ロケをしている建物で本当に怪現象が続発していた様を映したドキュメンタリー」という内容みたいで、心霊らしきものが映った映像とかが出てくるようなんですよね。何だか、こっちの方が本編より面白そうです。