バイオ・アマゾネス
<DEMON'S KISS>
01年 アメリカ映画 88分

監督・脚本:ブラッド・サイクス
出演:マデリン・リンドレイ(テレサ・バーンズ)
   ジェフ・マルケレッタ(ポール・ヘンリー)
   エミー・スミス(ルビー)
   ビバリー・リン(ミッシェル・ロング)
   ジョン・デビッド・シェパード(ニック)
   ギャレット・クランシー(ハマー刑事)

(あらすじ)
考古学者のポールは、写真家であり恋人のテレサ、芸術神学者のルビー、実習生のミッシェルを連れてチリに赴いた。“アクマ族”という部族の調査が目的だったが、山の中を進んでいる最中、テレサが行方不明になってしまう事件が発生。
その後すぐに、気を失った状態で発見されたテレサだが、3日も昏睡状態が続いた。しかも、肩には何かに噛まれた傷が残っていた。
実はテレサは、森の中でアクマ族と思しき女性を発見し、追いかけていたのだ。だが、後を追って洞窟に入ったところ、殴られて気を失ってしまったのだった。そして、肩の傷はこの女性が噛んだものだった。

退院したテレサだが、今までとは少し様子が変わっていた。実は、テレサは噛まれた時にある病気に感染していたのだ。感染すると、吸血鬼のように人の生き血を啜るようになってしまうのだ。

(感想)
「新ジャンル、バイオ・エロス!」という強気なコピーに釣られて、ついレンタルしてしまいましたが、内容は普通のエロティックホラーという、騙しコピーでした。
ストーリーは、「吸血病にかかった主人公の苦悩」という、ジョージ・A・ロメロの『マーティン』を思い出す話になってました。ただ、『マーティン』と違って、こちらは血を啜る時は表情も変わり、その間の記憶も曖昧になるという、“怪物化”をしてしまうんですが。
この、主人公が人を襲う理由が病気であり、自分の意志では無いという点は、他のホラー映画とは違う要素なので面白かったですね(強いて言えば『狼男』に近い設定でしょうか)。しかも、特殊メイクで怪物化をするわけでもなく、基本的には“グラマー美女”が人を襲っているので、これまた珍しくも面白い映像ではありました。
ただ、展開は少々スローペースで、退屈に感じる箇所もあったりします。約10分間隔でエロシーンもしくは殺人シーンを挿入してきたりはするんですが、それでも中盤辺りは中だるんでしまってましたね。
ちなみに、エロシーンに関しては、ベッドシーンが合計4回ほど登場するんですが、ポルノ映画ではないので、どれも割りとあっさり終わります。行為の激しさもジェームズ・キャメロン監督作クラスのおとなしさで、まるで映画のアクセントとして入れられてるかのようです。
殺人シーンに関しては、ヴァンパイアみたいに相手に噛み付いて血を啜って殺す、という攻撃を主に使います。首筋を好んで噛み付くんですが、昔のゾンビ映画のように、しっかりと噛み切ってるところを映してくれてるところがイイですね。たまに、噛み付く瞬間に場面を変えて悲鳴だけ流すという、「寸止め演出」をやっしまうところも出るのがちょっと残念でしたが。

中盤ややダレたものの、後半は結構盛り上がりを見せてくれましたね。ここら辺り、恐怖の対象となる怪物が“吸血巨乳美女”という、いい意味で下品なところがかなり効いてました。着ぐるみやCGの怪物が襲ってくる映画とは全然違う面白さがありましたね。
オープニングのクレジットの画面が、何か自主映画臭がプンプンする感じの画になっていて先行きを不安にさせてくれたんですが、全体的によくまとまった映画になってたと思います。少なくとも、バイオエロス映画の中ではトップクラスの内容だったんじゃないですかね。ライバル不在の中でのトップなんですが、万一、バイオエロス第2弾なんてのが現れたとしても、どうせこの映画と同程度の代物でしょうしね。