監督・脚本・編集:ニール・マーシャル
出演:ショーン・パートウィー(ウェルズ軍曹)
ケビン・マクキッド(クーパー)
リアム・カニンガム(ライアン大尉)
エマ・クレズビー(メーガン)
ダレン・モーフィット(スプーン)
クリス・ロブソン(ジョー)
レスリー・シンプソン(テリー)
トーマス・ロックヤー(ブルース)
(感想)
一軒家に立てこもった人々がモンスターの襲撃に遭うという、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の流れを汲むアクション・ホラーです。
この映画で襲ってくるモンスターは、ゾンビでもなければ巨大な蚊でもなく、何と珍しい事に人狼軍団です(どっちかと言うと巨大蚊の方が珍しいか)。一体でも手ごわい奴なのに複数で襲ってきます。ですが、対する主人公は、一般人ではなく軍人達で、銃もあれば弾もあります。
これはいい勝負が期待出来るかと思いきや、「驚異的治癒力」があると思しき人狼軍団は、撃っても撃っても死なずに襲撃してくるので、弾丸もすぐに無くなってしまいます。しかも、その攻撃力は、爪の一振りで瀕死の重症を負わせられるほどの凄さ。せっかく「武装した軍人」という、この手の映画では珍しいぐらい有利な設定を与えられた主人公チームですが、生き残るのは他のこの手の映画と同等かそれ以上に厳しいという、緊迫感のある設定となっています。
狼男と言えば、満月の晩に変身し、銀製品に弱いというのが基本形です。ヴァンパイアは最近、基本形から外れたタイプがかなり出て来てますけど、狼男はまだ頑張って伝統を守ってるようですね。
また、狼男には、ゾンビみたいに、噛まれたり引っ掻かれたりした者は菌が入って狼男になってしまう、というのがあります。この要素がうまい具合にストーリーに絡んできてましたね。それも当初は、傷を受けた人が「大怪我をしたはずなのに、いつの間にか元気になってる」という見せ方をされてるんですよね。これは、「あれ、これはもしかして・・・後に狼男化するという伏線か?」と、見てる人に予測をさせる余裕を与えてくれて、面白いです。
主人公達が立てこもる家の住人の行方とかもそうでしたけど、こういう、予想し易い伏線が出て来てくれると、後に自分の予測が当たったような気にさせて貰えるので、嬉しいものですね。
この映画、主に一晩の話を描いているので、ほとんど夜のシーンです。夜は暗いのは当然の事ですが、普通は照明によって「暗いけど見える」という画になると思うんですが、リアルさを追求したのか照明係がヘボなのか、ほぼ全編真っ暗闇です。まあ、「何にも見えない」というわけでは当然ないですが、それに近いぐらいに、画面で起こってる事を見る事が出来ません。
これは、結構イライラがたまりましたねぇ。確かに、劇中で狼男と戦ってる兵士達も、暗くて視界が効かない中で戦ってるわけですし、それにより「敵が何匹いるのか」も「ダメージを与えられてるのか」も「そもそも、敵は何なんだ」もよく分からない状態です。だけど確実に命を脅かされている状況にある、という事で、恐怖感だけでなく不安感もよく出ていました。でも、これは、画面上で何が起こってるのかが見えるぐらいの明るさがもしあったら、果たして表現出来なかったものだったんでしょうかね?
確か、『13ウォリアーズ』でもこれと似た演出を使っていてイラつかされた記憶があるんですが、まだこんな手法を使っちゃう監督がいるんですねぇ。ストーリーが面白かっただけに、非常に勿体ないです。
ただ、恐らく最大の見せ場と思われる、「隊員の一人と狼男が一対一で格闘をおっ始める」というシーンが暗くなかったのは幸いでした。
それにしても、いくら弾が切れたからって、あんな危険な相手に素手で挑むとは思わなかったですね。しかも、結構いい勝負をしてましたし、さすがは軍人ですな。