死霊のはらわた
<EVIL DEAD>
83年 アメリカ映画 86分

監督・製作総指揮・脚本:サム・ライミ
製作総指揮:ブルース・キャンベル
編集:ジョエル・コーエン
出演:ブルース・キャンベル(アッシュ)
   エレン・サンドワイズ(シェリル)
   ベッツィ・ベイカー(リンダ)
   ハル・デルリッチ(スコット)
   サラ・ヨーク(シェリー)

(あらすじ)
5人の若者達が山奥の寂れた一軒家に遊びにやって来た。そこの地下室に、カセットの入ったテープレコーダーと奇怪な表紙の書物、その名も“死者の書”があった。
テープレコーダーを再生してみたら、謎の教授が何か怖い事を言っていた。しかも、何やら怪しげな呪文を唱え始めた。すると、イーヴィルなデッドが復活してしまうのだった。

(感想)
まあ、とにかく凄い映画です。登場人物は全部で5人、舞台は狭い廃屋みたいな一軒家。そして制作費は低予算。なのに、この画面から発せられる強烈なパワーは何なんでしょう。さすが、「スプラッター映画」という言葉発祥の映画です。
最初の10分ぐらいまでは、『死霊のいけにえ』みたいな“はらわたパクリ系映画”とほとんど変わらないんですけど(若者達が車で山奥の別荘なり一軒家なりに行く)、その後の展開の差は凄いです。流石は本家。やはり、監督のサム・ライミが天才だったということなんでしょうね。後の“はらわたパクリ系映画”の監督達もみんなサム・ライミになろうとしてなれなかったわけですからね。

まさに、“血みどろの戦い”といった言葉が相応しい、死霊とのバトルは凄まじい迫力でした。主人公アッシュも、映画が進む毎にどんどん血まみれになっていきます。ここまで酷い目に遭う主人公もそうはいないでしょう。ちょっと気を抜くとすぐ本棚とかタンスとかの下敷きになったりしますし。
そんな主人公アッシュを演じるのは、ホラー映画ファンの間ではその名を知らぬ者はいない、名優(と言っていいのかどうか)ブルース・キャンベル。今でも、『スパイダーマン』シリーズ他、サム・ライミ監督作に顔を出したりしてますね。でも、この人にはもっと、こんな「血みどろホラー映画」に主演で出て欲しいものです。

恐怖演出に関しては、飛び散る流血&肉片による、見た目の気持ち悪さによる恐怖の他に、“ビックリ演出”も結構多用してきます。ホラー映画ではよく使われる、音を低くして“何かが出てきそうな雰囲気”を出しつつ、ここぞという所でデカい音と共に“何か”が出て来るという演出です。これは、来るのが分かっててもビクッとする場合があったりしますからね。心臓の弱い人は要注意です。あと、舞台の家のセット自体もかなり不気味で怖い雰囲気が出てます。
でも、一番怖いのは、やっぱり死霊達ですね。見た目の怖さも相当なものですが、その行動も怖いです。怖いというよりも、嫌です(笑)。あの叫び声のうるさい事!そして、あの笑い声の無気味な事!
何よりも、こいつらがほんの一時間前は友人なり恋人なりだったというのが困ったところです。しかも、一瞬、自我を取り戻したりするのがまた厄介ですね。

また、ただ気持ち悪い、怖いだけではなく、笑いの要素が入ってるところもいいですね。この「笑いの要素」はシリーズを重ねる毎にメインの要素となっていきますが、この一作目では添えられてる程度ですけどね。

それにしても、この『死霊のはらわた』という邦題は誰が考えたんでしょうね。原題『EVIL DEAD』なんて、今だったら絶対そのままカタカナ表記の邦題になるところですよ。
でも、個人的には、このおどろおどろしい、いかにもスプラッターホラーといった感じの邦題は気に入ってます。だいたい、「はらわた」なんて滅多に使わない単語をタイトルに持ってくるなんて、大したセンスです。