監督・製作・脚本・特殊効果:コナル・ペンダーガスト
出演:ロニー・バルノー(バリー)
イシー・マーシー・ジェームス(ジェーン)
イーサン・マスカット(スタン)
エリカ・ゴールドブラッド(リア)
クレイトン・ヘイズ(フィッツナー教授)
ジョン・キング(ブレル博士)
そして、バリーの在籍する大学でもゾンビ騒動が巻き起こる。実は、バリーが発掘に出掛けた場所にはかつて隕石が落下し、その隕石に付着していた謎の地球外生物が、人をゾンビにする能力を持っているのだ。その生き物が、バリーの旅行カバンにくっついて大学までやってきていたのだった。
教授や女友達がゾンビ化し、終まいにはバリーもゾンビ化。バリーの友人のジェーンとスタンはその辺の小道具でゾンビを倒していくのだった。
(感想)
いやぁ、これは凄い映画でした。どのぐらい凄いのかと言うと、『ミート・マーケット』が傑作に思えるぐらいです(笑)。この手の超低予算自主製作ホラー映画は何本か見てますけど、中でも最大級の貧乏臭さでしたね。
まず、映像が市販のビデオカメラで撮ったような画質です。それだけなら、この手の映画としては別に驚くような事では無いですが、画像処理等の演出が、「このビデオカメラ、こんな機能もあるのか。よし、映画で使ってみよう」という監督の声が聞こえてきそうな感じのものなんですよね。
映画の内容も、「こういうストーリーの映画を撮ろう」ではなく、「俺らの技術でも撮れそうな映画を作ろう」というコンセプトで考えたに違いない、薄くて中身の無いストーリー。やたらと多い“無駄なシーン”。このつまらなさは、あの『死霊のいけにえ』がまともな映画だったように思えてくるほどです(思えるだけで、実際にはどっちもどっちですが)。
肝心のゾンビも、終盤にはそこそこの数が登場するんですが(4,5体ぐらい)、超貧乏臭い特殊メイクという造形です。中には「ゾンビのマスクを被ってるだけ」という奴もいる始末です。これがまた、ひょっとしたらハンズでも売ってるんじゃないかと思うぐらいの、「見るからにマスク」という感じなんですよね。
「クズだ」とは聞いていたんで、こちらも覚悟を決めて臨んだんですが、クズにもほどがありましたね。でも、ここまで突き抜けてクズだと、逆に清々しいものです。中途半端につまらない映画よりは、まだマシなんじゃないかと思います。やっぱり、何かに秀でてる映画というのはいいですね。でも、「マイナス方面で見れば最高」というのは、“秀でてる”という表現でいいんだろうか。
とは言え、まあ何しろ学生の自主製作映画ですからね。普通の映画と同じ基準で評価したってつまらないに決まってます。
と言う訳で、評価の基準値を限界まで下げてからこの映画に臨んでみましょう。するとあら不思議。それなりに頑張って作った映画に見えてきました。いったい、この映画の製作費がいくらぐらいだったのかは分からないですが、もし私に同じ金があったとして、どの程度の映画が作れるのか、と考えながら見た場合、「やっぱりこれぐらいのレベルの出来になるかな」と思うんですよね。
惨殺シーンなんかを撮ろうにも、特殊メイクの技術が無いんだから、血糊が飛び散ってるだけの映像を挿入して殺人シーンを表現するより他ないでしょう。
せっかく、発掘チームが発掘をしている姿を撮った映像が手元にあるんだから、これが使えるようなストーリーを考えた方がいいでしょう。
ゾンビ映画好きだし、やっぱりゾンビは出したいだろう。
ある程度の尺をもたせたいが、どうしても間がもたないから、意味の無いシーンを意味ありげに挿入してみよう。
そんなこんなでやっていったら、こんな映画ができあがった。うん、何も不思議な点は無いですね。これはこれで、やれる範囲内で頑張って作った自主製作映画だと思います。
でも、この映画を借りるのに、一般の映画と同じレンタル料金が発生する事に関しては、納得のいく説明はつけられそうにもありません(笑)。
さて。この邦題と「一応ゾンビが出てくる」という内容から、ゾンビ映画ファンはクズと知っていてもこの映画を避けて通る事は出来ない状況です。
ですが、実はこの映画を多少は楽しく見られる方法があるんです。上で書いた「評価の基準値を限界まで下げる」と併用すれば、レンタル料金分楽しむ事も不可能ではありせん。
その方法とは、「吹き替え版で見る」という事です。
この映画の吹き替え、何か変なんですよ。喋り方が、何というのか、やる気がなさそうな、ウケを狙っているような、ともかく普通の喋り方じゃないんです(登場人物全員)。そして、DVDでは日本語字幕を出しつつ、吹き替え音声を聞く事が出来るんですが、字幕とまるで違う事を言ってる事が多いんです。同じ内容をニュアンスを変えて言ってるのではなく、まるっきり違う事を言ってるんです。まあ、ストーリーに関わるセリフの場合は概ね字幕通りの事を言うんですが、ストーリーと関係ない無駄な会話シーン(結構多い)では、字幕と全然違う内容の事を、時にくだらないダジャレなんかを交えながら言ってたりするんです。
さらに、本来ならセリフが無いはずの場面、例えば、イグアナが腐った食べ物を食べるシーン(本編と関わりの無い、無駄なシーン)において、吹き替え版だと、イグアナにセリフがあるんです。「さあ食べるぞ。パクパクパク」とかこんな感じのセリフですが。
ちなみに、DVDには、こんな映画なのに監督の音声解説がついていて、自主製作映画の製作秘話という興味深い(かどうかは定かではない)話を聞く事が出来ます。