監督・製作:ション・S・カニンガム
特殊メイク:トム・サビーニ
音楽:ハリー・マンフレディーニ
出演:エイドリアン・キング(アリス)
ベッツィ・パルマー(ボリーズ夫人)
ロン・キャロル(ティアニー部長)
ピーター・ブロウナー(スティーブ・クリスティ)
ハリー・クロスビー(ビル)
ラウリー・バートラム(ブレンダ)
ケビン・ベーコン(ジャック)
ジェニーン・タイラー(マーシー)
ロビー・モーガン(アニー)
マーク・ネルソン(ネッド)
ウォルト・ゴーニー(ラルフ)
ロン・ミルキー(ドーフ保安官)
アン・リーマン(ジェイソン)
そして、泊まり込みで仕事をする事となる学生協力員6人が集まる事となっている13日の金曜日。後に延々と続いて行く惨劇がこの時、幕を開けるのだった。
(感想)
伝説的ホラーシリーズの記念すべき第一作です。
ですが、シリーズの顔である、ホッケーマスクの怪人“ジェイソン”が登場しません。内容は、若者が惨殺されまくるという、いつもの通りの展開なのですが、犯人が終盤まで誰だか分からないというのは、この一作目ならではですね。ただ、やっぱり“スター不在”の寂しさがあったりしますが。
映画全体的の出来は、ホラー映画の中でも特にいいわけではないです。ですが、この映画は「面白い」とか「つまらない」で計れるような次元にはいないですね。何しろ、『13日の金曜日』のパート1なんですから。後に大量のシリーズと亜流映画を生み出す事となる、大元。まさに、歴史的な一作です。
ただ、総勢7人(オープニングを入れると9人)も犠牲になるんですが、今見ると全体的に地味なんですよね。演出も、特に派手なところもなければ遊びの要素もない、かなり堅実な(悪く言うと淡々とした)ものになっています。
特殊メイクは、ホラー界のカリスマ、トム・サビーニが務めています。相変わらず見事な手腕を発揮しているんですが、犠牲者7人のうち、約半分は殺される瞬間が映らなかったり、後に死体となって登場する時も、喉から血を出してるだけの奴がいたりと、ちょっと勿体ない使い方をしています(まあ、予算の都合もあったんでしょうけどね)。
恐怖演出に関しても、過度なビックリ演出もなければ、心理的に恐怖を煽るという手法を使ってるところもほとんど無いです。この映画の怖さは、謎の殺人者が若者を一人一人殺して行く(そして、たまにその殺人方法に残酷なのがある)、という見たままのものでしかないんです。
多分、これだけで終わったら、もしかしたら大してヒットもせずに、続編も作られずに終わった可能性も有りでしょう。ですが、この映画のラストにとんでもない恐怖シーンが出てくるんです。それはもちろん、湖からジェイソン少年が飛び出してくる、あのシーンです。映画中、最も怖いシーンであり、また、ジェイソン初登場!という、映画史的にも重要なシーンでもありますね。
このシーン、何と言っても、ジェイソンの出し方が本当に怖いです。タイミングも完璧過ぎ。全てが終わって、後はエンドクレジットを待つばかりみたいな状況でしたからね。
この映画を劇場公開時に初めて見た観客達は、きっとここで悲鳴をあげた事と思います。何しろ、出るのが分かってても驚くぐらいですからね。それが、出るとは知らずに見てたら、そりゃ死ぬほどビックリするに違いないです。下手したら、湖に変なトラウマが植え付けられかねないぐらい強烈なシーンですから(でも、このシーンの湖自体は凄く奇麗に映ってるんですよね)。
さらに、そのジェイソン少年が、また、とんでもなく恐ろしいツラをしてるというのが、もう効きまくってますよね。小人の俳優に奇形&腐乱の特殊メイクを施しているんですが、ほんと、気持ち悪い顔です。ちなみに、ジェイソンが奇形児というのは、台本には無かった設定だったのですが、特殊メイク担当が名手トム・サビーニだった為に、その腕を見込んで、より怖くする為に変更になったようです。
実はこの映画に、下積み時代のケビン・ベーコンが出ているというのは有名な話。この映画への出演が俳優人生においてマイナスに作用しなくて良かったです(笑)。