13日の金曜日・完結編
<FRIDAY THE 13TH-THE FINAL CHAPTER>
84年 アメリカ映画 91分

監督:ジョセフ・ジトー
特殊メイク:トム・サビーニ
音楽:ハリー・マンフレディーニ
出演:キンバリー・ベック(トリッシュ)
   コリー・フェルドマン(トミー)
   エリック・アンダーソン(ロブ)
   バーバラ・ハワード(サラ)
   アンソニー・ポンジーニ(ビンセント)
   ローレンス・モノソン(テッド)
   カミラ・モア(ティナ)
   ジュディ・アロンソン(サマンサ)
   ピーター・バートン(ダグ)
   クリスピン・グローバー(ジミー)
   ジョーン・フリーマン(ミセス・ジャービス)
   キャリー・モア(テリー)
   アラン・ヘイズ(ポール)
   フランキー・ヒル(ライニー)
   ボニー・ヘルマン(ヒッチハイカー)
   リサ・フリーマン(ナース・モーガン)
   ブルース・マーラー(ドクター・アクセル)

(あらすじ)
前作のラストで死亡したジェイソン。その死体は死体安置所へと運ばれた。
だが、何の前触れも理由もなく、ジェイソン復活!

一方、なぜか森の中の一軒家に住んでいるジャービス一家の隣の屋敷に、若者達が遊びにやってきた。若者達はクリスタル・レイクへと赴き、道中で知り合ったエロエロ姉妹と共に、すっぽんぽんで行水を始めたりする。

その夜。家に戻った若者達を、お約束通りジェイソンが襲撃するのだった。

(感想)
前作はかなりエロの要素が抑えられていましたが、どうも一部で不評だったのか、今回はエロ要素をやたらと前面に出してきて、出演の女優陣もオッパイをボロンボロン出しまくります。
登場する若者達の頭の悪そう度も、これまでのシリーズ中最高。頭の中にあるのはSEXのみという、ある意味潔い方々が集まってしまいました。
当然、こんな連中の織り成すドラマが面白いわけがありません。なので、ジェイソンも裸も出てこないシーンのつまらないこと。まあ、若者達の馬鹿な行動を見て笑う、というのが正しい見方なのかもしれないですが。
今作の若者達の会話など、「よく、こんなストーリーを考えられたな」と感心するぐらいくだらないです。しかも、みんな考えてる事が一緒という無個性集団で、もはや見てて誰が誰だか分からなくなるぐらいです。

当然、こんなやつらに感情移入など出来るわけないので、こいつらが殺されて行くシーンは、「ただ、殺戮ショーを見せられている」という感じです。
ただ、登場人物の多さのため、殺人シーンが何回も出て来ます。まさに物量作戦。

『1』に引き続き、特殊メイクをトム・サビーニが担当しているのですが、殺害シーンは意外に地味なものが多いです。何よりも、バリエーションがあまり多くないんですよね。「刺し殺し系」がちょっと多すぎです。この辺がもっと凝っててくれたら見応えも出たと思うんですけどね。
ストーリーがつまらないんだから、せめてこっちで頑張ってほしかったです。

ただ、クライマックスの、ジェイソンが本格的に姿を現して、生き残りを殺そうと追ってくる辺りは、うって変わって、とっても面白くて怖いです。そう、この頃はジェイソンの襲撃シーンに恐怖があったんですね。今ではほぼお笑いになってしまってますが。
あと、ジェイソンが走って追っかけてくるというのは、案外珍しい行動のような気がします。所々では走りもみせていたような気もしますが、大抵はジェイソンはゆっくり歩いてきますからね。で、ジェイソンが走ると、これがまた怖いんですよね。やっぱり、ジェイソンのビジュアル(外見)が効いてるんでしょうね。あんな姿の奴が走って追ってきたら、そりゃ悪夢的に怖いでしょうからね。

さて、完結編と銘打った今作。最後はついにジェイソンが倒される事となります。まあ、『2』でも『3』でも、最後は倒されてたんですけどね。
ただ、今回は、次の復活までに数年を要するほどの大ダメージだったようです。
そこまでジェイソンに深手を追わせた勇者は誰なのかと言うと、『スタンド・バイ・ミー』『グーニーズ』でお馴染みの名子役、コリー・フェルドマンです。
最後は、髪の毛を剃り落としてスキンヘッドにし、その姿でジェイソンを油断させるという、よく意味の分からない、と言うか、まるで説明のつかない秘技を披露します。
そしてその後、「ダァーイ!ダァーイ!(死ね!死ね!)」と叫びながら、ジェイソンに何度も何度もナタを振り下ろす姿の勇ましい事!ラストも、まるでトミーが新たな殺人者、新ジェイソンになったかのような終わり方をします。

このトミー少年がなぜスキンヘッドにしたのかと言うと、ジェイソンを妹の仇として追っている、ロブという男が持っていたジェイソンに関する事件の新聞記事の切り抜きの中に、少年時代(今のトミーと同じぐらい)のジェイソンのイラストが出ていたんです。で、そのジェイソンがスキンヘッドだったため、トミーもスキンヘッドにしてみたんです。意味が分からないですね。
ちなみに、このロブという男、「ジェイソンを仇として追っている」という設定なので、最後はジェイソンと直接対決するような頼もしいキャラなのかと思ったら、とてもあっさりとジェイソンに料理されてしまいます。いわゆる、かませ犬というやつでしょうか。

ところで、若者の中に、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のジョージ・マクフライ役で有名のクリスピン・グローバーがいます。仲間から「早漏」と馬鹿にされる、冴えない男の役です(ちなみに、初めてこの映画を見たときは、この言葉の意味も知らないような頃でした)。
よく、こんな映画のそんな役をやった男が、翌年、『〜フューチャー』みたいな娯楽大作映画に重要な役で出演できたものです。この映画への出演が俳優人生においてマイナスにならなくて良かったですね。