新・13日の金曜日
<FRIDAY THE 13TH PART V: A NEW BEGINNING>
85年 アメリカ映画 92分

監督・共同脚本:ダニー・スタイマン
音楽:ハリー・マンフレディーニ
出演:ジョン・シェパード(トミー)
   メラニー・キンナマン(パム)
   シェイバー・ロス(レジー)
   バーノン・ワシントン(ジョージ)
   リチャード・ヤング(マット)
   キャロル・ラカーテル(エセル)
   ロン・スローン(バカ息子)
   ミゲル・A・ヌネスJr(デモン)
   ジェレ・フィールズ(アニタ)
   ティファニー・ヘルム(ヴァイオレット)
   ジュリエッテ・カミンス(ロビン)
   ジェリー・パブロン(ジェイク)
   デビスー・ボーリーズ(ティナ)
   ジョン・ロバート・ディクソン(エディ)
   ドミニク・ブラスシア(ジョイ)
   ディック・ウィエンド(ロイ)
   マーク・ベンツリニ(ビクター)
   リック・マンシーニ(コッブ市長)
   マルコ・ST.ジョン(トゥッカー保安官)
   アンソニー・バーリル(ビニー)
   コレイ・パーカー(ピート)
   ボブ・デ・シモーン(ビリー)
   レベッカ・ウッド−シャーキー(ラナ)
   コリー・フェルドマン(トミー12)

(あらすじ)
12歳の時、ジェイソンを正当防衛で殺したトミーは、それ以来精神を病んでしまい、神経科の病院に入院していた。
それから数年が経ち、青年となったトミーは、青少年育成センターという施設に移送される事となる。

だが、トミーが来たその日に施設で殺人事件が起こる。
この事件が引き金となったかのように、施設に入所している若者や、近隣の人々が次々と何者かに殺されていく。
いったい、犯人は誰なのか?ジェイソンが復活したとでも言うのだろうか?

(感想)
実は、今回の犯人はジェイソンではありません。ニセ・ジェイソンなんです。ホッケーマスクを被ってはいますが、よく見ると、ジェイソンのとは微妙にデザインが異なっています(ちなみに、「ホラーのはらわた」で使われてるジェイソン画像は、このニセ・ジェイソンの写真です)。
では、正体は誰なのか?これは一応、ここでは伏せておくことにします。

前作に引き続きトミーが出てくるんですが、前作から数年後という設定なので、演じる俳優も変わりました(冒頭の夢のシーンでのみ、再びコリー・フェルドマンがトミー役で出ています)。
前作の出来事で精神を病んだために、キャラクターも大きく変わりました。無口で何を考えているのか分からない、ちょっかいを出されるとすぐにキレる、という危ないキャラとなってしまっています。しかも、キレると、まるでアクション俳優なのかと思うような機敏な動きでちょっかいを出した奴に攻撃を始めます。

これまでのシリーズでは、キャンプ地なり別荘なりに集まった若者達がメインに襲われていきましたが、今回は犠牲になる人の基準がよく分からなくなってます。青少年育成センターが舞台として出てくるので(このセンター、見た目はこれまでの舞台“湖畔の別荘”とかとほとんど変わらない建物です)、ここにいる若者達が標的にされるのかと思ったら、全然関係の無い、それも、今初めて登場した人物が次々殺されて行くんです。
終盤になると、センターの若者も次々死ぬ事となり、とにかく大量の人が死にます。合計で18人も犠牲になるという、ほぼ5分に一人ペースの死にっぷり。さらに、ちゃんと殺し方にも一風変わったものが出てきたりと、この手の映画としてとっても親切な作りとなっています。

終盤にはニセ・ジェイソンが画面上に姿を現し、生き残った女子供と追いかけっこを始めるんですが、このニセ・ジェイソン、正体は普通の人間のはずなのに、瞬間移動をしてるとしか思えない先回りをしてきたり、肉体もジェイソン並に強靭だったりします。
と言う事は、今回の犯人、“ジェイソンは使って無かった瞬間移動を使い”、“ジェイソン並に強靭な肉体を持ち”、“一作における殺害人数がジェイソン以上”という、ホッケーマスクを被らなければ、新たなスラッシャーキラーになれたかもしれない逸材だったんですね。
それが、ホッケーマスクを被ってしまった為に、ニセ・ジェイソンなんて地位に甘んじてしまっているとは、惜しい事です。
ただ、この系統の怪人の最大の奥義である「蘇り」が使えないのはちょっと痛いですけどね。これでは続編に出られません。


さて、エンディングではとんでもない展開を迎える事となります。
ジェイソンを殺した事で精神を病んだトミーが、今回、ニセ・ジェイソンに止めの一撃を加え、またジェイソンを殺した事になります。そして、それのせいでついに精神は完全に崩壊してしまい、ホッケーマスクを被って“新ジェイソン”となり、生き残った女、パムを殺そうとナイフを振り下ろす瞬間、エンドクレジットとなるんです。
前作の『完結編』でクリスタル・レイクのジェイソン・ボーヒーズは死に、新たなジェイソンがここに誕生したわけですね。それでタイトルが『新・13日の金曜日』なわけです。

まあ、結局次回作ではお馴染みのジェイソンが復活するんですけどね(笑)。