ゴーストハウス
<THE GHOSTS OF EDENDALE>
03年 アメリカ映画 90分

監督・脚本:ステファン・アヴァロス
出演:ステフェン・ワステル(ケビン)
   ポーラ・フィカラ(レイチェル)
   アンドリュー・クインテロ(ノーラン)
   キース・フルトン(ジュリアン)
   ルイス・ペペ(アレックス)
   パトリック・ハッソン(フレッド)
   イーサン・グラント(アンドリュー)
   ロバート・レイン(エド・ハバード)
   マウレーン・デイビス(ローズ)

(あらすじ)
ハリウッドの丘の上の家に越してきた、脚本家志望のカップル、ケビンとレイチェル。
この丘はかつて、サイレント映画時代の大スター達が住んでいた界隈であり、その当時の幽霊がウロウロしていたりするのだった。
そんな場所柄のせいか、ケビンは次第に、以前とは別人のような嫌な男に変貌していく。一方、以前から霊を見ることのあったレイチェルは、越してきた当初から度々、霊のようなものを目撃しているのだった。
当初はストレスや精神的な疲れから幻覚を見ているのかと思っていたが、明らかに別人化していくケビンの姿と、この丘の住人の行動のおかしさから、この丘自体に何か霊的なものが住み着いているのではとレイチェルは考えるのだった。

(感想)
越して来た家がヤバい物件だったという、怪談話でよくあるタイプのお話を、アメリカのテレビ映画として作ったらこうなる、みたいな感じの映画です。と、思ったら、どうもテレビ映画というわけではないみたいですね。それにしては、やたら安っぽい映像だったんですけど(笑)。
見せ場と呼べるようなものがほとんど出てこない、とっても地味なストーリー展開で、面白さ的には、日本の安っぽいホラー系のVシネマみたいなのと同じようなものかもしれないですね(それにしては海外にはオフィシャルサイトまであるんですよね)。

この映画で出てくる家にはどんな曰くがあるのかと言うと、“住んだ人が嫌な人間になりながらも、ハリウッドで成功する”という、何とも変わった呪いがかけられているようです。
脚本家志望のケビンは、ここに来た当初は全く書くアイデアが浮かんでいなかったんですが、ある時を境に、まるで手が勝手に動いているかのように西部劇の脚本を書き出し始めるんです。
その後、パーティーで出会った、その脚本を読んでもいない大物プロデューサーに気に入られ、映画の製作が始まる事となります。
と、ケビン側で見たら単なるサクセスストーリーですが、映画はケビンではなくレイチェルの目線で語られる事となります。そうなると、このケビンのサクセスストーリーはとんでもなく奇妙なものに見えるわけですよ。それこそ、何か呪いをかけられてるとしか思えないような。
また、この家の前の持ち主が突如としてフィリピンで宣教師をやると決めてこの家を売りに出したという妙な経緯があったり、隣人の売れない俳優が謎の失踪を遂げたりと、怪談話っぽい所がそこここに顔を出していて、ストーリー自体は、あまり面白くはないものの、くだらなくはありませんでした(結局、どうなんだ・笑)。まあ、「ハリウッドを舞台にした怪談!」という設定自体、物珍しいところではありますしね。

タイトルに“ゴースト”という単語がつくように、一応、ゴースト達もちょくちょく画面に出て来ます。レイチェルが、以前からたまに霊を見る事がある、という設定で、この家に越してきた初日から高速で動く子供の幽霊(出たと思ったら、残像が出るぐらいのハイスピードで去って行く)を見たりしてました。あと、庭を囲む木の柵にこれみよがしな幽霊顔が浮かび上がる様も目撃していました。
このように、この映画のゴーストはかなりくっきりはっきりと出てきます。お国柄なのか、幽霊となっても自己主張を忘れないようです。ただ、困った事にこのゴースト、完全フルCG(しかも安っぽい)で表現されてるんですよね。で、それがまた、見てて怖くもなんともないんですよ。もう、コンピューターでの合成にしか見えないようなゴーストなので、現実感が全く感じられないんです。まるで、合成のヘタな心霊写真を見てるような気分です。
とにかく、このゴーストに関連した恐怖演出というのは全然なってません。ゴーストが出て来ても、それを見た登場人物が恐怖演技をしていても、見ている私はちっとも怖くないんです。
肝心のゴーストがこれなので、映画自体も見ていて“恐怖感”というのが沸き上がってこないんですよね。ストーリーに多少の興味深い点があるだけで。
多分この映画のストーリーは、監督のステファン・アヴァロスなる人物で実写映画化するのではなく、稲川淳二に語らせた方がより活きたと思いますねぇ。きっと、ゴーストが出てくる場面もかなり怖くなったに違いない。