監督・製作総指揮:ヤン・デ・ボン
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:リリ・テイラー(エレノア“ネル”)
リーアム・ニーソン(デビッド・マロウ教授)
キャサリン・ゼタ・ジョーンズ(セオ)
オーウェン・ウィルソン(ルーク)
ブルース・ダーン(ミスター・ダドリー)
マリアン・セルデス(ミセス・ダドリー)
困り果てるマロウだが、さらに厄介な事が起こる。なんと、エレノアの言ってる事は全て正しかったのだ!ヒュー・クレインの亡霊が登場し、大暴れを始めるに至っては、もはや「果たして、生きて屋敷を出られるのか」という状況となるのだった。
(感想)
この映画の公開当時、「かつてアクションで名を馳せたものの、最近不調だった監督が、新作ホラーで再起を賭ける」、という状況が続いてました。その一つは、このヤン・デ・ボンの『ホーンティング』もう一本は、レニー・ハーリンの『ディープ・ブルー』でした。
レニーの方は、もはや何を作っても『ジョーズ』の二番煎じにしかなり得ないと思われていた「サメ映画」に果敢に挑み、とんでもない傑作を撮りあげるという結果を残しましたが、一方、お化け屋敷物に挑んだヤン・デ・ボンは見事に大失敗してしまいました(ちなみに、興行成績や一般の評価ではなく、私の中の印象の話です)。
『たたり』という映画のリメイクなんですが、今作の監督のデボン氏、リメイクをするに当たり「以前はお化けはその正体を見せる事が技術的に無理だったが、今のCG技術をもってすれば、恐ろしい幽霊のその姿の全貌をスクリーンに映し出す事が出来る!」みたいな内容の事を語っていたようです。
何かもう、この時点で半ば、失敗が確定したようなものですよね。ゴーストは姿が見えない時が一番怖いと言うのに。もちろん、姿を見せてからも怖いと思わせる事も可能ですが(実際、そういう映画もありますし)、この映画の場合、ゴーストと言うより「半透明の人型クリーチャー」みたいな感じで、恐怖感がまるで無いんですよね。
でも、ゴーストが怪物みたいに襲いかかってくる、というこのクライマックスの展開自体は、別に悪い手法じゃないはずなんですよね。「派手なお化け屋敷映画」というコンセプトの映画だと考えれば、納得のいく演出です。でも、そう思って見てても、この映画のクライマックスは面白くないんです。何が駄目だったんでしょうね。恐怖演出でしょうか。
あと、とんでもない化け物が出現してるというのに、登場人物の怖がり方が至って普通なのも気になるところです。まあ、実際演じてる俳優の前には何もいないんだからしょうがないと言えばしょうがないんですけどね。
ですが、クライマックスの展開でしくじってしまっただけで、中盤までは結構よく出来たお化け屋敷映画なんですよね。いやぁ、惜しかったです。
舞台となる屋敷のセットがとんでもなく豪華で、その内装を見てるだけで楽しいぐらいのものですし、映画の全体的な色使いも派手でいいです。ちょっと『サスペリア』を思い出すような、原色がギラギラしてる感じの色使いなんです(『サスペリア』ほど派手じゃないですが)。
ストーリー展開も、まず登場人物それぞれの性格が語られ、屋敷のオカルティックな過去が語られ、そして怪現象発生と、まるで登場人物と一緒に恐怖体験をしているかのような臨場感があって、とてもいいです。
演じる俳優も、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、オーウェン・ウィルソン、リーアム・ニーソンと、その後も一線級で活躍しているスターですしね。ホラー映画にこの面子が集まったのも今思うとかなり珍しい所です。