監督:マーティン・ワイズ
製作・脚本:ウェス・クレイブン
出演:マイケル・マクミリアン(ナポレオン)
ジェシカ・ストループ(アンバー)
ダニエラ・アロンソ(ミッシー)
ジェイコブ・バルガス(クランク)
リー・トンプソン・ヤング(デルマー)
ベン・クローリー(ストンプ)
レシャード・ストリック(ミッキー)
エリック・エデルスタイン(スピッター)
フレックス・アレクサンダー(ミルストーン軍曹)
ある日、ミルストーン軍曹率いる訓練兵達が、16区にあるキャンプ地に物資を届けにやってきた。だが、キャンプ地には人の気配が全く無いのだった。
そんな折、山頂からの救難信号を受けた一行。武器を持って山岳地帯へ向かうが、これは奇形軍団が仕組んだ罠なのだった。果たして、ヒヨッコ訓練兵達は、この地獄から生還する事が出来るのか!?
(感想)
前作の主人公側はごく普通の家族でしたが、今回は軍人達です。単なる一般ファミリーでさえ数人生き残る事が出来たぐらいなんで、武器を持った軍人達なら大した犠牲も出さずに生還出来てしまうんじゃないかと思ってしまいますが、やっぱり、そううまくはいかないんですよね。
まず、軍人と言っても、まだ実戦の経験すら無い訓練兵ですし、しかも地形が完全に奇形軍団側に有利な場所です。さらに、早々に誤射事件によって隊長がリタイアしてしまい、もうみんな浮き足立ってしまいます。
さらに、山から下りるには、奇形軍団が巣として使っている坑道を通らなくてはならなかったり、そこに拉致された女性隊員を救助しなくてはならなかったりと、登場人物の生還率を低くする設定が山積みです。なので、各自がマシンガンとナイフを装備しているという、前作の登場人物達よりも圧倒的に有利な状況にいながら、サバイバルの難易度的には大差無いという事になってるんですよね。
中盤以降は坑道内が舞台となるんですけど、この、「暗さと地形の複雑さから、敵がどこから襲ってくるのか分からない」というのは、かなりの緊張感がありますね。ちょっと、『ディセント』みたいです。
あと、基本的に「敵側の描写」というのが無いんで、奇形軍団達が、どこで何をして、何を企んでいるのかが見てる側にも分からないんで(子作りを企んでいる奴がいるらしいというのは語られますけど)、「どう行動していけば生き残れるんだろう」というのを登場人物達と一緒に考えながら見ていけるのがいいですね。
前作は、反核メッセージを深読み出来ない事もないような点がありましたけど、今回は、奇形軍団が完全に「ただの狂人軍団以外の何者でもない」みたいな感じになっていました。
一方、主人公チームを兵士に設定し、敵を「同情の余地の無い、倒すべき敵」という描き方にする事で、現実の“戦場”を表現しているようにも思えるんですよね。
最初はビビりまくりの新兵達も、一度敵を殺す事で何かが吹っ切れたようになり、敵を惨殺する事を意に介さなくなってくるんです。
まあ、こっちが生き残る為ではあるんですけど、でも、現実の戦場もこんな感じなのかなと思うと、ちょっと空恐ろしいものがありますね。
結局、奇形軍団が発生したのも戦争が原因なわけで(戦争が無ければ、核実験をする必要も無いわけですからね)、怪人が人を襲うホラーを見ているはずなのに、何故か反戦の印象を持ってしまうという、興味深い映画でした。