監督・製作:ジェームズ・グレン・デューデルソン
出演:ボー・デレク(ジェームス先生)
スコット・リンカー(カール)
ジャスティン・ウーリッチ(ブライアン)
リサ・ゴードン(アリソン)
マイケル・ムーン(ジェイク)
ペイティン・ジェームズ(リサ)
ブリジッタ・ダウ(ティファニー)
ジェイソン・ウォーク(フロイド)
ジョシュ・ホーランド(マーク)
その時、突然教室の電気が消えて真っ暗になり、映写機が勝手に動き出すと、学生達をどこかからか撮影したと思われる写真が映し出されるのだった。
そして、気が付いたらティファニーの姿が消えていた。
これは、これから始まる恐怖のほんの始まりにすぎないのだった・・・。
(感想)
夜の大学に残った学生達が、一人、また一人と消えていくサスペンス・ホラーです。
一見、謎の殺人鬼に若者が次々殺されて行くタイプの映画と似たような感じですが、それらのスラッシャー映画とは全く違う点があります。
それは、「殺人鬼が出てこない」のと「死体も惨殺シーンも出てこない」という点です。
そんな映画ですが、これがまた意外と言うかなんというか、殺人鬼物の映画ではほとんど得る事の出来ない、恐怖と緊張感のバリバリある、とってもよく出来た、怖い映画になっているんです。死体も殺人シーンも無い事から、ビデオ屋では、ホラー映画コーナーではなく、サスペンスコーナーに置いてありました。この映画の怖さは、見た目の怖さとかではなく、心理的なものから来る、サスペンス映画系の怖さなんですよね。
まず、前半30分ぐらい使って、登場人物達の人物描写をしてきます。特に、内面をするどく描くとかそういう事ではなくて、それぞれのキャラクターがどんなような性格なのかというのが描かれていくんです。
で、これがまた、一見するとこの手の映画でよく見るようなタイプに見えるんですが、実はなかなか個性的な連中が揃ってるんですよね。あと、殺人鬼物の映画に出てくる若者よりもどことなくリアルで等身大な感じがしないでもないです。「こんな奴、実際にいそうだな」というような人物達なんですよね。一人、「こんな奴いねぇよ」というのが交じってますけど、こいつは事件が起こった時に「何を考えているのか分からない=絶対怪しい」という、映画的に映えるキャラクターとなっています。
そして、夜の大学を舞台とした話の本筋が始まると、その登場人物が徐々に、一人づつ行方不明となっていくんです。
同時に、確かにこの学校内に何者かが徘徊している様も描かれるんですが、殺人シーンは出て来ません。
と言うことで、犯人の目的が不明のまま、さらに、消えた学生達の安否すらも不明なまま物語は進んで行く事となります。
残った学生達は、死体が出たりとか殺人鬼が追いかけてきたりといった事がない為、いったいここで何が起こってるのかもよく分からない状態です。そして、劇中の学生達だけでなく、見てる側にとっても、「今何が起こっているのか」も、「これから何が起こるのか」も分からないんです。
で、このサスペンスチックな展開に緊張と恐怖が漲ってるんですよね。多分、「恐怖の対象が分からない」というのがいいんでしょうね。これは、殺人鬼が出たり殺人シーンが出たりしたら絶対表現出来ないであろう面白さですね。
そして、構内では、なぜか外に番犬が放たれていて外に出られなくなっていたり、開けられない扉が出て来たり、さっきは無かったものが戻って見たらあったりと、謎が謎を呼ぶ展開。まるで、アドベンチャーゲームをやってるような雰囲気です。
見るからに怪しげなブライアンが仕組んだ事なのか。それとも、一向に現れない教師のジェームズが仕組んでいるのか。それとも、誰でも無い、本当の殺人鬼が徘徊しているのか・・・。ちなみに、この近辺でとある連続殺人犯が潜伏しているという背景もあったりします。
後半は、段々と危機感を増してきた学生達が、脱出や通報を試みようとしたり、互いを疑い合ったりしだしたりとストーリーも弛む事がなく、さらに要所要所にビックリ演出まで挟んできます。まさに飽きさせない展開ですね。
そして、最後に明かされる驚くべき結末!!
このラストも、他の若者が襲われる類の映画群と比べて、かなり意外性のあるものになってましたね。ただ一つ残念なのは、意味が分かりづらいという事でしょうか。「あれ、これって・・・、どういう事?」と思ってるうちにエンドクレジットが始まったりします。
邦題は『サヴァイバル』となっていますが、要するに、この大学を舞台とした一夜から生き延びる事が出来るか?という意味合いのあるタイトルなんでしょう。もし、私がこの映画の登場人物だったとしたら、果たしてどうなっていた事か。多分、途中で行方不明となる学生の一人に加わりそうな気がします(笑)。