ホステル
<HOSTEL>
05年 アメリカ映画 93分

監督・製作・脚本:イーライ・ロス
製作総指揮:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェイ・ヘルナンデス(パクストン)
   デレク・リチャードソン(ジョッシュ)
   エイゾール・グジョンソン(オリー)
   バルバラ・ネデルヤコーヴァ(ナタリーア)
   ヤナ・カデラブコーヴァ(スベトラニャ)
   ヤン・ヴラサーク(オランダ人ビジネスマン)
   リック・ホフマン(アメリカ人ビジネスマン)
   ジェニファー・リム(カナ)

(ストーリー)
女を求めてヨーロッパを旅行する3バカトリオが、滞在先で「スロバキアに行けば女が抱き放題」という噂を聞き、早速出向いてみるのだった。
すると、そこは噂通りの楽園で、3人の鼻の下も伸び放題。だが、もちろんそんなおいしい話があるわけもなく、これらは全て、悪い事を企んでいる悪の組織の罠なのだった。
郊外にある工場跡地で会員制の拷問クラブが開催されていて、旅行者はそこに連れ込まれ、大金を払った会員によるマンツーマンの拷問殺人を受けるハメになるのだ。

(感想)
『ソウ』と拷問度合いを競っているという噂があったりなかったりする、「見ると嫌な気分になる拷問ムービー」という内容だと聞いていて、私もそういうのが苦手ながらも怖い物見たさで恐る恐る手を出してみたのですが、何とこれが、『ソウ』シリーズ全てが一瞬で霞むほどの快作でビックリでしたね。
まず、意外な事に、拷問シーンがちょっとしかないんですよ。なので、痛々しいシーンもそれほど出てきません。代わりに出て来るのが流血や肉片が飛び散る大スプラッターシーンという、私の好物ですよ。いやぁ、ここまで楽しい映画だったとは。
もう、気持ちがいいぐらいに肉が飛び散ったり、人体パーツが転がったりするんですけど、それらもほんの一瞬映る程度なんです。気持ち悪さを感じる前に場面やアングルが切り替わってくれますし、しかも、臓物関連が全く出て来ないという安心設計。気持ちよくグロさを味わえるという、“スプラッターの快感”を追求しているようで、非常に見易いです(唯一、「アキレス腱切断」の場面だけは痛々しかったですが)。
目玉が文字通りに飛び出してる人とか、石で殴られて陥没する頭の様子を見せてきたりといった、見てて楽しい人体破壊描写の数々には拍手喝采必至です。「ホラーファンで良かった」と思う瞬間ですな。

監督のイーライ・ロスという男、やはりこのジャンルの大物達から注目されてる人物だけあって、ホラーの事をよく分かってるなと思いますね。この手の映画が好きな人の事を考えてるのか、それとも自身がこういう映画が大好きだからなのか、「見たい」と思うシーンは出て来るし、「見たくない!」と思うシーンは出て来ないと、その映像感覚には唸らされるばかりです。
ただ。前作『キャビン・フィーバー』を見た時も思ったんですが、事が始まるまでがやたら長いんですよね。今回も、前半30〜40分ぐらい、何の怖いことも起こらず、ただ3バカトリオの珍道中が延々描写されるんですよ。
でも、ここで登場人物の描写とか映画の物語背景などを描いているからこそ、後半のスプラッターストーリーを面白く見られるという効果があるのかもしれないですしねぇ。でも、もうちょっとスピーディにしてくれてもいいような・・・(笑)。

そのストーリー展開ですが、てっきり、一人の「拷問大好きキラー」が敵として襲ってくるだけなのかと思ってたんですが、結構デカい組織の計画していた事業だったのには驚きましたね。しかも、どうやら地元警察も巻き込んでいるようで。拷問してくる奴も、普段は普通の職業についている金持ちで、気晴らしに人を殺しに来てるみたいなんですよね。
こういう、旅行先で闇の組織による悪魔的なトラブルに巻き込まれる、というのは、都市伝説っぽい感じの話で興味深かったです。もし通報したとしても、きっと早々に場所を変えるなどして、後に証拠を残さずに消えたりするんでしょうねぇ。そして、「拷問ショーが開かれている」というのも誰にも信じてもらえず、都市伝説として語られる結果になってしまうんでしょう。恐ろしいですなぁ。