監督:室賀厚
出演:嶋村かおり
岸本祐二
江原修
美羽
殺陣剛太
パトリック・ジョーンズ
小悪党達は、ゾンビの襲撃に遭うという、予想外の事態に遭遇するハメとなるのだった。
(感想)
世にも珍しい、和製ゾンビ映画、もとい、ゾンビVシネマです。
廃工場を舞台に大量のゾンビが出てくるんですが、このゾンビのメイクがかなり雰囲気の出てる、いいゾンビメイクになってましたね。
ゾンビに噛まれた事でゾンビ化した者は、死にたてという事で青白いロメロゾンビ風のメイクですが、元から死体として工場に放置されてたのが薬の流出で蘇った輩はちゃんと腐敗したゾンビメイクが施されているんです。
まあ、当たり前の演出ではあるんですが、正直、Vシネマなんかでここまで凝った造形のゾンビが出てくるとは思ってもみませんでした。
しかも、映画によっては映されない事もある、ゾンビのお食事シーンもしっかり描写してきます。ゾンビが食べている人肉の中に、まれに、ベーコンっぽいのが確認出来たり、腸が明らかにソーセージに見えたりする箇所があるのはまあご愛嬌という事で。何しろ、ゾンビを演じてる人に得体の知れない変なものを食わすわけにはいかないですからね。
ともかく、ゾンビに関してはメイクといい出てくる数といい、かなり頑張ってくれたんですが、ストーリーの方はかな〜りつまらないものでしたねぇ。まあ、ストーリー展開自体は特に悪くはないんですが、登場人物のキャラクターがねぇ。何かバカばっかりなんですよね。全ての登場人物が万遍なく、「コイツ、早く食われないかな」と思えるというのはある意味凄い事なのかもしれないですけどね。でも、残念ながら最後に生き残る奴はいるんですよねぇ。みんな食われて終わってくれた方が私的にはハッピーエンドだったんですが。
あと、いちいちスタイリッシュを気取った演出が顔を出すのもちょっと、見ててイラつかされたものでした。特に、主演の嶋村かおりが『マトリックス』をパクったアクションを見せ始めた辺りはもう哀しくなってきましたね。ああいうのは、似合う人がやるから格好いいのに。
ゾンビに関してですが、この映画には一人「スーパーゾンビ」が交じっています(劇中、そんな名称で呼ばれるわけじゃないですが)。こいつはゾンビのくせに知能があり、生きてる時の記憶をある程度残していて、しかも話をする事も出来ます。さらに、人を飛び越えるぐらいの大ジャンプを見せたり、頭を撃たれても死ななかったりと、まさに何でも有りです。
さらに凄いのは、コイツが「全裸の若い女」という点ですよ。いやぁ、さすがVシネマですね。品の無さにかけては、イタリア製のクズゾンビ映画にも引けをとりません。
一応、コイツがこの映画のボスキャラ的立場なんですが、困った事に、ボスキャラとして活躍し出す段階では服を着てしまうんですよね。残念!まあ、『死霊のしたたり』の終盤みたいな、「ちょっとしたお色気、入れてみました」といったところなんでしょうね。
でも、『したたり』と違って映画自体がつまらないんだから、もうちょっとサービスしてくれてもいいんじゃないかと思う次第。