監督・脚本:オラフ・イッテンバッハ
出演:マイケル・カー(ウィリアム)
ラッセル・フライデンバーグ(ルーク)
キンバリー・リーブ(ジーナ)
マシュー・ヒューズ(ダガイオ)
ハンク・ストーン(ジェフ)
ハーヴェイ・J・アルペリン(ニコラス)
クリストファー・クリーサ(マイク)
ダレン・シャラヴィ(ピーター)
ジョー・クック(ジョー)
一方、行く先々で人を殺してまわっている謎の二人組みがいた。二人は自称悪魔ダガイオの手先で、彼らに殺された人間は悪魔の手先ゾンヴァイアになってしまうのだ!
一方、とある町の小さな食堂でウエイトレスをしている女ジーナ。実は彼女は怪物が人間に化けている姿なのだった。しかし、誰かを襲ったり殺したりという事をしない、普通に生活をしているだけだった。
一方、マイクの魔の手から寸でのところでジョーに救出されたウィリアムとルークは、ジーナの働く食堂へと辿り着いた。
だが、その食堂の客達の中に、人間に化けたゾンヴァイアが混じっていた!
食堂は突如、人間と化け物との血みどろの戦場と化すのだった。
(感想)
『新ゾンビ』でお馴染みのオラフ・イッテンバッハが母国ドイツを離れ、ハリウッドに進出して撮り上げた映画、という事らしいです。
そして、それで何が変わったのかと言うと、以前よりも多少まともな映画になったような気がします。一方、過去作のような血みどろでグログロのスプラッター描写が控え目になってしまいました。まあ、この点はもしかしたら、どこで撮ったとか関係無く、監督が成長して、残酷シーンに頼らなくとも映画を撮れるようになったという事かもしれません。
ただ。だからと言って、今回はまともな映画になってるというわけではありません。前回の『新ゾンビ』同様、「後半で急にハジけまくる」という愉快な作りになっています。この辺は「期待通り」といったところでしょうか。ちなみに、今作と『新ゾンビ』の間に、日本に入ってきてない監督作が一つあるようなんですが、こちらがどんな映画なのか気になる所です。
『新ゾンビ』の時は、家にゾンビ軍団が押しかけてきて一大ドンパチが始まる事となりましたが、今回、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』みたいな映画を作りたいと思ったのか、前半ロードムービーで、後半、登場人物達が酒場に集まって怪物軍団とドンパチやり始めるという、結構そのまんまな展開となっています。
一方、前半の展開では、オマージュ元の映画がクルーニーとタランティーノコンビのロードムービー一本だったのに対し、こちらは3つものパートを繰り出してくる事となります。実に挑戦的な姿勢ですね。
まあ、その内の一つ、ウエイトレスのジーナのストーリーはそんなに尺も割かれていない、オマケみたいな話だったんですけど、他の2つ、2組のアホコンビの珍道中の方はどちらもコメディ的にそこそこ見どころのある、笑えるパートとなっていました。
ウィリアムとルークの若者コンビの方は、途中でイカれたジジイと行動を共にするハメになったり、そいつに殺されそうになったり、いとこのジョーが助けに来たりといった少々凝った展開を見せるんですが、これらは後のストーリーには何の関連も無い、その場限りの話で終わってしまいました。その代わり、ウィリアムの方はこの映画全体の主人公的立場の人物だったりします。
もう一方の謎の二人組の方は、こちらは敵の親玉の手先という事で、この前半の珍道中の間、主のダガイオの配下となるゾンヴァイア軍団のメンバーを作る仕事をしています。なので、一応、後の展開と関連はあるんですが、この二人は後半はほとんど出番が無くなってしまいました。
そして後半、舞台が酒場になると、今更のように登場人物が増え出します。それも、何故かアクション向きの連中が。まあ、それもあの映画がそうだったからしょうがないですね。あちらでは強そうな黒人とか股間に銃を装着したトム・サビーニとかが現れだしましたが、こちらは、髪を後で結わきセガール拳のような動きを見せる奴とか(しかも名前がケーシーときた)、ジョン・ウー映画の登場人物みたいな動きを見せる奴なんかが出てくる事となります。
そして、前半後半合わせて増えまくった登場人物が一堂に会したところで血みどろの銃撃戦が開始!これで数人を残したほとんどが次々死亡していきます。『新ゾンビ』に比べてスプラッター度は大分下がりましたが、登場人物は増えたので、お祭り騒ぎ感は結構大差無いぐらいのものはあったかなと思います。
ただ、比較対象をオマージュ元の方にしてしまうと、あちらとはまあ、予算から監督の力量、出演陣の華などあらゆる面が違い過ぎるので、比較するのは『新ゾンビ』までに止めておいてあげましょう。
で、その『新ゾンビ』と比べると、前半のストーリー部分は確実に面白くなったと思いますけど、後半のドンパチは、良くも悪くも普通になったかな、という印象ですね。まあ、何だかんだで前作は、映画が面白いとかつまらないとかを超越した熱さがありましたからねぇ。
ところで、敵のボス、ダガイオが、ドルフ・ラングレンの『ダーク・エンジェル』に出てた敵と見かけや演技が似てて、どうしてあんなマイナーな映画をパロってるんだろうと思ったら、演じてるのが同じ人でした。