監督:ホルヘ・グロウ
特殊メイク:ジャンネット・デ・ロッシ
出演:レイ・ラヴロック(ジョージ)
クリスティーヌ・ガルボ(エドナ・シモン)
アーサー・ケネディ(マコーミック)
ジェニーン・メストレ(ケイティ・マディソン)
ホセ・ルイス・リファンテ(マーティン・マディソン)
ジョルジオ・トレスティーニ(クレイグ)
フェルナンド・ヒルベック(ガスリー)
(感想)
これは怖い映画ですねぇ。“死者が生き返る”という事がこれほど恐ろしい事だったとは思わなかったです。
もともとは『ナイト・オブ・ザ・リヴィングデッド』の二番煎じとして製作されたようですが、日本での公開は『ナイト・オブ〜』よりも早かったらしいですね。そんなわけで、本邦初のゾンビ映画という、言わば伝説的な映画らしいです。
ゾンビの特殊メイクは、『サンゲリア』でお馴染みのジャンネット・デ・ロッシですが、“サング”のような腐ったゾンビではなく、死にたての新鮮なゾンビです。ただ、その新鮮さのせいか、見た感じ“ゾンビ”という気がしないんですよね。それよりも“歩く死体”といった感じです。まあ、歩く死体の事をゾンビと言うんですが。
今まで見たゾンビ映画のゾンビは、何というか、怪物的な感じで、あくまでも映画の中でしか存在し得ないモンスターという感じだったんですが、この映画のゾンビは妙な現実感があるんですよね。
例えば、“墓場から死人が蘇って来る”よりも、“今そこにある死体が起き上がってくる”方がリアルな感じがして怖いですよね?この映画のゾンビにはそんな雰囲気があるんです。なので、ゾンビの恐怖度に関しては、他のゾンビ映画の比じゃなかったです(手術跡のある、解剖実験用ゾンビはかなりのインパクトでした)。どうも、ゾンビよりも幽霊の恐怖と似てるような気もします。
あと、他のゾンビ映画では必ずと言っていいほどある、「ゾンビに噛まれてもゾンビになる」というルールがありません。あくまでも“死人が蘇って”ゾンビになるんです。
それにしても、その死人が生き返る理由が「害虫駆除用の超音波」とは、なんとも洒落た設定ですね。
また、映画が中盤ぐらいまでミステリータッチで進んで行くというのも、ゾンビ映画にありがちな「絵空事感」を抑えてくれてました。
主人公ジョージが村に足止めをされる理由となる殺人事件ですが、これの犯人が実はゾンビなんです。で、殺された男の妻の妹エレナとジョージの二人で、真犯人を探すというのが序盤の展開になります。ただ、この辺りの展開が少々ゆっくりめなのがちょっと難点ですが。
この映画のゾンビ、実はなかなか手ごわい奴らで、力が相当に強いらしく、組みつかれた人はほぼ殺されてました。ゾンビに掴まれた時に人間がとる常套手段“振りほどき”が使えないとは、恐ろしい。絶対ゲームの『バイオハザード』には出て来てほしくないゾンビです。
また、わりと器用で、道具を使ってドアを破ったりもします(鍵を使って開けるんじゃなくて、墓石でもってぶち破るんですが)。さらに、槍みたいな先の尖った棒で刺そうとしても、その棒を掴んできたりします。しかも、脳を撃っても死なないみたいです。「これは、ゾンビ界最強か?」と思ってしまいますが、実は火には滅法弱く、ちょっと火をつけただけですぐに燃えてしまいます。よかったよかった。
ゾンビとは関係無いですが、この映画、ロケ地がとっても風光明媚な所です。多分、イギリスだと思うんですが、この辺のヨーロッパの村とか農場とかの景色を見てると妙に落ち着いた気分になるんですよね。緑がいっぱいあって、もう見るからに「いい所」という感じです。