エルム街の悪夢2/フレディの復讐
<A NIGHTMARE ON ELM STREET PART 2: FREDDY'S REVENGE>
85年 アメリカ映画 86分

監督:ジャック・ショルダー
音楽:クリストファー・ヤング
出演:ロバート・イングランド(フレディ・クルーガー)
   マーク・パットン(ジェシー・ウォルシュ)
   キム・マイヤーズ(リサ・ウェバー)
   クルー・ギャラガー(ミスター・ウォルシュ)
   ホープ・ラング(ミセス・ウォルシュ)
   メリンダ・オー・フェー(ミセス・ウェバー)
   トム・マクファッデン(ミスター・ウェバー)
   ロバート・ラスラー(ロン・グラディ)
   マーシャル・ベル(シュナイダー)
   シドニー・ウォルシュ(ケリー)
   クリスティ・クラーク(アンジェラ)

(あらすじ)
エルム通りの家に引っ越してきたウォルシュ一家。だが、長男のティーンエイジャー、ジェシーが、引っ越しの後、毎晩悪夢にうなされるようになる。
ジェシーは悪夢の中で、赤と緑の縞のセーターを着、手に掻き爪のついた手袋をはめた怪人に脅かされていたのだ。そしてある日、夢の中でこの怪人が「お前を乗っとってやる」と言い出す。
それ以降、ジェシーは眠ると、夢遊病者のように寝ながら出歩くようになってしまい、あろうことか、殺人をやらかしてしまうのだった。

ジェシーの部屋から出て来た、以前この家の住人だったナンシーの日記から、この怪人の正体が、かつてこの地で大勢の子供を殺害した異常者フレディ・クルーガーである事が判明する。
ジェシーの恋人、リサの家でパーティが開かれた晩、ついにフレディはジェシーの体を突き破り、現実の世界に姿を現すのだった。

(感想)
引っ越した先の家が、実は曰く付きの物件であり、その呪いにより精神を冒されてしまった若者の話。という、大まかなストーリーはまるで心霊物か何かみたいです。もちろん、これは『エルム街』の続編なので、上の“呪い”の部分が“フレディの悪事”に変わります。

このように、前作とはかなり感じの違う映画になっていて、主人公の夢にフレディが出て来ても、驚かすだけで殺そうとはしません。フレディの目的は主人公を夢の世界で殺す事ではなく、体を乗っとって現実の世界に現れることなんです。
って言うか、なんでそんな事が可能なんだ?(笑)もう、前作のルールはかなり都合のいいように改変されてしまったようです。ルールが曖昧になってしまった事で、恐怖も面白さも半減してしまった感がありますね。
『13金』シリーズみたいな「前作の焼き直し」という続編ではなく、もうルールすらも変えて、前作とは別物のストーリーを構築しよう、という意図で作られた続編といったところなんでしょう。その精神はいいんですが、いかんせん、そのストーリーに面白みが欠けていました。

でも、よくよく考えてみると、ストーリー自体は別に悪くなかったような気もします。お話よりも、構成とか演出の方に問題があったのかなぁ、なんて。
このストーリーだったら、フレディを出さずに、主人公が狂う理由を“何かの呪い”にした方が怖くなったんじゃないだろうか(それじゃ、『エルム街』の続編じゃなくなってしまいますが)。


夢遊病状態でフレディに操られている主人公が人殺しをしたりするんですが、手を下しているのが主人公ではなくフレディである点に、頭の中に「?」が出て来てしまいます。もうこうなると、フレディに「何が出来て何が出来ないのか」が分からなくなってきますし、今描かれてるシーンが実際に起こってる事をそのまま映しているのか、主人公の脳内の映像を映してるのかも分からないです。
前作は、「今見てるのが夢のシーンなのか現実のシーンなのか」が分からないところに面白さがありましたが、今回は見てて分からないというのが悪い方面に作用してしまったようです。

また、ラストもさっぱり意味が分からないです。本来はこのラストシーンで観客を怖がらせなければいけないと思うんですが、こんなの見せられたら怒るだけだと思います。でも、この後も続編が作られ続けた所を見ると、当時の観客はこの意味不明なラストを許容出来たんですね。
一応、私も、「現実の世界に現れる作戦に失敗したフレディが、また前のように夢の世界で登場人物を殺しにかかっているところ」というラストなんだと解釈しましたが、どうも違うような気もする。

せめて、惨殺シーンに見応えがあればまだ良かったんですが、この映画、「殺害シーンで怖がらせる」というタイプのホラーではないんですよね。それよりも、ストーリーで怖がらせよう、という意図があるようなんです。その意図自体は悪いものではないんですけどねぇ・・・。
何と言うか、「映画を面白くする為によかれと思ってやった事」が全部悪い方向に進んでしまったような印象の映画でしたねぇ。